《マーケットストラテジーメモ》6月第4週
【推移】
24日(月):
週末のNY株式は小幅反落。ペンス副大統領が中国に関する演説を中止。米中通商会議への期待が高まったとの解釈。一方でイランとの対立が懸念材料視された。S&P500はザラ場の史上最高値を更新。原油先物が上昇しエネルギーセクターが上昇した。
NYダウは週間で2.41%上昇し3週連続の上昇。S&P500は2.20%、NASDAQは3.02%の上昇。先物決済の日だったことから3市場の売買高は86億株と増加。銀行のストレステストは全18行が合格。10年国債利回りは2.001%。ドル円は107円台前半での推移。
日経平均株価は27円高の21285円と小幅反発。上昇の背景はシカゴのNY株先物の上昇。ただ商いは低調で東証一部の売買代金は1兆4115億円。2014年12月26日以来約4年半ぶりの低水準だった。
リクルート、ソニーが上昇。サイバー、スズキが下落。「イベント前の手掛けづらさ。大崩れはないだろうという安心感がある分、派手に上昇する銘柄も少なくない。株価より出来高が欲しい」という見方だ。もっとも視点を逆にすれば「陰の極」。「出来高は裏切らない」という格言もある。
25日(火):
週明けのNY株式市場は小幅反発。米中両国が貿易協議を事務レベルで再開したとの報道を好感。中国への収益依存度が高い航空機のボーイングや建機のキャタピラーなどが上昇した。「早期利下げと米中貿易協議の進展期待から最高値を引き続き視野に入れている」という格好。ただ上値は重い展開。大阪G20首脳会議、米中首脳会談を控え積極的な取引が控えられた格好。
日経平均株価は92円安の21193円と反落。中東情勢への懸念と米中首脳会談への期待感後退が背景との解釈。ドル円の106円台が効いた。日経平均株価は一時170円超下落した場面もあった。ドコモ、味が上昇。東エレ、ファナックが下落。
26日(水):
NY株式市場はハイテクセクター中心に下落。3週間で1900ドル上昇した反動と言ってしまえばそれまでだが解釈は満載。パウエルFRB議長は「短期的な政治圧力から隔絶」しているとコメント。トランプ大統領の利下げ要求をけん制した。セントルイス地区連銀のブラード総裁。「7月のFOMCで50ベーシスポイントの利下げが必要だとは考えていない」とコメント。7月の利下げがない可能性が指摘された。もっとも利下げ自体はマーケットだけが望んでいるもので必然性は少ないというのも現状だ。
日経平均株価は107円安の21086円と続落。約1週間ぶりの安値となった。ドル円は107円台で落ち着いていたが株価は軟調な展開。天赦日のアノマリーも効かなかった。LIXILグループ、高島屋が上昇。ファーストリテ、SBGが下落。
27日(木):
NY株式市場はマチマチの展開。SOX指数が3%超の上昇でNASDAQは反発。一方、ヘルスケアセクターが軟調でNYダウとS&P500は続落。依然として焦点は週末の大阪でのG20での米中首脳会談の行方。ムニューシン財務長官は「米中通商交渉が90%程度完了していた」とコメント。トランプ米大統領は「中国の習近平国家主席との会談で通商合意を得ることは可能。ただ物別れに終われば、中国製品に追加関税を発動する」とコメント。この方向感のなさが市場をさまよわせた格好だ。
日経平均株価は251円高の21338円と3日ぶりの反発。日中値幅は約94円と狭いレンジだったが日足は陽線。6月期末権利配当落ち分(32円)を考慮すれば小幅続落の印象だ。
明らかに木曜安のリズムは木曜高の変化してきた。
これで今年の木曜は7勝16敗。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの「大阪で行われるG20サミットに先立ち、米中が暫定的な貿易戦争の停戦で合意した」との報道を好感した格好だ。ドル円の108円台も追い風。任天堂、SBG、鋳鉄管が上昇。ファーストリテ、JTが下落。
28日(金):
NY株式市場でNYダウは小幅に3日続落だったがNASDAQとS&P500は上昇。S&P500は5日ぶりの反発で終値ベ─スでの過去最高値に迫った。
貿易戦争の一時休戦で合意したとするとの香港紙報道を好感。しかしウォール・ストリート・ジャーナルの報道。「習近平中国国家主席が貿易戦争解決に向けた条件をトランプ米大統領に提示する」で期待はしぼんだ格好。中国商務省の報道官の「ファーウェイへの米国技術売却禁止を撤回するよう要請する」とのコメントが警戒材料となった。
半導体関連は堅調でSOX指数は1.5%上昇。第1四半期実質GDP確報値(季節調整済み)は年率換算で修正なしの前期比3.1%増。市場予想と一致した数字で着地した。
