《マーケットストラテジーメモ》 2月第2週
【推移】
1日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数はそろって急反落。下落幅は昨年10月以来の大きさだった。きっかけはJ&Jの3.6%安。開発中の新型コロナウイルスワクチンについて有効性が66%だったと発表。ファイザーやモデルナなどの95%の予防結果に見劣りしたことを嫌気した。またヘッジファンドと個人投資家の攻防も継続。
ゲームストップなどへの個人投資家の買いが復活。ゲームストップ株は一時2倍超に値上がりし67.9%高。逆にヘッジファンドなどの売り方が踏み上げられる「ショートスクイーズ」への懸念が再燃した。
日経平均株価は427円銭高の28091円と3日ぶりに反発。25日線を上回った。寄り付きを底に上昇幅を広げる展開でほぼ高値引け。米株価指数先物が上昇したほか、香港、韓国などアジア株式相場が強含んだことも日本株の買い手がかりとなった。
東証1部の売買代金は2兆5118億円。SBG、エムスリーが上昇、TDK、味の素が下落。
2日(火):
週末のNY株式市場で主要3指数はそろって急反発。NASDAQは2.55%上昇。S&P500は1.61%上昇。昨年11月24日以来の上昇率となった。先週の大幅安の反動という見方。IT関連セクターが上昇を主導。アマゾン・マイクロソフト・アップルが買われた。急騰したゲームストップは30.8%の急落。市場の焦点は「追加経済対策を巡る協議の行方」という声もある。ISM製造業景気指数は58.7と前月の60.5から小幅に低下。日経平均株価は271円高の28362円とほぼ高値引け。好業績銘柄中心に買い物優勢の展開が継続。東証一部の売買代金は2兆5772億円。資生堂、パナが上昇。シスメックス、塩野義が下落。
3日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はそろって大幅続伸。引け後に決算を控えたアマゾンとアルファベットがともに1%超上昇。アルファベット(グーグル)の売上高は568億9800万ドルで前年同期比23%増。ユーチューブを含むグーグルの広告事業が売り上げ全体の81%を占めた。
ただ2020年は12.8%の伸びにとどまり2009年(8.5%増)以来の低水準。議会民主党は1兆9000億ドルの経済対策を単独で採決の方向。「新型コロナ新規感染者が3週連続で減少したことで投資家心理は改善」との見方だ。
日経平均株価は284円高の28646円と3日続伸。新安値は今年初のゼロ、東証一部の売買代金は2兆7863億円。丸紅、郵船が上昇、エムスリー、スクリーンが下落。
4日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は小動き。好決算のアルファベットが7.3%高と上昇をけん引。アマゾンは2%下落しNASDAQの下落要因。ゲームストップは2.7%高。ISM非製造業総合指数は58.7と2019年2月以来、1年11カ月ぶりの高水準。「新規規受注と雇用の伸びが加速。落ち込んでいるサービス部門が危機を脱した」という解釈。市場予想は56.8だった。
日経1面見出しは「ソニー、純利益初の1兆円」と並んで「トヨタ世界生産最高へ」。今年の日経アンケートのトップ2が並んだ。
日経平均株価は304円安の28341円と4日ぶりに反落。NY株の先物夜間取引の下落を嫌気した格好。上向きに転じた5日線(28221円)は上回った。
東証1部の売買代金は2兆8045億円。京セラ、アルプスが上昇。エムスリー、ZHDが下落。東証1部時価総額は701兆円(前日692兆円)。
5日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は1%超の上昇。NYダウとS&P500は4日続伸。S&P500とNASDAQ、ラッセル2000は終値ベースの過去最高値を更新した。新型コロナウイルス経済対策の進展に対する期待感が拡大。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は77万9000件。前週の81万2000件から改善。
日経平均株価は437円24銭高野28779円19銭と大幅に反発。1月25日以来の高水準を回復した。「米景気の回復期待が高まり、投資家が運用リスクを取る姿勢が強まった」との解釈だ。アジア株高や円安トレンドも追い風。決算発表で今3月期見通しを上方修正するケースが相次いでいることも好材料。
東証1部の売買代金は3兆1898億円と増加。TOPIXは終値ベースで昨年来高値を更新。リコー、マツダが上昇。古河電、パナが下落。
(2) 欧米動向
空売りレポートのシトロンは20年前に設立された。
「当時は個人投資家をウォール街や不正行為、株式販促から守るという意図があった。
その後、シトロンは目標を見失いエスタブリッシュメント(既存勢力になってしまった」とのコメント。
今後は「投資意欲の旺盛な全く新しい世代の株主による支援を活用できる企業についてアイデアを発信していく予定」。
今後はロングの調査に集中するという。
空売り推奨レポートはSNS(交流サイト)「レディット」に代表される個人投資家の行動に負けたということだ。
(3)新興国動向
中国国家統計局が発表した1月の製造業購買担当者指数(PMI)は51.3に低下。
市場予想中央値は51.6。
昨年3月以来の低水準となった。
非製造業PMIは52.4に低下。
市場予想中央値は55だった。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【2月】6勝4敗、(勝率60%)
気学では「押し目買い、弱気配ゆえ早めに利食いするのが賢明」
7日(日)緊急事態宣言期日、米スーパーボウル
8日(月)景気ウォッチャー調査、朝鮮人民軍創建日
9日(火)毎月勤労統計
10日(水)国内企業物価指数、都心オフィス空室率、米消費者物価、財政収支、中国消費者・生産者物価、変化日
11日(木)建国記念の日で休場、中国春節(→17日)
12日(金)オプションSQ、東京eスポーツフェスタ、ミシガン大学消費者信頼感、新月、株高の日
13日(土)NISAの日
例年話題になるアメリカの個人への税還付の時期。
平時ならば30兆円程度が春先までに還付されるので株高要因となっていた。
しかし昨年はコロナ禍という乱世。
「今年もあるのか」という疑問があったが朝のストボでは「今年は期待薄」との話。
なぜなら昨年は予定納税(源泉徴収みたいなもの)が少なかったから。
当然ながら払っていないものは返してくれない。
だとすると・・・。
一人2000ドルの還付金(合計50兆円)プラス還付金(想定30兆円)への期待は少し萎む。
それでも株が上がる経験をした投資家という初心者の誕生は悪くはない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)