《マーケットストラテジーメモ》10月 第2週
【推移】
5日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は反落。トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したとのニュースを受け不確実性が増大。米大統領選の先行き不透明感も強まった。ただメドウズ大統領首席補佐官が「トランプ大統領は軽い症状で執務不能には陥っておらず、自主隔離して職務を継続している」とコメント。株価は下げ渋った。
週間ではNASDAQとS&P500は1.5%高、NYダウは1.9%高。
日経平均株価は282円高の23312円と反発。トランプ米大統領が、5日にも退院すると伝わったことで市場に安心感が広がった。景気刺激策を巡る米国の政策協議が進むとの期待も市場に台頭。景気敏感株物色の流れが続いた。
ただ「当面は政治情勢を見守りたい」との声も聞こえる。TOPIXも反発。東証1部の売買代金は2兆711億円。SBG、ダイキンが上昇。東エレ、KDDIが下落。25日線、5日線ともに大引けで上回った。
6日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は大幅反発。前週末の下落分を取り戻した。民主党のペロシ下院議長とムニューシン米財務長官は追加経済対策の協議を継続。「さらに協議が進展する可能性がある」という見方だ。ISM非製造業景況感指数は57.8と前月から0.9ポイント上昇。市場予想(57.0)も上回った。「景気の好不調の分かれ目となる50を4カ月連続で上回り米景気の底堅さが意識された」との解釈だ。
日経平均株価は121円高の23433円と続伸。ただ上値は重たかった。東証一部の売買代金は1兆9941億円と18日ぶりの2兆円割れ。SBG、リクルートが上昇。ダイキン、キッコーマンが下落。
マザースの時価総額は過去最高の9兆4311億円。マザース時数の年初来騰落率は41%。日経ジャスダック指数は年初来6%安。
7日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は反落。トランプ大統領が午後「大統領選が終わるまでコロナ対策を巡る協議を停止するよう指示した」とツイート。「大統領選での勝利後すぐに、勤勉な米労働者と中小企業に焦点を当てた大型の刺激策法案を通過させる」と投稿した。「新型コロナウイルス経済対策を巡る民主党との協議は11月の大統領選挙後まで停止」と解釈された。プラス圏で推移していた主要指数はトランプ氏の投稿直後に下落。S&P500Xは日中高値から2%超下落した。ある意味、オクト─バーサプライズの一環なのかも知れない。
日経平均株価は10円安の23422円と3日ぶりに小幅反落。朝方は売りが先行。日本時間の昼前にトランプ米大統領が中小・零細企業向けなどの支援策に関するツイートを投稿。米景気への懸念がやや薄れて大引けにかけて下げ幅を縮小した。 東証1部の売買代金は1兆9325億円と1カ月ぶりの低水準。NTT、日野が上昇。 第一三共、エーザイが下落。
8日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は反発。前日の下落を取り戻した。トランプ米大統領が「航空業界向けの雇用維持支援を含む一連の個別の支援策を議会は迅速に策定すべき」とコメント。前日のちゃぶ台返しを一部訂正したことを好感した。
市場では「何らかの経済支援策を巡る合意が近く得られるとの強い観測が出ている」との見方。「外為市場では、バイデン氏の当選だけでなく、民主党の地滑り的勝利が織り込まれ始めている」という声も聞こえる。
日経平均株価は224円高の23647円と反発。約8ヶ月ぶりの水準を回復した。TOPIXは4日続伸。東証一部の売買代金は2兆1524億円。東エレ、SBGか上昇。イオン、ANAが下落。
9日 (金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は続伸。トランプ大統領は「コロナ経済対策を巡る議会との協議が再開。合意に達する可能性は十分ある。航空業界向け支援や個人への小切手支給などを巡り協議している。民主党のペロシ下院議長が合意を望んでいる」とコメント。市場はこれを好感した。「追加の財政刺激策を巡る見通しがすべての原動力であり、投資家は振り回されている」という声も聞こえる。
日経平均株価は27円安の23619円と小幅反落。下落幅は一時100円近くまで拡大したが大引けにかけて縮小した。「朝方は米の追加経済対策への根強い期待から買いが先行したが、前日におよそ8カ月ぶりの高値水準まで上昇していたため、高値警戒から利益確定売りが次第に強まった」との見方。
SQ値23724円はザラバに上回ったものの終値では上回れなかった。東証1部の売買代金は2兆1225億円。ファーストリテ、SHIFTが上昇。SBG、任天堂が下落。
(2) 欧米動向
雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比66万1000人増。
伸びは前月の148万9000人から大幅に減速し市場予想の85万人も下回った。
「追加経済対策を直ちに策定する必要があることが改めて浮き彫りになった」というのが市場の都合の良い解釈だ。
(3)新興国動向
国慶節の大型連休明けの中国株式市場は大幅高。
堅調な経済指標に加え、連休中の観光に回復が見られたことを好感。
中国文化観光省の発表によると、1日からの連休中に観光地を訪れた国内旅行者は6億3700万人で前年の79%の水準。
ただ5月の水準からは回復した。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【10月】陽線確率6勝4敗、(陽線確率60%)、過去15年9勝6敗(6位)
気学では「急落することあり。安値を買い拾うこと」、火星大接近の月
12日(月):国内企業物価、機械受注、IMF世銀年次大会(→18日)、ノーベル賞受賞者発表(経済学賞)、株安の日
13日(火):マネーストック、米消費者物価、独ZEW景況感、マイクロソフトのOffice2010の延長サポートが終了、アップルがイベント開催、中国貿易収支、
14日(水):米生産者物価、G20財務相・中央銀行総裁会議、大幅高の特異日、変化日
15日(木):第三次産業活動指数、米大統領選挙候補者第2回テレビ討論、NY連銀製造業景況感、フィラデルフィア連銀製造業景況感、輸出入物価、EU首脳会議(ブリュッセル)、中国消費者・生産者物価、株高の日
16日(金):米小売売上高、鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感、IMF・世銀年次総会(ワシントン)、上げの特異日、鬼宿日・大明日
17日(土):ニュージーランド総選挙
ちゃぶ台返しでも必ずご飯は食べる。
だから右往左往してはいけないのだが市場はそうな考えない。
もう倒れたちゃぶ台がそれ以上どう倒れるのか不可解なところ。
昨日の後場。
1時間の間をあけて登場したゲストの話題は「オクトーバーサプライズ」。
市場関係者の大半が話題にするのは「この指止まれ」感覚。
しかも話題が重なると事態はその逆になることも多いというのがアノマリー。
ひねくれた視点で見ればそうなるのだが・・・。
(兜町カタリスト 櫻井英明)