《マーケットストラテジーメモ》11月第5週
25日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。週間でS&Pは1.68%、ナスダック総合が1.73%、NYダウ30種が1.96%上昇。11月のS&Pグローバル総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は55.3。2022年4月以来31カ月ぶりの高水準。これを好感。トランプ次期米政権による企業優遇策への期待が追い風となった。
日経平均株価は496円高の3万8780円と続伸。上げ幅は一時750円を超えて節目の39000円を上回った。 国内企業の配当の再投資による買いなど、需給面でのサポートも相場の押し上げ要因。東証プライムの売買代金は6兆5076億円。MSCI構成銘柄の入れ替えに伴う売買が膨らんだ。東エレ、TDKが上昇。KDDI、住友不が下落。下向きの25日線を9日ぶりに上回った。
26日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。NYダウは連日の過去最高値更新。中小型株で構成するラッセル2000指数も3年ぶりに過去最高値を更新。「国債利回りの低下を好感」との解釈。アマゾンが2.2%高。百貨店大手メーシーズは2.2%下落。10月のシカゴ連銀全米活動指数はマイナス0.40。前月(マイナス0.27)から悪化し1月以来の低水準。
日経平均株価は338円安の3万8442円と3日ぶりに反落。トランプ次期米大統領は中国やカナダ、メキシコに対して関税を強化すると表明。投資家心理の悪化に伴う売りが半導体や自動車など主力の輸出関連株を中心に膨らんだ。日経平均の下げ幅は700円を超える場面もあった。 東証プライムの売買代金は4兆3369億円。ファーストリテ、花王が上昇。東エレ、重工が下落。日経VIは20.77。
27日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。マイクロソフトやアップルなどが上昇。11月のCB消費者信頼感指数は111.7。2023年7月以来、16カ月ぶりの水準に上昇した。市場予想の11.3も上回った。トランプ次期米大統領がメキシコとカナダからの全ての輸入品に25%の関税を課すと表明。市場は貿易紛争への発展を警戒している。
日経平均株価は307円安の3万8134円と続落。ドル円の152円台も悪材料。東証プライムの売買代金は4兆1750億円。中外薬、セブンアイが上昇。ダイキン、バンナムが下落。裁定買い残は4881億円増の1兆9214億円。
28日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。10月の個人消費支出(PCE)価格指数が前年比2.3%上昇。前月の2.1%上昇から伸びが加速。ンフレ抑制に向けた進展が過去数カ月に停滞していることを示した。第3四半期のGDP改定値は年率換算で前期比2.8%増。速報値から変わらず。
日経平均株価は214円高の3万8349円と3日ぶりに反落。朝方は前日の米株安を受け下げて始まった。売り一巡後は米政府の対中半導体規制が想定より厳しい内容にはならないとの一部報道を受け、半導体関連株の一角が買われ上昇に転じた。円高・ドル安進行の一服も追い風。ただ大引けにかけて利益確定売りが増えて上げ幅を縮小。東証プライムの売買代金は4兆1774億円。カシオ、スクリンが上昇。ニトリ、リコーが下落。
29日(金):
木曜のNY株式市場は感謝祭で休場。
日経平均株価は141円安の3万8208円と反落。前日に上昇が目立っていた東エレクなど値がさハイテク株の一角に戻り待ちの売りが出た。円相場が一時1ドル149円台後半と10月下旬以来およそ1カ月ぶりの円高・ドル安水準になったのも悪材料。11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は上昇率が市場予想を上回った。日銀の早期利上げの可能性が意識された格好。東証プライムの売買代金は3兆5973億円。5営業日ぶりに4兆円を下回った。第一生命、NTTデータが上昇。キッコマン、バンナムが下落。
(2)欧米動向
ドイツ銀行はS&P500が2025年末までに7000に達するとの予想を公表した。
バークレイズもS&P500の25年末の水準を6600と予想。
巨大IT株の堅調な業績見通しを背景に、従来の6500から引き上げた。
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーはS&P500が25年末までに6500に達すると予想している。
(3)新興国動向
ロシアの通貨ルーブルが下落。
2022年2月にロシアがウクライナ侵略を開始した直後(22年3月)以来の安値圏となった。
背景はトランプ前大統領の当選による原油の先安観、米国による金融制裁など。
「ルーブル安でロシアのインフレが一段と加速する可能性」との見方。
(兜町カタリスト 櫻井英明)