《マーケットストラテジーメモ》9月3週
【推移】
17日(火):
週末のNYダウは昨年5月以来の8日続伸。一方NASDAQとS&P500は反落。ゴールドマンによる目標株価引き下げが嫌気されたアップルが足を引っ張った。米小売売上高は前月比0.4%増と市場予想の0.2%増を上回って着地。個人消費が底堅いことを示した。主要株価3指数はそろって3週連続上昇。市場の関心はFOMCという格好。
国債利回りは5日連続の上昇(価格は下落)。
FT100は4日続伸。DAXは8日続伸、CACは4日続伸。週明けのNYダウは142ドル安の20076ドルと9日ぶりの反落。サウジアラビアの石油施設が14日に無人機の攻撃を受け供給への懸念で原油先物相場が急伸。「企業の生産などのコスト増や個人消費の減退を懸念した売りが優勢」との解釈だ。
日経平均株価は13円高の22001円と小幅に10日続伸。終値ベースの22000円台は4月26日以来約5ヶ月ぶり。サウジアラビアの石油施設への攻撃で原油高となったが影響は限定的。トヨタ、任天堂が上昇。SBGが下落。
18日(水):
NY株式市場で主要3指数は揃って小幅反発。サウジのエネルギー相が「石油施設への攻撃で失われた日量570万バレルの生産量が月内に復旧」とコメント。原油供給懸念が後退し原油価格が約6%下落。市場の関心は翌日のFOMCへと移行し様子見モードの展開。
エネルギーセクターは反落。8月の鉱工業生産指数は製造業部門が0.5%上昇し市場予想の0.2%上昇を上回った。ただ貿易摩擦や世界経済の鈍化を背景に製造業の見通しは引き続き軟調。銀行や企業が資金調達する際に支払う翌日物レポ金利は前日に続き上昇。
日経平均株価は40円安の21960円と11日ぶりの反落。FOMC待ちの様子見継続。ファナック、東ガスが上昇。ソニー、国際帝石が下落。「上げの特異日」の水曜日だったが一昨年10月25日に16連騰を止めたのも水曜だった。
19日(木):
NY株式は大きく下げてからの巻き戻し。NYダウは一時前日比211ドル安があってから急速に下落幅を縮小し終値は36ドル高と反発。NASDAQも終値はマイナスながら安値からは100ポイント超戻した。FOMCは0.25%利下げを決定。ただ今後の追加利下げを実施についてほとんど手掛かりを示さなかった。追加利下げを期待していた投資家が肩透かしを食らった格好で当初は売り物優勢。
パウエル議長が「FRBには必要に応じて積極的な措置を取る用意がある」とコメント。玉虫色なコメントだがこれを受け株価は上向いた。トランプ大統領は「根性なし。判断力なし。展望なし!恐ろしいほど意思疎通が下手だ。ジェイ・パウエル(議長)とFRBは、またもやしくじった」とツイート。
日経平均株価は83円高の22044円と反発。朝方は買い先行の動きで300円高に迫る展開。昼休みに日銀の金融政策決定会合が現状維持で据え置きと発表され円高・ドル安進行となり後場は次第に伸び悩んだ。公表文に前回まではなかった「次回会合で経済・物価動向を改めて点検していく」との文言が加わったことを嫌気したとの解釈。
追加の金融緩和策としてマイナス金利が深掘りされれば収益圧迫につながるリスクが意識されるとの見方となった。富士通、リクルートが上昇。トヨタ、京セラが下落。
20日(金):
NY株式は小動きでマチマチの展開。マイクロソフトが一時2.8%上昇。142.37ドルと過去最高値を更新。時価総額は1兆0900億ドルと米上場企業として最大となった。一方アップルは0.8%安。S&P500は史上最高値まであと1%に迫っている。
ニューヨーク連銀はレポ取引を通じた資金供給を継続して実施。750億ドルを市場に供給した。スイス、英国、日本の中銀が政策維持を決定。一方、ノルウェー中銀は利上げを決定。
日経平均株価は34円高の22079円と小幅続伸。3連休控えということもあり大引けにかけて上昇幅は縮小した。「2日連続での上ヒゲの長い陰線。正念場の感じだ」という声が聞こえる。サンバイオがけん引役となってマザーズ指数は大幅続伸。日経ジャスダック平均は11日続伸。
東証1部の売買代金は2兆7700億円。大引けのFTSEの銘柄入れ替えにともなう売買が効いた格好。新高値141銘柄。新安値1銘柄。任天堂、キリンが上昇。ヤマト、鉄が下落。
(2) 欧米動向
今年世界株で一番上昇しているのはロシアの29%。
次がNASAQの23%。
上海が19%だ。
NYダウ、独、仏と2ケタの上昇。
豪州、イタリア、ブラジル、台湾、トロントも2桁だ。
日経平均上昇率は9%。
それ以下は英国、香港、南アフリカ、タイ、インドネシア、韓国、シンガポール、メキシコ。
なんらかの政治的課題のある国が劣後している。
そう考えると中途半端な日本というのはどういう位置づけになるのかが結構難しい。
(3)アジア・新興国動向
世界の株式相場は主要25の株価指数のうち11指数が上昇。
上位1位韓国週間騰落率2.07%、2位インド1.68%、3位メキシコ1.68%、
4位ブラジル1.27%、9位日本0.41%。
下位25位香港▲3.35%、24位トルコ▲2.75%、23位インドネシア▲1.63%、
22位シンガポール▲1.61%、17位米国▲1.05%、16位中国▲0.82%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
23日(月):秋分の日で休場、米シカゴ連銀全米活動指数
24日(火):米S&P住宅価格指数、CB消費者信頼感、独IFO景況感、国連総会一般討論
25日(水):日銀金融政策決定会合議事要旨、企業向けサービス価格指数、米新築住宅販売
26日(木) :米GDP確定値、中古住宅販売仮契約、権利付き最終日
27日(金):米耐久財受注、個人所得・支出
1日(火):日銀短観、失業率、消費税10%に増税、幼児教育無償化、改正電気通信事業法施行、米ISM製造業景況感、建設支出、中国建国70周年記念式典、国慶節、第4回全体会議
2日(水):マネタリーベース、消費動向調査、米ADP雇用レポート
3日(木):米ISM非製造業景況感、製造業受注
4日(金):投資の日、臨時国会招集、米雇用統計、貿易収支
週末:中朝修好70周年
上げが10日も続くとマインドも温まるのだろう。
水曜日経朝刊マーケット面では「日本株、過熱サイン点灯」の見出し。
騰落レシオの124%が過去の経験則からは「買われすぎ」だという論旨。
今年2月5日(133%)以来の高水準だという。
当時の日経平均は20844円。
その後4月24日の22362円まで上昇したのが歴史だ。
その時騰落レシオは94%まで低下していた。
騰落レシオは下(70%割れ)では効くが上ではあまり効かないのが相場でもある。
東証1部で1039銘柄(全体の48%)が25日線から5%以上の上方かい離。
25日線をうえまわっているのは全体の86%。
これは80?90%がピークという説もあるにはある。
一方で「日経平均は年末までに24000円をメドに一段高もアリ得る」というのは強気の免罪符。
「どうにも止まらない」なのか「やっぱり」なのかの分水嶺。
「PER13倍台、PBR1.2倍が巡航速度。
計算上は23000円。
日経レバの売りが積み上がり貸借倍率0.1倍。
1日50円の逆日歩。
2017年は日経平均のサイコロ100%が5日続いた。
「買いにくい相場は高い」と市場関係者。
(兜町カタリスト 櫻井英明)