《マーケットストラテジーメモ》 6月 第1週
【推移】
31日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。国債利回りの低下に伴い情報技術などグロースセクターが上昇の中心。セールスフォース・ドットコムが5.43%高となった。週間ではNYダウが0.94%高。NASDAQが2.06%高。S&P500が1.17%高。月間ではNYダウが1.98%高、NASDAQ1.53%安、S&P500が0.55%高。
日経平均株価は289円安の28860円08銭と反落。「先週末の上昇の反動」との解釈。下落幅は一時350円を超えた場面もあった。月末最終日は9カ月連続で下落。東証1部の売買代金は2兆2415億円。アステラス、フィルムが上昇。キャノン、ダイキンが下落。
1日(火):
週明けのNY株式市場はメモリアルデーで休場。ロンドンはスピリングバンクホリデーで休場。独DAX、仏CACは下落。
日経平均株価は45円安の28813円と続落。5ヶ月ぶりの月初安となった(TOPIXは5か月連続月末高)。買い先行だったが下落転換。下落幅は一時200円を超えたが大引けにかけて縮小した。東証一部の売買代金は2兆442円と低調。IHI、トヨタが上昇。鉄、ファーストリテが下落。
2日(水):
3連休明けのNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウは小幅に4日続伸。取引開始直後に一時319ドル高の34849ドルまで上昇。5月7日の過去最高値(34777ドル)を上回る場面もあった。旅行・レジャーを中心に経済活動の再開を後押しするとの見方が強まった。景気敏感株を中心に買いが優勢。
ただアップルやJ&J、P&Gなどは軟調。コロナ検査の売り上げ急減見通しで通期見通しを引き下げたアボットは9.3%急落。ミーム株(ネットの情報拡散で取引される銘柄)が上昇。映画館チェーン大手AMCエンターテインメントは22.7%高。
日経平均株価は131円高の28946円と3日ぶりの反発、あれこれ理由はあげられるが自立反発だろう。東証一部の売買代金は2兆7747億円。トヨタ、三越伊勢丹が上昇。オリンパス、太陽誘電が下落。
3日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。ただ引けにかけて上昇幅を縮小した。「週末の雇用統計を待つ動き」という解釈だ。ミーム株として個人投資家に人気のAMCエンターテインメントが95.2%続急騰。
一方、EVの世界シェアが低下したテスラは下落。地区連銀経済報告(ベージュブック)では「経済は過去2カ月に回復ペースが幾分か加速。企業が人手不足とコスト上昇に取り組む中で物価圧力が高まった」との見方。「物価と賃金という面で暑い夏になりそうだ。不足が第4四半期まで続くかどうかが正念場だ」という声がある。長期金利は低下し10年国債利回りは1.6%を下回った。
日経平均株価は111円高の29058円と続伸。トヨタや半導体関連株が上昇を主導。上昇幅は一時200円を超えた場面もあったが29000円から上値は重かった。トヨタが連日の高値更新。東証1部の売買代金は2兆6131億円。SBG、東エレが上昇。ファーストリテ、TDKが下落。
4日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。「好調な経済指標を受けてインフレ高進懸念が拡大。ハイテク株の売りが膨んだ」という解釈だ。「FRBは企業信用制度で購入した社債や社債対象ETFを売却する」という方向も警戒された。テスラは中国での5月の受注台数が4月からほぼ半減した伝わり一時5%下落。
一方、フォードやGMは7%近く上昇。「ミーム銘柄」のAMCエンターテインメントは増資発表で一時40%下落。その後一時7%上昇し終値は17%安と指数(NMI)は64.0。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は38万5000件。コロナの世界的大流行以降で初めて40万件を下回った。ADP全米雇用レポートで民間部門雇用者数が97万8000人増。市場予想の65万人増を上回り2020年6月以来の大幅な伸び。5月の雇用統計での非農業部門雇用者数は65万人増加予想。
日経平均株価は116円安の28941円と3日ぶりに反落。「米長期金利が上昇。米株式市場ではハイテク株を中心に売りが優勢となった。日本株市場でも高PERのグロース株の売りが目立った」との解釈。
週足は陽線。TOPIXは4日続伸。トヨタは連日の高値更新。東証1部の売買代金は2兆3678億円。王子HD、Jフロントが上昇。エムスリー、SBGが下落。
《今日のポイント6月4日》
(2) 欧米動向
ISM製造業景況感指数は61.2。
前月の60.7から上昇し、好不況の境目である50を大幅に上回った。
「製造業の業績好調が続いており、景気への楽観につながった」との見方だ。
ISM非製造業景況感は前月の62.7から上昇し過去最高を記録した。
市場予想の63.0も上回った。
(3)新興国動向
中国株式市場は6月月間では6カ月ぶりの大幅上昇となった。
上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数。
月間では4.1%高となり、2020年12月以来の大幅上昇。
上海総合指数の月間上昇幅は4.9%。
2020年11月以来の大幅上昇。
そんな中、31日に売出しが始まったのが中国国内初の不動産投資信託(REIT)。
個人投資家からの申し込みが殺到したという。
9つのREITの個人投資家向け売出し合計額は約20億元(3億1405万ドル)。
申し込み額はその10倍超に当たる300億元。
9つのREITは倉庫や有料道路、工業団地、下水処理施設などが対象。
調達額は約300億元だが多くは機関投資家対象で個人向けは少ない。
とはいえ、圧倒的人気であることは間違いない。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【6月】7勝3敗、(勝率70%、2位)
気学では「乱調相場に始まる。上旬は戻り売り。夏至頃より買い良し」
7日(月)景気動向指数、米消費者信用残高、アップル世界開発者会議、中国貿易収支
8日(火)景気ウォッチャー調査、毎月勤労統計、GDP確報値、米貿易収支、独ZEW景況感
9日(水)マネーストック、中国消費者・生産者物価、株安の日L
10日(木)国内企業物価指数、都心オフィス空室率、米財政収支、消費者物価、ECB定例理事会、中国生産者物価、変化日
11日(金)4?6月期法人企業統計予測調査、メジャーSQ、G7コーンウォールサミット(英国)、ミシガン大学消費者信頼感、バイデン大統領外遊、株高の日L
12日(土)ゲーム関連「E3」オンライン開催(→15日)
13日(日)まんえん防止等重点措置期限(群馬・石川・熊本)
経済協力開発機構(OECD)が発表した経済見通しは世界経済成長率予想を上方修正。
5.6%→5.8%。
米国6.5%→6.9%。
中國7.8%→8.5%、
ユーロ圏3.9%→4.3%。
しかし日本は2.7%→2.6%と下方修正。
背景は「ワクチン接種の遅れや潜在的成長力の低さ」との指摘。
提言は「短期的な財政支出の継続は支持。
しかし感染終焉後は財政健全化に向けた努力を再開すべき」。
ソコですか、という印象。
(兜町カタリスト 櫻井英明)