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英明コラム 4月第3週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》4月第3週

【推移】
 
12日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は上昇。NYダウとS&P500は終値ベースの過去最高値を更新した。週間ではNYダウが1.96%、S&Pが2.71%、NASDAQは3.12%上昇。アップル、アマゾン、マイクロソフトが上昇。ハイテクセクター優勢の展開。ただ売買エネルギーは低下し3市場の売買高は86.9億株(過去20日平均は117.1億株)。
 
日経平均株価は229円安の29538円と反落。2日続けての安値引けとなった。「決算発表本格化前に積極的な取引が手控えられ米株価指数先物の下落などを材料に短期筋が断続的な先物売りを出した」との見方。TOPIXも安値引けで反落。東証1部の売買代金は2兆635億円。わらべや、東芝が上昇。安川電、ファーストリテが下落。
 
13日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は小幅に反落。「短期的過熱感と消費者物価指数(CPI)や決算発表待ち」の解釈。S&P500採用企業の第1四半期決算は前年比25%の増益の見通し。トランプ前米政権の減税措置が企業の利益拡大につながった2018年以来の大幅な増益率だ。債券市場は13日発表の3月消費者物価指数(CPI)の上昇を見込んだ売りで伸び悩み。CPIは前月比0.5%、前年同月比で2.5%の上昇と予想。
 
日経平均株価は212円高の29751円と反発。NY株高にアジア株の堅調が加わって買い物優勢の展開。東証一部の売買代金は2兆3028億円。板硝子、浜ゴムが上昇。京成、サッポロが下落。
 
14日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウは下落。J&Jの新型コロナワクチンの使用一時中止勧告が悪材料視された。一方S&P500は反発し終値ベースで最高値を更新。NASDAQも反発。アップル、マイクロソフト、アマゾンが上昇。「FANG」にテスラを加えたFANG+TM指数は1.7%高。過去最長の12日続伸となった。
 
日経平均株価は130円安の29620円と反落。108円台への円高トレンドを嫌気した。コロナの拡大も警戒感を高めた格好。東証一部の売買代金は2兆2534億円。郵船、東電が下落。楽天、フイルムが上昇。
 
15日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウは小幅反発。一方、NASDAQとS&P500は反落。ただS&P500はザラバ高値を更新した。ゴールドマンの第1四半期決算はSPACによるIPOブームなどを背景に大幅増益。株価は2.3%上昇。ウェルズ・ファーゴの第1四半期は貸倒引当金が16億ドル縮小。株価は5.5%高。アップル、マイクロソフト、テスラなどテクノロジー関連は下落。
 
日経平均株価は21円高の29642円と小幅反発。米株価指数先物は堅調に推移したが東京への影響は限定的。「新型コロナウイルスの感染者増が国内景気の下押しにつながるとの懸念が強まる中、積極的に持ち高を傾ける動きは限られ、薄商いの中での一進一退が続いた」との解釈だ。TOPIXも反発。東証1部の売買代金は2兆200億円。SBG、デンソーが上昇。ファナック、ダイキンが下落。
 
16日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って1%程度上昇。国債利回り低下を受けたハイテク株への買いや好調な経済指標が追い風。NYダウはが初めて3万4000ドル台に乗せて終了。S&P500も過去最高値を更新した。NASDAQは2月16日以来の1万4000ポイント台。2月12日に付けた終値での最高値まであと57ポイントに迫った。アップル、マイクロソフト、フェイスブックが上昇。
 
日経平均株価は40円高の29683円と小幅続伸。TOPIXも小幅続伸。東証一部の売買代金は2兆565億円。エムスリー、丸井が上昇。東電、郵船が下落。
 
(2) 欧米動向
 
3月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比1.0%上昇。
前年同月比4.2%上昇しともに市場予想を上回った。
前年同月比の伸びは2011年9月以来の高水準。
3月の米消費者物価指数(CPI)総合は前月比0.6%上昇。
2012年8月以来8年半ぶりの高い伸びとなった。
コア指数の伸びも0.3%と前月の0.1%から拡大。
「インフレが近く過熱する兆候は示されていない。
FRBが近い将来に金融政策へのアプローチを再検証することにはつながらない」。
都合の良い解釈で通過した格好。
3月の小売売上高(季節調整済み)は前月比9.8%増。
前月の2.7%減からプラスに転じ昨年5月以来10カ月ぶりの大幅な伸び。
市場予想の5.9%増も上回った。
前年同月比では27.7%増。
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は50.2に上昇。
市場予想の41.5を上回り1973年4月以来の高水準。
NY連銀製造業景況指数は26.3に上昇。
市場予想の20.0を上回り2017年以来の高水準となった。
 
(3)新興国動向
 
中国国家統計局が発表した2021年1→3月の実質GDPは前年同期比18.3%増。
新型コロナウイルスが直撃した前年の反動で、過去最高の伸びとなった。
ただ前年比では減速。
好調な固定資産投資や輸出の恩恵が家計に行き渡らず、雇用は新型コロナ前を下回った。
消費はなお回復途上。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
 
【4月】7勝3敗、(勝率70%、2位)
    気学では「保合月。戻り売り方針のとき。前途に期待」
 
16日(金)日米首脳会談、米住宅着工件数、中国各種経済指標
19日(月)貿易統計、首都圏マンション販売
20日(火)第3次産業活動指数、変化日
21日(水)米20年債入札
22日(木)横浜で都市型ロープウェイ運航開始、米中古住宅販売、ECB理事会
23日(金)消費者物価、米新築住宅販売、株高の日
25日(日)衆院北海道2区、参院長崎・広島投開票
 
日経ヴェリタスの特集は「株が足りない」。

「構造的にショート(空売り)がやりにくくなっている」。
という声。
背景にあるのが、日本の株式市場における需要構造の変化。
日経平均株価は2020年に16%上昇。
その間、海外投資家は現物と先物で6兆円売り越した。
東証の売買代金の7割を占める外国人投資家が大きく売り越したのにかかわらず日本の株式相場は上昇した。
 
株価への上昇圧力を生み出している第1の変化が日銀によるETF買い入れ。
日銀は2010年にETFの購入を始めた。
ポイントは日銀が株式を放出しない主体であるということ。
ETFの購入を始めて10年超、日銀がETFを売ったことはない。
日銀が保有するETFの時価は50兆円を超えた。
株式市場から見ると、日銀は現状では株式を吸収する主体にみえる。
 
第2の変化が、自社株を買い入れる上場企業が増えたということ。
一方で実質的な希薄化を招く自社株の売り出しなどの行動は忌避される傾向。
一部の「品薄株」の価格高騰しているのが今の日本株の実相。
 
おせっかいな国際通貨基金(IMF)の提言。
「ユーロ圏諸国が2021─22年にかけてGDP比3%規模の財政支出を追加で行えば、
来年末までに成長率が2%押し上げられる。
そしてパンデミック(世界的大流行)の影響を軽減できる。
過剰生産能力を削減した後に追加の財政支援を実施すれば、より力強い安定化が可能だ。
低所得の家計にとって追加の金融刺激策よりもメリットが大きく、副作用も少ないだろう。
また、多くの国でインフレ率を目標に近づけ、金融政策の余地を再構築するのに役立つ」。
3%投資してリターンは2%という話。
少し発想が小さいような気がしないでもない。


(兜町カタリスト 櫻井英明)

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