《マーケットストラテジーメモ》7月2週
【推移】
8日(月):独立記念日明けのNY株式市場は小幅安。もっともNYダウは200ドル近く下落した後に戻しての終値だった。6月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が22.4万人増と5カ月ぶりの大幅な伸び。市場予想の16万人増を上回った。
時間当たり賃金は前月比0.2%(6セント)増と前月の0.3%増加から鈍化。
前年同月比では2カ月連続で3.1%増だった。 雇用統計が予想外に好調だったことで大幅利下げに対する期待が後退。FRBが7月のFOMCでの利下げを見送るべきではない。
しかし50ベーシスポイントの利下げは議論から外されるという見方だ。10年国債利回りは2.03%台に上昇(価格は下落)。
日経平均株価は212円安の21534円と3日ぶりの反落。一時240円以上下落し21500円を割れた場面もあった。海外株の軟調に加えETFの分配金捻出の売りに押されたとの解釈。機械受注や街角景気の軟調も売り物優勢の展開に繋がった。日東電工、MA&ADが上昇。第一三共。ファナックが下落。
9日(火):
週明けのNY株式市場は続落。「独立記念日の翌日だった5日は休暇を取った投資家が多く週明け8日も売り優勢。主要株価指数は過去最高値を更新しており、目先の利益を確定する売りも出やすかった」との解釈だ。悪役はアップルとボーイング。アップルはローゼンブラット証券のアナリストが投資判断を「中立」から「売り」に引き下げ。
理由はアイフォンの販売低調。ボーイングは「737MAX」の購入契約をサウジアラビア航空会社が取り消したと報じられ下落。2銘柄でNYダウを約60ドル引き下げた。
日経平均株価は30円高の21565円と反発。上値は重くドル高円安トレンドに支えられて何とかプラスといった格好。東証一部の売買代金は1兆6697億円。ファーストリテ、アサヒが上昇。信越、スズキが下落。「月曜はダラダラと下げが続いて200円超の下落。火曜は上を試したにもかかわらず失速。両日とも印象は悪い」との見方だ。
10日(水):
NY株式市場で主要3指数はNYダウが続落、NASDAQとS&P500が反発とマチマチの動き。「米中貿易摩擦による企業業績への影響を巡る懸念が再燃。だがアマゾン、フェイスブック、アップルなどのハイテクセクターがS&Pとナスダックの上昇に寄与した」との解釈だ。FRBパウエル議長の半期に一度の議会証言を待つ姿勢は継続。
「FRBが何を言うかが重視される。パウエル議長から利下げに反対する発言がなければ0.25%の利下げが実施される可能性はかなり高い」という見方だ。
日経平均株価は31円安の21533円と小幅反落。アレコレ悪材料はあるものの結局は様子見モード。引け際に売買代金は5000億円程度増加し1兆9437億円。7日連続の2兆円割れ。ファーストリテ、テルモが上昇。ファナック、リクルートが下落。
11日(木):
NY株式は続伸。S&P500は一時史上初の3000ポイント台に乗せた場面もあった。背景はパウエルFRB議長のハト派的発言。7月の利下げ観測は株高トレンドを演出した格好だ。まさに「FRBには逆らうな」の局面。アマゾンやマイクロソフト、アップルなどハイテクセクターが上昇。NASDAQは終値ベースで過去最高値を更新した。
10年国債利回りは2.6%台に上昇。7月の0.5%利下げ確率は3.3%から28.7%に上昇した。
日経平均株価は110円05銭高の21643円と反発。パウエル議長が議会証言で早期の利下げを示唆。これを受けてNY株が上昇。東京も倣った格好となった。
ただ輸出関連株を中心に相場の重荷となったが全体的には円高株高という市場関係者の予測に反する動き。「株式市場ではリスク選好地合いの継続や米利下げによる景気の下支え効果の方がポジティブに受け止められた」との解釈だ。
東証1部の売買代金は1兆7845億円と8日連続の2兆円割れ。SBG、ファーストリテ、バンナムが上昇。トヨタ、かんぽが下落。
12日(金):
NYダウは上昇し初の27000ドル台乗せ。利下げ方向を好感した格好だ。個別ではユナイテッドヘルスが5%超の上昇となりダウの27000ドル台乗せをけん引した。
S&P500は取引時間中に3000ポイント台に乗せたが、終値ベースでは維持できず。NASDAQの反落ととともに市場にやや影を落とした。6月の消費者物価指数は前月比0.3%上昇。1年5カ月ぶりに大幅な伸びとなった。
日経平均株価は42円高の21685円と続伸。NYダウの過去最高値更新を好感して買い物先行。その後一時マイナスに沈んだ場面もあったが引けにかけて持ち直した格好。ただ市場では「連休明けの16日約定分から決済期間短縮化が実施予定。一部の高速取引業者などが混乱を避けるために売買を見合わせている」という声もあった。
もっとも寄り天でSQ値21742.57円は「幻」。一方週足は6週連続陽線。TOPIXは0.15%安と反落。東証1部の売買代金は1兆7891億円。ファーストリテ、アサヒが上昇。安川、ファナック、リミックスが下落。
(2) 欧米動向
FRBは半期ごとに議会に提出する金融政策報告書を公表。今年前半の米経済は引き続き「底堅いペース」で推移。
一方、関税引き上げが世界貿易や企業投資を圧迫。
最近の数カ月間で経済が弱まったとの認識を示した。
(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち指数が上昇。
上位1位米国週間騰落率1.52%、2位イタリア0.90%、3位台湾0.36%、
4位フィリピン0.29%、5位タイ0.02%。
下位25位中国▼2.67%、24位トルコ▲2.55%、23位スイス▲2.18%、
22位インド▲1.97%、21位ドイツ▲1.95%、9位日本▲0.28%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
15日(月):海の日で休場、米NY連銀製造業景況感、中国GDP、各種経済指標
16日(火):株式等の受け渡しが2日後に移行、米小売売上高、鉱工業生産、NAHB住宅価格指数、企業在庫、対米証券投資、輸出入物価、独ZEW景況感、タイ休場
17日(水):6月訪日客数、米小売売上高、住宅着工件数、ベージュブック、G7財務大臣・中央銀行総裁会議(フランス)
18日(木) :貿易統計、首都圏マンション販売、米CB景気先行指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感
19日(金):消費者物価指数、全産業活動指数、米ミシガン大学消費者信頼感
2019年3月月中平均21414.88円。
トピ1602ポイント。
これは覚えておきたい数字だ。
Quickの株式月次調査。
当面の投資スタンスとして「電気・精密」をオーバーウェイトにするとの回答は30%。
6月の14%から大幅に増加した。
「鉄鋼・機械」をオーバーウェイトにするとの回答は9%で4ポイント増。
「自動車」は5ポイントと3ポイント増加。
一方でアンダーウェイトは「公益」「医薬品」だった。
日経平均の1ヶ月後予想は21706円。
6月予想の20832円より上昇した。
この6月予想があたったのかどうかは微妙なところ。
今後半年で株価変動をもたらす要因では「景気・企業業績」との回答が51%。
「政治・外交」は25%だった。
(兜町カタリスト 櫻井英明)