《マーケットストラテジーメモ》4月第2週
【推移】
5日(月):
週末のNY株式市場はグッドフライデーで休場。3月月間ベースでNYダウは6.6%高、2カ月続伸(同10.0%上昇)、NASDAQは0.4%高、5か月続伸(同21.4%上昇)。S&P500は4.2%高、2か月続伸(同7.0%上昇)。日経平均株価は235円高の30089円と3日続伸。3月18日以来の3万円台乗せとなった。好調な米雇用統計を好感して買い物優勢の展開。ただ上値は重かった。東証一部の売買代金は2兆953億円と低調。アドバンテス、ソニーが上昇。リクルート、ダイキンが下落。
6日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は続伸。NYダウは過去最高値を1週間ぶりに更新。NASDAQは3日続伸。S&P500は連日の過去最高値更新となった。ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスや小売りのウォルマートホームセンターのホーム・デポが上昇。航空機のボーイングも高い。
日経平均株価は392円安の29696円と4日ぶりの反落。2日ぶりに3万円台を割り込んだ。朝方は買い物優勢の展開だったが戻り待ちの売り物に押され、3万円を割れ込んでから売りに押された。東証一部の売買代金は2兆4943億円。神戸鋼、安川が上昇。スズキ、りそなが下落。
7日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って小幅反落。2月の雇用動態調査(JOLTS)は求人件数が予想以上に増加。約2年ぶりの高水準となった。またIMFは今年の世界経済の成長率予想を5.5%から6%に上方修正。1976年以降で最も高い成長見通しとなった。
「IMFの見通し上方修正を受け、市場心理が上向いた」という声もある。一方で企業の業績を見極めようという動き。S&P500採用銘柄の第1四半期利益は前年同期比24.2%増の見通し。インフレリスクや増税案、海外でのコロナ再拡大を巡る懸念との相克だ。
日経平均株価は34円高の29730円と反発。年度初めの利益確定売りをこなしてTOPIXも反発。東芝はストップ高。東証一部の売買代金は2兆5516億円。アドバンテス、太陽誘電が上昇。ファーストリテ、東エレが下落。
8日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は小動き。午後に公表されたFOMC議事要旨で「利上げ着手まで忍耐強く対応する」との姿勢を改めて確認。ただ新たな手掛かりとはならなかった。グロース株が0.28%上昇。バリュー株が0.16%下落。債券市場も小動き。
日経平均株価は21円安の29703円と小幅反落。「利益を確定する目的の売りが優勢だった」との解釈。大引け間際にプラスに転じた場面もあったが続かなかった。「新年度に入ってからファンドなどの益出しやリバランスの売りが続いている」との観測もある。東証1部の売買代金は2兆5445億円。川船、JPXが上昇。クレセゾン、OKIが下落。
9日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は上昇。S&P500は終値ベースの過去最高値を更新した。パウエルFRB議長はIMFのバーチャルセミナーに登場。「持続的なインフレにはならないだろう。FRBが景気支援を縮小する段階には程遠い」とコメントした。アップル、アマゾン、マイクロソフトが上昇。NASDAQは7週ぶりの高値水準。2月12日に付けた終値での過去最高値まであと2%に迫った。
ラッセル1000グロース指数は1.05%高。バリュー指数は0.05%安。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は74万4000件。前週の72万8000件から悪化し市場予想の68万件も上回った。
日経平均株価は59円高の29768円と反発。朝方は3万円台を回復したものその後は続かず安値引け。暫定SQ値は29909.73円。一時3万円台に乗せてきたのでザラバの「幻」は脱却したが終値ベースでは1敗。東証1部の売買代金は2兆7555億円。アドテスト、信越が上昇。ファーストリテ、東エレが下落。
(2) 欧米動向
3月の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比91万6000人増。
市場予想の64万7000人増を上回った。
新型コロナウイルスのワクチン接種拡大や政府の追加支援策が追い風。
雇用者数は昨年8月以来の大幅な増加となった。
失業率は6.0%。2月の6.2%から低下。
雇用の伸びを主導したのはレジャー・接客業で28万人増加。
レストランやバーなどの飲食業が増加分の3分の2を占めた。
ISM非製造業景況感指数は63.7と、前月の55.3から上昇。
統計開始以来の高水準を記録。
「経済指標の改善は初期段階。
新型コロナワクチン普及で4-6月期は一段の景気回復が見込める」という見方だ。
(3)新興国動向
【IMF世界経済見通し】
世界全体 2021年 6.0%(1月比プラス0.5%)22年4.4%(同プラス0.2%)
日本3.3%(△0.2%)2.5%(△0.1%)。
米国6.4%(△1.3%)3.5%(△1.0%)。
ユーロ圏4.4%(△0.2%)3.8%(△0.2%)。
中国8.4%(△0.3%)5.6%(△0)。
インド12.5%(△1.0%)、6.9%(△1.0%)。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
12日(月)国内企業物価指数、工作機械受注、65歳以上のワクチン接種開始、米財政収支、ラマダン入り(→5月12日頃)
13日(火)マネーストック、米消費者物価、独ZEW景況感、中国貿易収支
14日(水)機械受注、米輸出入物価、ベージュブック、変化日
15日(木)さくらレポート、米鉱工業生産、小売売上高、フィラデルフィア連銀製造業景況感、NY連銀製造業景況感、NAHB住宅価格指数
16日(金)日米首脳会談(予定)米住宅着工件数、中国各種経済指標
日銀の資産。
2020年度末で109兆円増加し714兆円。
伸び率は18%で2016年度末以来4年ぶりに大きさとなった。
目立つのが銀行などへの貸出金で前期比2.3倍の125兆円。
当然ではある。
社債は2.3倍の7.4兆円。
CPが13%増の2.8兆円。
国際は10%増の532兆円。
ETFの保有残高は21%増の35兆円。
日銀の総資産はGDPの1.3倍。
「先進国では突出している」との指摘だ。
「株高はすべてを解決してくれる」と感じさせるのは「企業年金利回り13.3%」の見出し。
19年度はマイナス1.3%)。
09年度がプラス13.8%だったからそれ以来だ。
利回りというよりもパフォーマンスと言った方が分かりやすい。
企業年金の総資産は9兆円。
国内株式比率は9.7%。
09年度から11.4ポイント低下している。
ただパフォーマンスは42.1%。
1989年度以降3番目に良かった。
外国株式の比率は16.1%。
パフォーマンスは58.8%だった。
国内よりも外国株で稼ぐ「日本企業の」企業年金というのが少し不満だが・・・。
(兜町カタリスト 櫻井英明)