《マーケットストラテジーメモ》2月第3週
13日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数はマチマチの展開。NASDAQ総合が続落。国債利回りの上昇が大型グロース株を圧迫した。配車大手リフトが36%急落したことも影響。一方NYダウとS&P500は反発。ロシアの減産計画を受けて原油相場が上昇。エネルギー株が買われたことが追い風となった。週間ではNASDAQが2.41%安と年初来初の下落。S&Pは1.11%安、NYダウが0.17%安。
日経平均株価は243円安の2742円と反落。香港ハンセン指数の下落に伴って一時400円以上下落した場面があった。TOPIXは7日ぶりに反落。東証プライムの売買代金は2兆6870億円。ホンダ、セコムか上昇。任天堂、ソニーが下落。
14日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って1%超の上昇。長期金利の上昇一服が相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株の買いを誘ったとの解釈。マイクロソフトは3%高。セールスフォース、アップルが1%超上昇。ナイキやホーム・デポなど消費関連株も堅調。NASDAQ総合株価指数は4日ぶりに反発。
日経平均株価は175円高の27602円と反発。一時300円近く上昇したがその後上げ幅を縮小した。東証プライムの売買代金は2兆4260億円。信越、鉄が上昇。リクルート、ヤマ発が下落。空売り比率は40.1%に低下。
15日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はCPIを通過してマチマチの展開。「年初来の好調を受けた利益確定かもしれない」という声もある。ボーイングが1.3%上昇し約1年ぶりの高値水準。マリオット・インターナショナルは4%高。コカ・コーラは通期の利益見通しが堅調だったものの1.7%安。1月の消費者物価指数(CPI)は前年比伸び率が6.4%。前月の6.5%から鈍化した。ただ伸びは2021年10月以降で最小となったものの市場予想の6.2%を上回った。
日経平均株価は100円安の27501円と反落。「日銀の金融政策の先行き不透明感から投資家が買い持ち高を落とす動きが優勢」との解釈。朝方に一時100円超上げた場面もあった。TOPIXは反落。東証プライムの売買代金は2兆3044億円。シチズン、楽天が上昇。リクルート、SBGが下落。日経VIは14.71。
16日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。1月の小売売上高が予想を上回る伸びとなり米経済の底堅さが示されたことを好感。S&P500、ハイテク株の回復により年初から8%上昇。NASDAQも15%上昇。「予想を上回る企業決算が楽観ムードを後押ししている」との解釈。S&P500採用銘柄の半数以上が決算発表を通過。利益が予想を上回った企業は70%近くに達しており、長期平均の66%を上回っている。
日経平均株価は194円高の27696円と反発。NY株高と134円台の円安傾向を好感。TOPIXも反発し2000ポイント乗せ。東証プライムの売買代金は2兆6373円。日産、任天堂が上昇。サッポロ、シチズンが下落。
17日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って大幅反落。予想想以上に強い卸売物価指数(PPI)と新規失業保険申請件数減少で利上げ継続観測が高まった。刹那的解釈だが明日の先物決済と3連休控えとも考えられる。36万2000台をリコールすると発表したテスラが5.7%安。通年の業績予想を上方修正したシスコシステムズが5.2%上昇。
日経平均株価は183円31銭安。NYは、プレジデンツデーで休場3連休。
(2) 欧米動向
BofAの2月の世界投資家調査。
総額8470億ドルを運用するファンドマネージャー299人を対象に9日までの1週間に実施された。
投資家は依然として全体的に慎重だが、ここ数カ月に比べるとその姿勢は緩和。
リセッション(景気後退)を予想した割合はわずか24%と昨年11月時の77%から低下した。