日経平均株価は62円安の21275円と反落。米中首脳会談の行方を気にしての様子見モードだった。信越が上昇。キリン、JTが下落。
(2) 欧米動向
主要株価3指数は週間、月間、四半期、上期ベースすべてでプラス。
特に6月としてはS&P500が1955年以来の好成績。
ダウ平均も1938年以来の高い伸びとなった。
調査会社ファクトセットによると主要500社の7→9月期の1株利益は21日時点で前年同期比0.3%減の見通し。
昨年末時点では3.4%増の予想だった。
4-6月期も2.6%の減益見通し。
予想通りなら1?3月期に続き2四半期連続での減益。
実質経済成長率が2四半期連続でマイナスならリセッション。
「1株利益が2四半期連続で減少する業績リセッションが現実味を帯びてきた」という指摘もある。
(3)アジア・新興国動向
注目されていた米中首脳会談は週末の大阪で通過。
5月以降停止していた通商協議を再開することで合意。
米国は第4弾の対中追加関税の発動をとりあえず控える方向。
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち13指数が上昇。
上位1位トルコ週間騰落率2.62%、2位ポーランド0.84% 3位タイ0.77%、
4位インドネシア0.68%、12位日本0.08%。
下位25位南アフリカ▲1.33%、24位ブラジル▲1.02%、23位ベトナム▲0.97%
22位メキシコ▲0.84%、15位米国▲0.45%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
1日(月):6月日銀短観、自動車販売台数、路線価発表、消費者態度指数米ISM製造業景況感、建設支出、カナダ・香港休場
2日(火):マネタリーベース、欧州議会の新会期開始、OPEC会合
3日(水):米貿易収支、ISM非製造業景況感、ADP雇用レポート、新月
4日(木) :米休場(独立記念日)
5日(金):家計調査、景気動向指数、生活意識アンケート結果、米雇用統計
7日(日):水星逆行
【7月】(7勝7敗で10位、陽線確率50.0%)
1日(月):6月日銀短観、自動車販売台数、路線価発表、消費者態度指数、米ISM製造業景況感、建設支出、カナダ・香港休場
2日(火):マネタリーベース、欧州議会の新会期開始、OPEC会合
3日(水):米貿易収支、ISM非製造業景況感、ADP雇用レポート、新月
4日(木) :米休場(独立記念日)
5日(金):家計調査、景気動向指数、生活意識アンケート結果、米雇用統計
7日(日):水星逆行
8日(月):機械受注、景気ウォッチャー調査、米消費者信用残高、変化日
9日(火):マネーストック、上げの特異日
10日(水):国内企業物価指数、ECB理事会、中国消費者・生産者物価、株安の日
11日(木):都心オフィス空室率、米消費者物価、財政収支
12日(金):SQ、米生産者物価、中国貿易収支
14日(日):八專開始(?24日)
15日(月):海の日で休場、NY連銀製造業景況感、中国GDP、各種経済指標
16日(火):東証が決済を2日後に短縮、米小売売上高、鉱工業生産、輸出入物価、ZEW景況感
17日(水):首都圏新築マンション販売、G7財務相・中央銀行総裁会合、米住宅着工件数、ベージュブック、株高の日、満月
18日(木):貿易統計、米CB景気先行指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感
19日(金):変化日
21日(日):参院選挙
22日(月):シカゴ連銀全米活動指数
24日(火):東京五輪まで1年、米新築住宅販売件数
25日(木):企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、製造業受注、ECB理事会
26日(金):米GDP速報値、変化日、鬼宿日
29日(月):日銀金融政策決定会合(?30日)、上げの特異日
30日(火):黒田総裁会見、日銀展望レポート、失業率、米FOMC(?1日)、個人所得、CS住宅価格指数
31日(水):消費者態度指数、米ADP雇用レポート、ユーロ圏GDP速報値、中国製造業PMI
欧州投資家が新下期入り。
新規資金が振り向けられる期待感は大きい。
海外投資家の日本株買いの季節性を見ると、7月は外国人買いが積極化することが多いのがアノマリー。
「その後のバケーション・シーズンを前に買い切ってしまうためか8月以降の外国人買いは沈静化。
日経平均の季節性をみても8月初頃が一旦の佳境場面になりやすい」という声もある。
(兜町カタリスト 櫻井英明)