《マーケットストラテジーメモ》 6月第1週
30日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って大幅続伸。「FRBが景気後退を回避しつつ、金融引き締めを進めることが可能」。楽観的な見方が拡大したという都合の良い解釈だ。「市場はネガティブなニュースやFRBの行動を消化し、企業決算シーズンもほぼ終了」。そんな声も聞こえる。
日経平均株価は587円高の27369円43銭と大幅続伸。上昇幅は一時610円を超えた場面があった。NASDAQ指数先物が大幅高。香港株などアジア株式も上昇。日経平均は後場に入って一段高となった。TOPIXは3日続伸。東証プライムの売買代金は4兆3018億円。4月の市場再編後で最大。TOPIX構成銘柄の浮動株比率の見直しに絡む売買で膨らんだ恰好。リクルート、エムスリーが上昇。郵船、高島屋が下落。
31日(火):
月曜のNY株式はメモリアルデーで休場。週明けのロンドンFT、ドイツDAXは4日続伸。欧州市場で国債利回りは上昇。ドイツの5月の消費者物価指数(CPI、速報値)が前年同月比7.9%上昇。前月から伸び率が加速。ドイツ国債は売られた。欧州の主要株価指数の上昇で、投資家が運用リスクを取りやすい雰囲気が拡大。相対的に安全資産とされるドイツ国債の売りにつながったとの解釈。
日経平均株価は89円安の27279円銭と3日ぶりに小幅反落。過去2日での上昇幅が750円だったので戻り待ちの売りに押されたとの解釈。東証ブライムの売買代金は5兆5088億円。MSCIの採用銘柄変更の影響が大きかった。フィルム、鉄が上昇。川船、東エレが下落。前月末比で431.9円(1.6%)高。5月の月間プラスは20年以降2年連続。月足は今年2度目の陽線。
1日(水):3連休明けのNY株式市場で主要3指数は揃って反落。OPECメンバーのが石油生産協定からロシアを一時除外する案を検討しているとの報道を受けてエネルギーセクターが軟調。バイデン大統領はFRBのパウエル議長と会談。約40年ぶりの高水準に達しているインフレ動向について協議。「市場はFRBの政策の最終段階がどうなるのか見極めようとしている」という見方だ。3市場の売買高は155.2億株と大商いになった。日経平均株価は178円高の27457円と反発。4月21日以来の高値を回復した。東証プライム市場の売買代金は2兆8971億円。トヨタ、ダイキンが上昇。東エレ、第一三共が下落。プライム市場の時価総額は702兆円(前日693億円)。700兆円台を回復。
2日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。メタ・プラットフォームズは2.6%下落。シェリル・サンドバーグCOOが退任する意向を明らかにした。セールスフォースは9.9%高。通期の業績見通しを引き上げた。ISM製造業景気指数は56.1と4月の55.4から上昇。市場予想は54.5だった。先行指標となる製造業の新規受注指数は5月に55.1。4月の53.5から上昇した。
日経平均株価は44円安の27413円と小幅反落。後場は動意薄。ADP雇用レポートや雇用統計待ちの状態との解釈。東証プライムの売買代金は2兆5463億円。ファーストリテ、太陽誘電が上昇。アステラス、テルモが下落。
3日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って大幅反発。テスラ、エヌビディア、メタ・プラットフォームズが4%超上昇。アマゾンが3.1%、アップルが1.7%高。マイクロソフトはドル高による影響が出るとして、第4四半期の利益と売上高見通しを引き下げた。ただ株価は0.8%上昇。FRBブレイナード副議長は「9月に利上げをいったん停止する理由はほとんどない」と発言。これを受け主要株価3指数は一時下落していた場面もあった。「株価はインフレの人質になっている。インフレが抑制されるまで、ボラティリティーの高い状況が続くだろう」。そんな詩的な表現も聞こえた。
大引けの日経平均株価は347円高の27761円と反発。4月5日以来およそ2カ月ぶりの高値水準。ただ米雇用統計の発表を控え上値は重かった。ボリンジャーのプラス2σ水準でもある。東証プライムの売買代金は2兆6793億円。ムスリー、リクルートが上昇。東京海上、トヨタが下落。4月21日終値27553円(高値27580円)を上抜けて形だけは「逆三尊」。
(2) 欧米動向
NYダウは9週間ぶりに反発。
サイコロは9勝3敗。
S&P500とNAASDAQは8週間ぶりに反発。
S&Pは週間で6.6%上昇。
2020年11月以来の大きさとなった。
今年は5月30日だったメモリアルデー。
ここからレイバーデー(今年は9月5日)までが夏。
(3)新興国動向
中国・上海では2カ月に及んだロックダウンの終了。
これは悪くない。
6月1日に、期限を迎えた外貨建てロシア国債の利子約190万ドルが、猶予期間内に支払われなかった。
EMEA(欧州・中東・アフリカ)クレジットデリバティブ決定委員会(CDDC)の認定。
「クレジットイベント(信用事由)に該当し、ロシア国債はデフォルト(支払い不履行)に相当する」。
こちらは暗い。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【6月】6勝4敗、(勝率60%、4位)
気学では「夏至前後の安値は底入れとみて駆け引きすべき」。
6月3日(金)米雇用統計、米ISM非製造業景況感、水星順行、中国端午節(→5日)
6月6日(月)米アップルの世界開発者会議、韓国休場、株安の日、変化日
6月7日(火)家計調査、景気動向指数、米貿易収支、消費者信用残高
東証REITCORE指数年次リバランスの発表
6月8日(水)GDP確定値、景気ウオッチャー調査
6月9日(木)マネーストック、ECB定例理事会、中國貿易収支、株安の日L
6月10日(金)メジャーSQ、国内企業物価指数、米消費者物価、中国消費者・生産者物価天赦日、一粒万倍日
6月13日(月)変化日
6月14日(火)鉱工業生産、米FOMC(→15日)、生産者物価、製造業売上高
6月15日(水)機械受注、米小売り売上高、NY連銀景況観、NAHB住宅市場指数、中国各種経済指標
6月16日(木)日銀金融政策決定会合(→17日)、株安の日L
6月17日(金)変化日、FTSE日本株指数パッシブ売買インパクト
6月20日(月)ジューンティーンス(奴隷解放記念日)でNY休場
6月21日(火)上げの特異日
6月23日(木)変化日
6月24日(金)米個人所得支出
6月26日(日)G7(→28日)ドイツ
6月27日(月)米耐久財受注
6月28日(火)大幅高の特異日
6月29日(水)失業率、上げの特異日、変化日、東証REITCORE指数パッシブ売買インパクト
6月30日(木)鉱工業生産
5月月間で海外投資家は3051億円の売り越し。
でも5月の日経平均株価は前月末比で431.9円(1.6%)高。
「海外投資家が買わなければ株は上がらない」。
呪縛と言うか古色蒼然とした他力本願の相場観というか。
4月は買い越しでマイナス。
3月は売り越しでプラス。
バブルを経験し、バブル崩壊を経験してきた昭和の世代の相場観は遠のいていくのかも知れない。
いずれ会期末に出てくる野党の内閣不信任案みたいなものと化すのだろうか
因みに・・・。
5月の月間プラスは20年以降2年連続。
月足は今年2度目の陽線。
(兜町カタリスト 櫻井英明)