《マーケットストラテジーメモ》8月第3週
【推移】
11日(火):
週末のNY株式市場で主要3指数はマチマチの展開。週間ベースでNYダウは3.8%高、3週ぶり反発。NASADQは2.5%高、2週続伸。S&P500は2.5%高、2週続伸。週明けのNY株式市場でNYダウは357ドル高と7日続伸。約5か月半ぶりの高値水準を回復した。
一方NASDAQは42ポイント安と2日続落。7月の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月から176万3000人増加。予想の160万人増を上回った。失業率は10.2%(市場予想は10.5%)。
日経平均株価は420円高の22750円と4日ぶりの大幅反発。決算で先が見えてきたことへの安心感からの買い物優勢との解釈。
東証一部の売買代金は2兆7430億円。エーザイ、リクルートが上昇。SBG、太陽誘電が下落。7月28日のマド22646円―22584円を埋めた。「先週後半は奇妙な逆相関だった日米株価だがこの日は歯車があってきた」との声。
12日(水):
火曜のNY株式市場でNYダウは8日ぶりの反落。NASDAQもS&P500も反落となった。共和党のマコネル院内総務のコメント。「追加コロナ経済対策を巡る協議が先週決裂した後、政権の代表と民主党指導部が話し合いをしていない」。これを嫌気したとの解釈だ。1対5の株式分割を取締役会が承認したと発表したテスラが時間外取引で6%超上昇した。
日経平均株価は93円高の22843円と続伸。7月31日以来3週間ぶりの高値水準を回復した。東証一部の売買代金は2兆5602億円。コマツ、鉄が上昇。SBG、楽天が下落。水曜は4週間ぶりの上昇。
日経平均は0.4%高でTOPIXが1.2%高。「明らかにTOPIXX優勢の展開。戻りの鈍かった景気敏感株、バリュー株中心に幅広く買われてTOPIXを上放れに導いた」との見方。「この夏枯れの時期にしては上出来」という見方だ。
13日 (木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はそろって反発。NYダウは一時28000ドル乗せ。NASDAQは2%超上昇し11000ポイントに乗せた。S&P500は一時終値ベースの過去最高値(2月19日3386ポイント)を上回る場面があった。「バリュー株への資金移動」説を打ち消した印象。「企業決算発表がほぼ終了。予想されたほど悪くなかった。市場の関心は新型ウイルス対策や大統領選挙に移っている」との見方だ。
日経平均株価は405円高の23249円と3日続伸。23000円台に乗せ約半年ぶりの高値水準を回復した。東証一部の売買代金は2兆5583億円。ファーストリテイリング、SBGが上昇。鉄、日本郵政が下落。2月21日の23378円と22日の22950円のマドを埋めればコロナ禍前に遡上。因みに3月19日安値の信用期日は9月19日。
14日(金):
木曜のNY株式市場でNYダウは反落。シスコシステムズの業績見通しの悪化を懸念した。シスコは11.2%急落。S&P500は一時3387.24まで上昇。2月19日に付けた終値ベースの最高値3386.15を上回ったが終値は反落。ただアップルが1.8%上昇しNASDAQは続伸。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は96万3000件。前週の119万1000件から減少しプラス材料となった。
追加の新型コロナウイルス経済対策を巡る協議に進展が見られないことが相場の警戒材料。
日経平均株価は39円高の2万3289円と小幅に4日続伸。ただ8月オプションSQ暫定値は23350円79銭は上抜けず「幻のSQ値」。「外国人も夏休み」という指摘もあるが昨日までの3日間で900円超上昇。前場段階のボリンジャーのプラス2σが22936円だから一応限界値。プラス3σが23579円だ。
週足は2週連続の陽線。TOPIXは4日ぶりに小幅反落。東証1部の売買代金は2兆270億円。ソニー、Uアローズが上昇。SBG、トヨターが下落。)新高値67柄(前日63銘柄)。新安値0銘柄(前日0銘柄)。
(2) 欧米動向
NHKのHPにある米大統領選での政策比較。
たとえば対日政策。
トランプ氏は「防衛費の負担増を」。
バイデン氏は「同盟国との関係強化を」
新たな日米貿易協定については両氏とも言及なし。
新型コロナについて。
トランプ氏は「経済回復に注力」。
バイデン氏は「経済再開に慎重」。
結局、同盟国関係強化のバイデン氏とアメリカ第一主義のトランプ氏という構図になる。
(3)アジア・新興国動向
中国電子商取引大手アリババ・グループ傘下の金融会社アント・グループが、新規株式公開(IPO)に向けた申請文書を中国の証券規制当局に提出。
アントは7月、香港証券取引所と上海の中国版ナスダック「科創板」の両方でIPOを行う手続きを開始したと発表。
香港でのIPOについては、早ければ月内に申請し、年末までの上場を目指す計画。
【展望】
【8月】陽線確率3勝7敗、(陽線確率30%)、過去15年6勝9敗(12位)
気学では「保合月。小幅稼ぎのとき。前途の高値に期待」
17日(月):4→6月期GDP、米NY連銀景気指数、NAHB住宅市場指数、民主党党大会(→20日)
18日(火):米住宅着工件数
19日(水):機械受注、貿易統計、訪日外客数、変化日
20日(木):米CB景気先行総合指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感、イスラム・ヒジュラ暦の新年
21日(金):消費者物価、米中古住宅販売、FTSE日本指数9月半期リバランス発表、鬼宿日
24日(月):共和党全国大会(ノースカロライナ州シャーロット→27日))
25日(火):パラリンピック延期、米CS住宅価格指数、CB消費者信頼感、独IFO景況感
26日(水):企業向けサービス価格指数、米耐久財受注
27日(木):米GDP改定値、ジャクソンホール会議(オンライン→28日)
28日(金):米個人所得、変化日
31日(月):鉱工業生産、中国製造業PMI、MSCI日本株パッシブ売買インパクト
木曜夕方の東京の雷雨。
天気予報では雷雨予報はなかったのでこれに対する文句は多かった。
しかし、天気予報が外れたからと言って文句を言うのがいかがなものなのだろう。
昔は「外れるもの」の代表が天気予報だったが、衛星やコンピュータの進展によって確度は高くなった。
それでも100%にならないのは相手が自然現象だからだ。
時としてコンピュータよりも古老の経験則の方が勝ることもある。
それでも「天気予報に文句」という姿勢は消えない。
株の世界だって同様だ。
「23000円は付けない」と言っていた市場関係者は多かったがあっという間に付けてしまった。
「見間違えた」とのコメントもなく、今度は滔々と23000円台の世界の未来をコメントする。
天気も株価も日々移ろうからうまい具合に過去の過ちが消される仕組みは一緒。
もちろん「見間違え」「読み間違え」と文句を言う向きもあるが、天気予報ほどではない。
つまり株価見通しは天気予報よりは当然ながら信頼度に欠けているということなのだろう。
これを幸いに市場関係者は「株のことですから」という免罪符で棲息しているような印象だ。
「秘伝」だとか「必勝法」とかのネーミングを使われることも散見される。
しかし、本当に秘伝だとか必勝法ならばそんなものは表に出てきて喋られる訳はない。
秘伝とか必勝法でないから、マスコミや講演会などで話して儲けるのだろう。
「人は欲望の世界」というのは市場内でも市場外でも歴然と感じられるテーマだ。
(兜町カタリスト 櫻井英明)