《マーケットストラテジーメモ》 10月第2週
10日(火):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って急反発。ハイテク株が上昇を主導。S&P500とNASDAQ総合は1日としては8月下旬以来最大の上昇率。週明けの主要3指数は続伸。中東情勢の緊迫で原油先物が供給を巡る懸念から急騰。FRBのジェファーソン副議長のコメント。「債券利回りの上昇を通じた金融引き締めを今後も認識しつつ、将来の政策の方向性を評価することを心掛ける」。株価市場はこのよりハト派的な発言が出たことを受け序盤の安値から切り返した。
日経平均株価は751円高の31746円と反発。9月の米雇用統計では非農業部門の就業者数が市場予想を大幅に上回る伸び。一方、平均時給の前月比の伸び率は予想を下回り、賃金インフレへの過度な懸念が後退。米長期金利が低下したことも日本株の支えだった。TOPIXは3日続伸。東証プライムの売買代金は3兆4982億円。INPEX、ファストリが上昇。ANA、安川電が下落。空売り比率は38.0%と14日ぶりに40%割れ。
11日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って3日続伸。通期利益見通しを引き上げたペプシコが1.9%高。コカ・コーラも2.2%上昇。トゥルイスト・フィナンシャルが6.6%急伸。
日経平均株価は189円高の31913円と続伸。値がさの半導体関連などを中心に買いもの優勢となった。上昇幅は一時200円を超え32000円台を回復した場面があった。TOPIXは小幅に反落。東証プライムの売買代金は3兆3821億円。ファストリ、KDDIが上昇。NTTデータ、安川電が下落。
12日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って4日続伸。不安定な地合いながら引けにかけて戻した格好。シェール大手パイオニア・ナチュラル・リソーシズ)を595億ドルで買収すると発表したエクソンモービルが3.6%安。9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比2.2%上昇。伸びは8月の2.0%から加速。市場予想の1.6%上昇を上回った。
日経平均株価は588円高の32494円と高値引けで3日続伸。値がさの半導体関連などを中心に買いもの優勢となった。上昇幅は一時420円を超える場面があった。TOPIXは反発。東証プライムの売買代金は4兆1763億円。東エレ、レーザーテックが上昇。川船、鉄が下落。日経平均は9月配当落ち分を埋めた。
13日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って5日ぶりに反落。CPI発表後、S&P500は前日終値をはさんで推移。「低調な30年国債入札を受け、国債利回りが上昇したことを嫌気した」との解釈。素材セクターが1.5%安。金利に敏感な公益事業、不動産のセクターも1%超下落。情報技術とエネルギーセクターは上昇。
日経平均株価は178円安の32315円99銭と反落。一時は小幅に上昇した場面もあった。暫定SQ値32360円はザラバで上回り「幻」脱却。ただ終値では下回り1敗。東証プライムの売買代金は3兆7676億円。東エレ、ファーストリテが上昇。レーザーテック、ダイキンが下落。
(2) 欧米動向
9月の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比33万6000人増。
市場予想の17万人増を大幅に上回った。
過去8カ月で最大の伸びとなった。
失業率は3.8%で、前月から横ばい。
平均時給は前年比4.2%増。
8月の4.3%増から鈍化し2021年6月以降で最小の伸びとなった。
9月の米CPIは前月比0.4%上昇。
住居費の0.6%上昇がCPI上昇の半分以上を占めた。
前年比は3.7%上昇で8月と変わらず。
市場予想は前月比0.3%上昇、前年比3.6%上昇だった。
(3)新興国動向
中国の習近平国家主席はコア技術のブレークスルーに向けた取り組みを加速させるよう呼びかけた。
習主席はまた、長江経済ベルトの発展促進に関する演説で、中国のサプライチェーン(供給網)の近代化、最先端の製造業および戦略的な新興産業の発展という目標を再確認したという。
【展望】
【10月】(6勝4敗:勝率60%)
戻り売り一貫。新安値は買い。
16日(月)米NY連銀製造業景況感、上げの特異日
17日(火)第三次産業活動指数、IT見本市シーテック(幕張メッセ→20日)、米小売売上高。鉱工業生産、NY連銀ビジネスリーダースサーベイ、独ZEW景況感、天赦日、株高の日L、変化日
18日(水)首都圏マンション販売、米住宅着工件数、ベージュブック、中国各種経済指標
19日(木)貿易統計、米フィラデルフィア連銀製造業景況感、中古住宅販売、
20日(金)消費者物価、任天堂「スーパーマリオブラザーズワンダー」発売、米ウィッチング、株高の日
22日(日)アルゼンチン大統領選、スイス総選挙
23日(月)変化日
24日(火)じぶん銀行製造業PMI、米S&Pグローバル製造業PMI
25日(水)米新築住宅販売、独IFO景況感
26日(木)企業向けサービス価格、ジャパンモビリティショー(ビッグサイト→11月5日)、米GDP速報値、EU首脳会議(ブリュッセル→27日)、ECB理事会
27日(金)東京都区部消費者物価、米個人所得、TOPIXパッシブ売買インパクト
28日(土)G7貿易相会合(大阪→29日)、プロ野球日本シリーズ開幕
30日(月)日銀金融政策決定会合(→31日)、欧州冬時間入り、TOPIXパッシブ売買インパクト、株高の日L
31日(火)日銀展望リポート、失業率、鉱工業生産、消費動向調査、米FOMC(→11月1日)、S&Pコアロジック住宅価格指数、FHFA住宅価格指数CB消費者信頼感、ユーロ圏GDP速報値、中国製造業非製造業PMI
(兜町カタリスト 櫻井英明)