《マーケットストラテジーメモ》6月4週
【推移】
22日(月):
週末のNY株式市場は反発。値動きは荒くS&P500は一時約3%上昇した後、約0.6%安となる場面もあった。「前日の大幅安を受け安値拾いの買い」との解釈だが戻りは物足りない。週足ではNYダウが5.6%、S&Pが4.8%、NASDAQが2.3%それぞれ下落。3月20日の週以来の大幅な下げ率を記録した。
日経平均株価は41円安の22437円と小幅反落。売り先行で一時プラスに転じた場面もあったが結局は反落。東証一部の売買代金は1兆6539億円。4月13日(1兆6513億円)以来の低水準。中外薬、キリンが上昇。スカパー、JR東海が下落。
23日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数はそろって上昇。新型コロナウイルス感染が再び拡大していることに懸念は台頭。米国の新型コロナ感染による死者数が12万人を突破し、第1次世界大戦の戦死者数を超えた。
しかし一段の景気刺激策導入への期待を背景にハイテク株を中心に買いが入ったとの解釈だ。NASDAQは7日続伸で終値ベースでの最高値を更新。サイコロは11勝1敗。マイクロソフトやアップル、アマゾンなどへの買いが指数上昇に寄与した。アップルは上場来高値を更新。
日経平均株価は111円高の22549円と反発。米高官の発言に揺れる場面もあったが切り返した。東証一部の売買代金は2兆2716億円。トヨタ、日立が上昇。任天堂、塩野義が下落。
24日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はそろって上昇。NYダウは131ドル高。NASDAQは8日続伸で今月5度目の史上最高値更新。2.1%高のアップルがけん引。
アマゾンは1.9%、マイクロソフトは0.7%上昇。ナバロ大統領補佐官は「中国との通商合意は終わった」と発言。その後、釈明がありトランプ大統領も中国との通商合意は全くの無傷だと確認。市場に安心感が戻った形となった。
市場では「地政学問題や通商問題などコロナ拡大前の材料に相場は反応し始めている」という声もある。
日経平均株価は14円安の22534円と小幅反落。材料難からの様子見。東証一部の売買代金は2兆337億円。エムスリー、テルモが上昇。SBG、セブンアイが下落。
25日 (木):
水曜のNY株式市場は急落。NYダウは710ドル安。NASDAQは222ポイント安と9日ぶりの反落。ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカットの3州の知事は、ウイルス感染率が高い州から訪れる人に14日間の自主隔離を義務付けると発表。ロックダウンなどが再び実施され、景気が一段と悪化するとの懸念が拡大した。
IMFが2020年の世界経済成長率見通しをマイナス4.9%と4月時点のマイナス3%から下方修正。これも悪材料視された。米通商代表部(USTR)が航空機紛争の一環としてEU製品に関税や税率変更を検討していると表明したことも警戒感につながった。
日経平均株価は274円安の22259円と続落。TOPIXも続落。欧米株の急落を受けた売り物優勢の時間帯が継続した。「買い材料に乏しいとはいえ、下値を探って売り急ぐ投資家もいない」という見方だ。25日線(前場22220円)はかろうじてキープ。東証1部の売買代金は2兆2608億円。オリンパス、楽天が上昇。SBG、任天堂が下落。
26日(金):
NY株式市場は反発。前日の急落の反動という見方だ。NYダウは299ドル高で下落分の半分を取り戻した。NASD¥AQは1万ポイント復活。S&P500企業の予想株価収益率(PER)は24.5倍。約20年前のITバブル以来の水準。
その意味では高値警戒感が同居した株の堅調さだ。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は148万件。前週の154万件からは減少したものの企業のレイオフは継続。労働市場が新型コロナウイルス流行の影響から回復するには数年を要する可能性が指摘された。
日経平均株価は252円高の22512円と3日ぶりの反発。ただ盛り上りには欠け方好感もない展開。東証一部の売買代金は2兆386億円。SBG、アドバンテストが上昇。ソニー、花王が下落。
(2) 欧米動向
6月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は46.8。
5カ月連続で景気拡大・縮小の節目となる50を下回ったものの5月の37.0からは改善。
新築一戸建て住宅販売戸数(季節調整済)は年率換算で前月比16.6%増の67万6000戸。
市場予想(2.9%増の64万戸)を上回った。
