《マーケットストラテジーメモ》06月 第2週
2日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は不安定ながら揃って反落。トランプ米大統領は中国に対し厳しい措置を取る可能性を示唆した。その後、中国の習近平国家主席と会談。見解の相違を解消することに期待していると表明し下落幅を縮小した。5月のS&P500は月間で2023年11月以来の上昇率。ナスダックも23年11月以来の月間上昇率となった。
日経平均株価は494円)安の37470円と続落。米中貿易摩擦の激化や、各国・地域に対する関税が強化されるとの方向性が悪材料。午後は下落幅を600円超まで広げる場面もあった。TOPIXは続落。東証プライムの売買代金は3兆8398億円。コナミ、富士通が上昇。リクルート、トヨタが下落。新高値106銘柄に違和感。
3日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。鉄鋼会社の株価のクリーブランド・クリフスが23%高するなど急騰。一方、フォード、GMは4%近く下落。エヌビディアが1.7%高。5月のISM製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.5に低下。低下は3カ月連続で6カ月ぶりの低水準。
日経平均株価は23円安の37446円と安値引けで3日続落。国内の機関投資家からとみられる利益確定や持ち高調整の売りが出たとの解釈。日銀の植田和男総裁は午前に、参院財政金融委員会に出席。「将来の利下げ余地をつくるために、経済・物価の改善が見込めない中で無理に政策金利を引き上げる考えはない」とコメント。1ドル=143円台前半まで下げ株価指数先物に買いが強まった場面もあり日経平均の上げ幅は一時200円を超えた。TOPIXは3日続落。東証プライムの売買代金は4兆107億円。エムスリー、三菱電が上昇。バンナム、スズキが下落。信用倍率は4.82倍(前週5.02倍)。
4日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。エヌビディアが2.8%上昇。半導体のブロードコムが3%高。ディスカウントストア大手ダラー・ゼネラルは15.8%急伸。ヘルスケア用品のケンビューが約6%安。4月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数は19万1000件増の739万1000件。市場予想は710万件だった。続伸ながら恐怖と欲望指数は62?56に低下。
日経平均株価は300円高の37747円と4日ぶりに反発。前日までの3営業日で約1000円ほど下落しており、自律反発狙いの買いも指数を押し上げたとの解釈。東証プライムの売買代金は4兆854億円。任天堂、TDKが上昇。豊田織、スベイカレントが下落。信用評価損率は▲7.18%(前週▲9.47%)。東証スタンダード市場指数は8日続伸、東証グロース市場指数は4日続伸。
5日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。「軟調な経済指標でトランプ大統領の貿易政策による経済への影響が示された」との解釈。半導体受託生産のグローバルファウンドリーズが2.3%上昇。テスラは3.5%下落。5月のADP雇用報告で民間雇用者数は3万7000人増。増加幅は2023年3月以来、2年超ぶりの低水準。市場予想は11万人増だった。5月のISM非製造業総合指数は49.9。3市場の合算売買高は145億株と低調。日経平均株価は192円安の37554円と反落。自動車など外需関連株の多くが軟調。一方、値がさの半導体関連株の一角が急伸。
日経平均は急速に下げ渋る場面もあった。TOPIXは反落。東証スタンダード指数は9日ぶりに反落。東証グロース指数は4日ぶりに反落。東証プライムの売買代金は4兆2166億円。良品計画、セイノーHDが上昇。ファストリ、郵船が下落。大商い株専有率(先導株比率)は28.8%と方向感がない。海外投資家の9週連続買い越しは約2年ぶり。
