《マーケットストラテジーメモ》8月第2週
【推移】
3日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数はそろって上昇。アップル、アマゾン、フェイスブックなどの決算を好感。「決算内容は非常に底堅い。これらの企業は儲かっており、人々が欲しがる製品を作っている」という見方だ。
失業者に対する週600ドルの特別給付措置が7月末で失効を迎える。追加対策を巡る与野党協議は平行線。上値の重い展開になった。
アップルは10.5%高。
日経平均株価は485円高の22195円と7日ぶりに反発。13週線(22031円)や52週線(21844円)を回復した。「6日続落で1200円近く下落していたため売り方による買い戻しも入りやすかった」との解釈。一時500円以上上昇し22200円台を回復した場面もあった。
ただ新規の取引材料は乏しく、持ち高を一方向に傾ける動きは限定的。東証1部の売買代金は2兆2748億円。SBG、ファーストリテが上昇。キーエンス、NECが下落。
4日(火):
週明けのNY株式市場でNYダウは12週連続の週初高。NASDAQは連日の157ポイント高で10902.80ポイント。7月20日の終値ベース過去最高値を更新した。議会で新型コロナウイルス追加対策を巡る協議が再開。
マイクロソフトによる「TikTok」買収交渉などを受け市場心理が改善。マイクロソフトは5.6%高。アップルは続伸し2.5%高。「M&Aの月曜」は健在。警備会社ADTは56%急騰。放射線治療機器大手のバリアン・メディカル・システムズは22%高。
日経平均株価は378円高の22573円と大幅続伸。ドル高とNY株高を追い風に買い物優勢の展開。東証一部の売買代金は2兆5086億円。2日間の上昇幅は863円で金曜の629円安を埋めた。旭化成、小田急が上昇。SBG、オムロンが下落。減益ながら市場予想を超えたキッコーマンがストップ高。「出尽くし感」の効用も否定はできない。
5日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はそろって続伸。新型コロナウイルス追加経済対策への期待感が継続。アップルが0.7%高と5日続伸。前週発表された決算を好感する動き。米上場企業として初の時価総額2兆ドルまであと約1200億ドルに迫った。エネルギーセクターも上昇。
日本時間早朝にレバノンの首都ベイルート中心部で起きた爆発は懸念材料。新型コロナウイルス追加対策を巡る米与野党協議の行方も注目されている。
日経平均株価は58円安の22514円銭と小幅反落。後場は日銀のETF購入期待で下落幅を縮小した。東証一部の売買代金は2兆1780億円。鉄、紅が上昇。SBG、重工が下落。日銀のETF買いへの期待から後場、下落幅を縮小。結局日銀は1003億円のETFを買っていた。
(先月は1日1002億円だったから1億円増)。水曜は3週連続安。
6日 (木):
水曜のNYダウは4日続伸で27000ドル台。NASDAQは6日続伸。3日連続で史上最高値を更新した。ウォルト・ディズニーが第3四半期決算は赤字に転落したものの、調整後ベースでは黒字を確保したことを好感。8.8%高は1日の上昇率としては3月24日以来の大きさ。ISM非製造業総合指数(NMI)は58.1と16カ月ぶりの高水準。市場予想は55.0だった。
日経平均株価は96円安の22418円と続落。一時150円以上下落した場面もあった。米中対立を巡る警戒感で香港株式相場が下落。悪材料氏された。トヨタの決算は純利益で前年同期比74%減の1588億円と大幅減益で着地。
ただ最終赤字と見込んでいた市場予想に反して黒字を確保したことから同社株は堅調展開。下値を支えた格好となった。東証1部の売買代金は1兆9955億円と2兆円割れと低調。エムスリー、DeNAが上昇。東エレ、スクリンが下落。
7日(金):
木曜のNYダウとS&P500は5日続伸。NASDAQは7日続伸。4日連続で過去最高値を更新し11000ポイント台に乗せ。アップルやフェイスブックなどの大型テクノロジー株が指数を押し上げた。
週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は118万6000件。前週から24万9000件減少した。ADP全米雇用レポートで民間部門雇用者数の伸びは16万7000人。前月の431万4000人から急鈍化した。市場予想の150万人も大幅に割り込み、景気回復が早くも息切れしている兆候を示した格好。恐怖と欲望指数は70→73。過熱感拡大。75を越えれば「超楽観」状態だ。
日経平均株価は88円安の22329円と3日続落。金曜は7月10日から4連敗中。決算が市場予想を上回った銘柄などには買いが入り、相場を下支えし下げ渋りの展開となったが戻りは限定的。「NYの週初高が脳裏をかすめた」との見方もある。
週足は陽線ながら前場段階の5日線は下回った。下はボリンジャーのマイナス1σ(22250円)がサポート。TOPIXも続落。東証1部の売買代金は2兆2781億円。任天堂、トヨタが上昇。資生堂、東エレが下落。
(2) 欧米動向
「米住宅、郊外移転が活況」の報。
在宅勤務での需要が郊外の住宅に目を向けさせた恰好。
マンハッタンから車で北に2時間のサリバン群。
「数年先まで在宅勤務を続けることを見据えて郊外のより大きな家探し」。
この動きは本物なのか偽物なのか興味深い。
映画「トレイン・ミッション」よりも長距離の通勤になるのだろうが・・・。
ISM製造業景気指数は54.2。
昨年3月以来の水準に上昇した。上昇は2カ月連続。
先行指標である新規受注指数が61.5と2018年9月以来の高水準。
6月の建設支出(季節調整済み)は、年率換算で前月比0.7%減の1兆3550億ドル。
3カ月連続で減少し19年6月以来の低水準。
(3)アジア・新興国動向
この頃アメリカが禁じるもの。
5分野での中国企業排除。
「アプリストア」米国のアプリストアから中国製アプリを排除
「スマートフォンのアプリ」米国製アプリの中国製スマホへの事前インストールを禁止
「クラウドサービス」アリババなど中国企業を排除
「海底ケーブル」中国による諜報目的の海底ケーブル利用を禁止
「通信キャリア」米通信網から中国の通信事業者を排除
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【8月】陽線確率3勝7敗、(陽線確率30%)、過去15年6勝9敗(12位)
気学では「保合月。小幅稼ぎのとき。前途の高値に期待」
10日(月):山の日で休場、中国生産者・消費者物価
11日(火):景気ウォッチャー調査、米生産者物価、独ZEW景況感
12日(水):マネーストック、米消費者物価、財政収支、株安の日
13日(木):企業物価指数、米輸出入物価、、MSCI日本指数四半期リバランス発表、変化日、ペルセウス流星群極大
14日(金):オプションSQ、第三次産業活動指数、米小売売上高、鉱工業生産、中国工業生産・小売売上高等経済指標、株高の日
ところで立秋も通過。
例年来年の干支銘柄を考え始める時期となった。
来年の干支は「丑」。
ちなみに丑年は「草花などが伸びようとして曲がってしまってまだ十分に伸び切れていない状態」。
丑年が表現するのは「粘り強さ、堅実さ、誠実さ」。
「しっかり」というのが印象だ。
そして古来、牛は酪農や農業で人を助けてくれる重要な存在。
だから「我慢」や「芽が出る」という意味があるという。
相場格言の「丑つまづき」は気になるが・・・。
干支関連でざっと思いつくところでは・・・。
明治(2269)、森乳(2284)、六甲バター(2266)、吉野家(9861)、
ゼンショー(7550)、農産工(2051)など。
農薬、牛肉、農機というのもキーワード。
「モーはまだなり、まだはモーなり」だ。
(兜町カタリスト 櫻井英明)