国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は「感染第2波は起きていない。全国的な都市封鎖が再び導入されるとは考えにくい」とコメント。
トランプ大統領は「新型コロナ危機を受けた経済対策として、国民への現金給付第2弾を支持する」とコメント。
(3)アジア・新興国動向
国際通貨基金(IMF)2020年の成長率予測(6/24改定)
世界全体 2020年▲4.9(4月時点予測▲1.9)21年5.4(4月予測時点▲0.4)
日本 ▲5.8(▲0.6)2.4(▲0.6)
米国 ▲8.0(▲2.1)4.5(▲0.2)
ユーロ圏 ▲10.2(▲2.7)6.0(1.3)
英国 ▲10.2(▲3.7)6.3(2.3)
中国 1.0(▲0.2)8.2(▲1.0)
ブラジル ▲9.1(▲3.8)3.6(0.7)
サウジアラビア ▲6.8(▲4.5)3.1(0.2)
世界貿易量 ▲11.9(▲0.9)8.0(▲0.4)
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【6月】陽線確率7勝3敗、(陽線確率70%)、過去15年10勝5敗(1位)
気学では「利を優先するより、損をしないよう売り方針」
29日(月):商業動態統計、米中古住宅販売仮契約、株高の特異日
30日(火):失業率、鉱工業生産、キャッシュレスポイント還元の期限、米レッドブック週間小売り売上高、米CB消費者信頼感、CS住宅価格指数、中国製造業PMI、英EU離脱以降期限の延長申請期限、上げの日
【7月】陽線確率5勝5敗、(陽線確率50%)、過去15年7勝8敗(10位)
気学では「悪目買い。買い方針にて下旬戻り売り方針」
1日(水):日銀短観、プラスチック製レジ袋有料化、相続税路線価、自動車販売、所費動向調査、TDK営業再開、米ADP雇用レポート、ISM製造業景況感、建設支出、USMCA協定が発効、EU域内渡航段階的解除、上げの日
2日(木):マネタリーベース、米貿易収支、雇用統計、製造業受注、
3日(金):需給ギャップと潜在成長率(日銀)、GPIFの19年度運用状況発表、米独立記念日で休場、米議会休会(→19日)、変化日
5日(日):東京都知事選投開票
6日(月):米ISM非製造業
7日(火):家計調査、景気動向指数、米週間小売り売上高、中国生産者・消費者物価
8日(水):景気ウォッチャー調査、主なETF分配金基準日、米消費者信用残高
9日(木):機械受注、工作機械受注、マネーストック、さくらレポート、変化日
10日(金):オプションSQ、国内企業物価、主なETF分配金基準日、米生産者物価、シンガポール造総選挙
12日(日):水星順行
猜疑心の中での推移。
「相場は懐疑の中で育つ」がテンプルトンの名言。
今回の相場もまさにこの展開。
「強気相場は、
悲観の中に生まれ、
懐疑の中に育ち、
楽観の中で成熟し、
幸福感の中で消えていく」。
日経朝刊では「株高、信用買いが拍車」の見出し。
松井証券の信用評価損率が▲5%レベルになったことから含み損は含み益になりそれが原動力。
そういう見方だし、外れてはいないだろう。
記事が心配しているのは「手じまい売り」。
しかし、経験則的心理動向からは「利食い手じまい」はなかなか難しいもの。
利食いの先にはまた「カイツケ」がある。
「ウメ→ツケ」の世界だ。
よほど精神が強くなければ「利食って手仕舞い」は難しいもの。
「拍車」とバランスを取ったような見出しは「逆流」。
「警戒も」の免罪符はまたついている。
「下値不安後退」という見出しが逆指標になっては欲しくはないものだ。
興味深いのは、その下の記事の見出し。
「FX取引額2割減」。
計算したことはないか体感的にはこの20年くらいFXが低調になると株高の傾向を感じる。
国家に何も帰することのないような遊戯と離れたマネーが株に向かうからだろうか。
加えれば・・・。
両替商が儲かるようでは政はうまくいかなかったというのが歴史でもあった。
株主総会は17日くらいから増え、今日から29日までが大賑わい。
29日がピークで30日まで続く。
となると同時に発生するのは配当金の支払い。
全体で5兆円とも言われているから結構大きい。
大和のレポートの調査で配当額の多い銘柄。
トヨタ(7203)3319億円、SBG(9984)2039億円、
日本郵政(6178)2022億円、ゆうちょ(7182)1874億円
ドコモ(9433)、1873億円、NTT(9432)1818億円
三菱UFJ(8306)1605億円、、武田(4502)1402億円
KDDI(9433)1349億円、三井住友(8316)1301億円
ホンダ(7267)967億円、みずほ(8411)951億円
商事(8058)925億円、物産(8031)673億円、忠(8001)656億円。
(兜町カタリスト 櫻井英明)