6日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って下落。S&P500は6000ポイントを目の前にして失速。テスラはイーロン・マスクCEOとトランプ氏との間で公の確執が激化し14%以上下落。トランプ氏とマスク氏が言葉の応酬を始めてからテスラの時価総額は約1500億ドル減少。トランプ氏と習主席は電話会談を行い、両国間で高まる貿易摩擦やレアアース(希土類)を巡り議論。両氏が互いをそれぞれの国に招待したという報道は好感された。
日経平均株価は187円高の37741円と反発。
米中貿易摩擦が緩和するとの観測を好材料視。ただ米雇用統計の発表を控えた様子見ムードもあり上値は重かった。TOPIXは反発。東証プライムの売買代金は3兆6054億円。アドテスト、三菱重が上昇。第一三共、レーザーテクが下落した。
(2)欧米動向
OECDの経済見通し。
トランプ政権の貿易戦争により米経済が大きな打撃を受けているとし、世界経済見通しを下方修正した。
世界経済の成長率は昨年の3.3%から2025年と26年に2.9%に鈍化する見通し。
3月時点の予想は25年が3.1%、26年が3.0%だった。
日本の成長率見通しは25年が0.7%と従来の1.1%から下方修正された。
一方、26年は従来の0.2%から0.4%に上方修正。
(3)新興国動向
米財務省は半期ごとの外国為替政策報告書を公表。
「為替操作国」に認定した貿易相手国・地域はなかったが。
為替操作をしていないか注視する「監視リスト」にアイルランドとスイスを加えたほか、中国に対し厳しい警告を発した。
中国を為替操作国に認定しなかったものの、中国は「主要貿易相手国の中でも為替政策やその慣行に関する透明性の欠如が際立っている」と指摘。
今回の報告書で「監視リスト」に掲載された国・地域は、中国、日本、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの9カ国・地域。
【展望】
【6月】(6勝4敗:勝率60%)
6月 9日(月)GDP2次速報、米アップル年次開発者会議、中速消費者・生産者物価、貿易収支、株安の日L
6月10日(火)マネーストック
6月11日(水)国内企業物価指数、米消費者物価、財政収支、株高の日L、満月(ストロベリームーン)
6月12日(木)法人企業景気予測調査、都心オフィス空室率、米生産者物価、変化日
6月13日(金)第三次産業活動指数、都議会選挙告示、メジャーSQ、米ミシガン大学消費者信頼感
6月15日(日)G7サミット(?17日、カナダ)
6月16日(月)日銀金融政策決定会合(?17日)、米NY連銀製造業景況感、中国各種経済指標、株安の日L、不成就日
6月17日(火)植田日銀総裁会見、米FOMC(?18日)、小売売上高、輸出入物価、鉱工業生産、NAHB住宅価格、独ZEW景況感、一粒万倍日
6月18日(水)貿易統計、機械受注、米パウエルFRB議長会見、住宅着工件数、USスチール買収注視命令期限、ロシア・サンクトペルブルグ国際情勢フォーラム(?21日)、モバイル関連見本市「MWC上海」(?20日)、変化日、一粒万倍日
6月19日(木)首都圏新築マンション発売、ジューンティーンズでNY休場
6月20日(金)消費者物価、フィラデルフィア連銀製造業景況感、クアドルプル・ウイッチング、FTSE日本指数パッシブ売買インパクト
6月22日(日)東京都議会選挙
6月23日(月)米中古住宅販売、S&Pグローバル米製造業PMI
6月24日(火)米経常収支、FHFA住宅価格、CS住宅価格指数、CB消費者信頼感、独IFO景況感、NATO首脳会合(蘭ハーグ?26日)、変化日、不成就日
6月25日(水)企業向けサービス価格指数、米新築住宅販売、株安の日L、新月
6月26日(木)米GDP確定値、耐久財受注、中古住宅販売仮契約
6月27日(金)失業率、有効求人倍率、商業動態統計、米個人所得、東証REITCore指数パッシブ売買インパクト、イスラムヒジュラ暦の新年
6月30日(月)鉱工業生産、中国PMI、6月最強の日、不成就日、一粒万倍日
6月はスウェーデンのストックホルムで第71回ビルダーバーグ゙会議が開催予定
第70回ビルダーバーグ会議は、2024年5月30日から6月2日まで、スペインのマドリードで開催された。
(兜町カタリスト 櫻井英明)