《マーケットストラテジーメモ》11月第4週
【推移】
24日(火):
週末のNY株式市場で主要株価指数は揃って反落。「コロナ感染の急増とワクチン開発の進展で、相場は一進一退の動き」との解釈。ファイザーはコロナワクチンの緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)に申請。コロナワクチンの緊急使用許可申請は米国内で初めて。週間ではNYダウとS&P500が小幅安。NASDAQは小幅高。
日経平均株価は638円高の26165円と4日ぶりの反発。上昇幅は6月16日の1051円以来の大きさ。一時700円以上上昇した場面もあった。ワクチントレードに加えイエレン前FRB議長の財務長官就任観測も好材料となった。
TOPIXは3日続伸で年初来高値を更新。2018年10月以来の高値水準を回復した。東証一部の売買代金は2兆9478億円。三井不動産、東エレが上昇。KDDI,ニチレイが下落。今月4回目の週明け急伸パターン。アノマリーは「11月3連休明けの株高(過去18勝1敗)」だった。
25日(水):
火曜のNY株式市場で主要株価指数は揃って続伸。NYダウは史上初の30000ドル台乗せ。NASDAQは12000ポイント台を回復した。トランプ米大統領はバイデン次期政権への移行プロセスを開始することを一般調達局(GSA)に許可。
またバイデン氏が次期財務長官にFRBのイエレン前議長を指名するとの報道。これにコロナワクチン等の進展が加わり市場はリスクオン。
日経平均株価は134円高の26296円と続伸。一時は500円以上上昇した場面もあったが、後場上昇幅を縮小。東証一部の売買代金は3兆1507億円。日産、ファーストリテイリングが上昇。ニチレイ、楽天が下落。
26日(木):
水曜のNY株式市場で主要株価指数はNYダウとS&P500が反落。IT(情報技術)関連セクターの大型株の好調からNASDAQは続伸。
週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は77万8000件と2週連続で増加。前週は74万8000件。市場予想は73万件の減少だった。新型コロナ感染再拡大や一連の制限措置を背景にレイオフが増加。労働市場の回復を阻害しているという見方だ。10月の個人消費支出と設備投資は市場予想を上回った。
日経平均は240円高の2万6537円と3日続伸。小安く始まったものの、その後はプラス圏に切り返し、後場後半に一段高に買われた。東証1部の売買代金は2兆4792億円。SBG、グレイスが上昇。トヨタ、JR東海が下落。
27日 (金):
木曜のNY株式市場は感謝祭で休場。日経平均は107円高の26644円と4日続伸。前場はマイナス展開だったが後場切り返した格好。高値警戒感の強まりで利益確定売りも出やすく上値は限定的。ただ今週の上昇幅は1117円だった。
週足は陽線。東証1部の売買代金は3兆4069億円。SBG、キーエンスが上昇。トヨタ、ダイキンが下落。日銀が保有しているETF。9月末での含み益が5兆8469億円。3月末から半年で約19倍に増加したという。18年9月が7兆2000億円だったからこれに次ぐ水準。
因みに、18年9月の日経平均は24120円。今年9月の日経平均は23185円。そこから3000円は上昇しているので今は史上最高だろう。懸念は今や杞憂に変じた格好だ。
(2) 欧米動向
CB消費者信頼感指数は96.1。
前月の101.4から低下し市場予想の98を下回った。
恐怖と欲望指数は91ポイント→92ポイント。
「強烈な欲望」の世界での展開。
(3)新興国動向
中国国家統計局が27日発表した10月の工業部門企業利益は前年同月比28.2%増の6429億1000万元(977億9000万ドル)。
6カ月連続で増加した。
2017年初め以来の高い伸びで今年の序盤に新型コロナウイルス流行で大打撃を受けた製造業の着実な回復ぶりを示した。
9月は10.1%増だった。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
【12月】6勝4敗、(陽線確率60%)、過去15年9勝5敗(3位)
気学では「押し目買い。上場機運。納会は平穏」
1日(火):失業率、法人企業統計、自動車販売台数、米ISM製造業景況感、中国製造業PMI、株高の特異日
MSCI日本指数半期リバランス実施
2日(水):マネタリーベース、消費動向調査、米ADP雇用レポート
3日(木):米ISM製造業景況感、株高の日
4日(金):米雇用統計、貿易収支、変化日
5日(土):臨時国会会期末(予定)
6日(日):「はやぶさ2」の帰還カプセルが着地
7日(月):景気動向指数、米消費者信用残高、中国貿易収支
8日(火):GDP確定値、家計調査、景気ウォッチャー調査、米大統領選で州の結果確定期日
9日(水):マネーストック、機械受注、中国生産者・消費者物価
10日(木):法人企業統計予測調査、国内企業物価指数、米消費者物価、財政収支、ECB理事会、EU首脳会議(ブリュッセル)、ノーベル賞授賞式、変化日、株安の日
11日(金):メジャーSQ、米生産者物価、ミシガン大学消費者信頼感、一粒万倍日・鬼宿日・神吉日
14日(月):日銀短観、第3次産業活動指数、米大統領選挙人投票、欧州議会本会議、ふたご座流星群極大、株安の日
15日(火):米NY連銀製造業景況感、鉱工業生産、輸出入物価、対米証券投資、FOMC(→16日)、中国各種経済指標、株安の日
16日(水):貿易統計、訪日外客数、米小売り売上高、NAHB住宅指数、パウエル議長記者会見
17日(木):日銀金融精枠決定会合(→18日)、米住宅着工件数、フィラデルフィア連銀製造業景況感、変化日
18日(金):黒田日銀総裁会見、消費者物価、米経常収支、独IFO景況感
21日(月):テスラがS&P500に採用、変化日、土星木星大接近
22日(火):米GDP確定値、中古住宅販売、株高の特異日
23日(水):米新築住宅販売件数
24日(木):企業向けサービス価格指数、米耐久財受注。株安の日
25日(金):失業率、クリスマス
28日(月):鉱工業生産、ボクシングデー
29日(火):米CB消費者信頼感、CS住宅価格指数、変化日
30日(水):大納会、FTSE日本指数3月半期リバランス基準日
31日(木):大晦日、中国製造業PMI、非製造業PMI、英国のEU離脱期限が終了
JPモルガンの見通し。
弱気材料は・・・。
(1)米国大統領選後、ワクチン開発といった大きなカタリストが既に顕在化
(2)足元での世界的なコロナ感染再拡大を受け、欧州を中心に経済指標の弱く含みの想定
(3)来期にかけての企業業績回復、業績予想リビジョンの改善を当て込んだとしても
バリュエーション面での上昇余地が乏しくなってきた
一方で強気材料は・・・。
(1)良好な需給環境
(2)景気回復基調の継続
(3)経済・企業業績正常化への期待が一段と高まる可能性
そして「コロナ・ショック以前に市場が想定していた2021年度予想EPS」。
これを織り込みに行くのであれば・・・。
TOPIXは1900→1950ポイント
日経平均は28000円→29000円
(兜町カタリスト 櫻井英明)