《マーケットストラテジーメモ》3月 第2週
7日(月):
週末の主要3指数は揃って続落。2月の雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比67.8万人。市場予想の40万人増を大幅に上回った。時間当たり平均賃金は31.58ドルと前月比ではほぼ横ばい。
市場予想は0.5%増。失業率は3.8%。2020年2月以来の水準に改善した。ただ相場の主眼はウクライナ問題。対ロシア制裁措置が国際金融システムにどのような影響を及ぼすかの懸念。アマゾン、アップル、グーグルの親会社アルファベット、マイクロソフトが1%超下落した。
日経平均株価は764円安の2万5221円と大幅に続落。昨年来安値を更新した。下落幅は一時900円を超え、節目の25000円に近づく場面があった。ウクライナ情勢を巡り欧米諸国がロシアからの原油輸入の禁止を検討していること。供給逼迫の懸念から原油先物価格は急騰。「資源高による世界景気の悪化リスクが警戒され世界的な株安」との解釈だ。
WTI原油先物は一時1バレル130.50ドルと2008年7月以来の高値。欧米の株価指数先物も大幅安。東証1部の売買代金は3兆7199億円。INPEX、住友鉱が上昇。日野自、ファナックが下落。
8日(火):週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って3日続落。下落幅、下落率ともに今年最大。昨年3月以来1年ぶりの安値水準。NASDAQは昨年11月19日に付けた終値ベースの過去最高値を20.1%下回った。同指数の弱気相場入りが確認されたのは2020年以来。NYダウは1月4日に付けた終値ベースの最高値を10.8%下回り調整局面入りた。原油先物は急伸して2008年以来14年ぶりの高値水準。インフレ懸念が高まった格好だ。日経平均株価は430円安の24790円と3日続落。昨年11月6日の24325円以来の25000円割れとなぅた。もっとも前場にプラスに転じた場面もあったが後場下落幅を拡大。ほぼ安値で引けた格好。東証一部の売買代金は4兆768億円。11月30以来の4兆円台。値上がり346銘柄、値下がり1788銘柄。ダイキン、サイバーが上昇。出光興産、鉄が下落。
9日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って4日続落。荒い値動きの中で結局続落。ロシア産の原油や天然ガス、石炭の輸入を禁止する方向からインフレを警戒した。ディフェンシブセクターが下落。一方テスラ、メタ・プラットフォームズ、アルファベットなどグロース株は上昇。1月の貿易収支は、輸入の増加に伴い赤字が前月比9.4%増の897億ドルに拡大。過去最大となった。
市場予想は871億ドル。EUが大規模な共同債発行計画を発表する可能性があるとの報道を受け国債が売られた。原油高でインフレ高進が一段と進むとの懸念も利回りの押し上げ要因。
日経平均株価は73円安の27417円と4日続落。連日での昨年来高値更新となった。買い戻し中心に反発しつが大引けにかけて売り物優勢となった。東証一部の売買代金は3兆2731億円。いすゞ、富士通が上昇。キッコーマン、リコーが下落。
10日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って5日ぶりに大幅反発。原油先物相場の落ち着きを好感。インフレ加速や景気減速を巡る懸念が後退。金融株やテクノロジー株が上昇を主導した。S&P500は2020年6月以来の大幅な上昇率。NASDAQも21年3月以来の上昇率。引け後にアマゾンは株式分割と自社株買いを発表。時間外取引で約9%
日経平均株価は972円高の2万5690円40銭と大幅に5日ぶりに反発。上昇幅は2020年6月16日(1051円)以来の大きさだった。原油など主要な国際商品の上昇が一服しリスク回避の姿勢から買い物優勢の展開。
前日まで3日連続で昨年来安値を更新。直近4営業日で1800円超下落していたことからの自律反発、アジアの主要株式相場が堅調だったことも追い風。一時上昇幅は1000円を超えた場面もあった。東証1部の売買代金は3兆3885億円。昭電工、GSユアサが上昇。大平金、東電セブンアイが下落。
11日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。ただ主要株価3指数はいずれも、日中安値からは大きく切り返す展開。1対20の普通株の分割と最大100億ドルの自社株買いを発表したアマゾンが5.4%上昇。2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.9%上昇。伸びは前月(7.5%)から拡大。1982年1月以来約40年ぶりの高さとなった。CPIの上昇率が前年同月比で6%を超えたのは5カ月連続。前月比でも0.8%上昇と1月の0.6%上昇から加速した。
2月のCPIには30%超急騰した原油価格の影響は反映されていない。週間新規失業保険申請件数は前週比1万1000件増の22万7000件。市場予想は21万7000件だった。10年債利回りは一時約2週間ぶりに2%台に乗せた。
日経平均株価は527円安の25162円と大幅に反落。昨日の大幅高の反動という見方もある。「週末にウクライナ情勢を巡って再び悪材料が出る可能性もあり、投資家は買いに慎重になっている」という声も聞こえる。一時25000円を割れこんだ場面もあった。
SQ値は25457円94銭に対しては「幻」ではないが1敗。TOPIXは1800ポイント割れ。東証1部の売買代金は3兆3145億円。日揮、川船が上昇。レーザーテック、SBGが下落。
(2) 欧米動向
米1月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が18.5万件減の1126.3万件。
求人件数は減少したが過去最高に近い水準を維持。
2021年12月の求人件数は前回発表の1144.8万件に上方修正。
過去最高となった。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事のコメント。
ウクライナでの紛争とロシアに対する大規模な制裁は世界貿易の縮小を引き起こし食料価格とエネルギー価格を急上昇させる。
IMFは来月に世界成長見通しを引き下げざるを得ない。
(3)新興国動向
中国の2月の国内銀行の新規人民元建て融資は1兆2300億元(1950億ドル)。
過去最高だった1月の3兆9800億元から急減した。
「減速する景気を下支えするため、人民銀行に金融緩和を求める圧力が高まりそう」との見方。
市場予想は1兆4900億元。
前年同月の1兆3600億元も下回った。
【展望】
スケジュールを見てみると。
【3月】5勝5敗、(勝率50%。10位)
気学では「初旬は戻り売り。一進一退で続かず。後半に下げ」。
3月13日(日)NY市場サマータイム入り(→11月7日)
3月14日(月)貿易収支、
3月15日(火)米FOMC(→16日)、生産者物価、NY連銀製造業景況感、独ZEW景況観、中国各種経済統計、株高の日
3月16日(水)貿易統計、スマートエネルギーWEEK(東京)、FRB議長会見、小売売上高、輸出入物価、NAHB住宅価格
3月17日(木)日銀金融政策決定会合(→18日)、機械受注、首都圏マンション販売、米フィラデルフィア連銀製造業景況感、鉱工業生産、住宅着工許可件数
3月18日(金)消費者物価、第3次産業活動指数、米クワドラブルウィッチング、中古住宅販売件数、変化日、FTSE日本株パッシブ売買インパクト
3月21日(月)春分の日で休場、18都市まん延防止法期限
3月22日(火)株高の日L、FTSE日本株指数半期リバランス実施
火曜の売買代金4兆円台は昨年11月30日5兆4893億円以来の高水準。
この日を含め昨年は合計7回、4兆円以上の売買代金を記録した日があった。
年初から見て行くと・・・。
(1)1月28日
(2)3月19日
(3)5月27日
(4)9月17日
(5)9月30日
(6)10月28日
(7)11月30日
(兜町カタリスト 櫻井英明)