投資家は依然として現金に対するネットオーバーウエートと株式に対するアンダーウエートを維持。
ただ成長期待、現金配分、株式配分を測定する複合的な指数は過去1年間で最も高い水準まで改善したという。
新興国株式をオーバーウエートしている投資家の割合は昨年11月から2月にかけて51%ポイント拡大。
3カ月間の拡大幅としては過去最大となった。
また米ドルに対するロングに代わり、「中国株に対するロング」や投資適格債に対するロングが最も強気となったという。
(3)新興国動向
インドの資産家ゴータム・アダニ氏の企業帝国を襲ったスキャンダルで株式相場は急落。
良好な投資先としての同国に対する信頼が揺らいだ。
ただ投資家のジョージ・ソロス氏はこう指摘した。
「モディ首相はこの件について沈黙を守っている。
外国人投資家や議会の質問に答える必要がある。
これにより、インド連邦政府に対するモディ首相の影響力が著しく弱まり、必須の制度改革を推進する道が開かれることになる。
甘い考えかもしれないが、私はインドの民主主義復活に期待している」と語った。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【2月】(5勝5敗、勝率50%:7位) 《反発》
月初めから戻り売り。突っ込みは利食いして、小幅稼ぎの時。
20日(月)プレジデンツデーでNY休場
21日(火)上野動物園のシャンシャン中国に返還、米中古住宅販売、独ZEW景況感、変化日
22日(水)企業向けサービス価格指数、「PlayStation VR2」発売、FOMC議事録、独ZEW景況感、2月最弱の日
23日(木)天皇誕生日で東京休場、米GDP改定値、G20財務相中央銀行総裁会議(インド)
24日(金)1月消費者物価、全国百貨店売上高、米個人所得、新築住宅販売 株安の日L
26日(日)自民党大会
27日(月)日銀正副総裁への質疑、米耐久財受注、中古住宅販売仮契約、台湾休場(→28日)
28日(火)鉱工業生産、商業動態統計、米FHFA住宅価格、S&P住宅価格、CB消費者信頼感、MSCI日本株指数パッシブ売買インパクト
【3月】(5勝5敗:勝率50%:7位)《後半高》
戻りはただちに売り直せ。月末小高い。
1日(水) 株主総会資料の電子提供制度開始、ISM製造業景況感、中国各種PMI、株高の日L、変化日
2日(木) 法人企業統計、マネタリーベース、消費動向調査、ユーロ圏失業率
3日(金) 東京都区部消費者物価、失業率、米ISM非製造業景況感
5日(日) 東京マラソン2023、中国全人代大会
6日(月) 米製造業受注、エネルギー関連の国際会議「CERAウィーク」(ヒューストン→10日)
7日(火) 米消費者信用残高、中国貿易収支、株安の日L、変化日
8日(水) 景気ウオッチャー調査、米AD雇用レポート、JOLT求人件数、貿易収支、野球WBC開幕(米国など→21日) 株高の日L
9日(木) 日銀金融政策決定会合(→10日)、マネーストック、10-12月期GDP2次速報値、株安の日L
10日(金)メジャーSQ、黒田日銀総裁会見、家計調査、国内企業物価指数、東京ミッドタウン八重洲開業、株安の日L
12日(日)米夏時間入り
13日(月)法人企業景気予測調査、マスクは個人の判断に方針変更、株安の日、変化日
14日(火)米消費者物価
15日(水)米小売売上高、生産者物価、NY連銀製造業景気指数、対米証券投資、NAHB住宅価格、国際貿易委員会(対中追加関税による影響報告書、中国各種経済指標、株高の日、3月最強の日
16日(木)貿易収支、機械受注、首都圏マンション販売、米輸出入物価、住宅着工件数、NY連銀ビジネスリーダーズサーベイ、フィラデルフィア連銀製造業景況感、ECB理事会、3月最弱の日
17日(金)第三次産業活動指数、米クァドラプル・ウィッチング、鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感、FTSE日本指数指半期リバランス発表
18日(土)東急・相鉄が新横浜駅開業、オフピーク定期券導入
20日(月)日銀副総裁就任予定、上げの特異日、FTSE半期リバランス実施
21日(火)春分の日で休場、米FOMC(→22日)、中古住宅販売、独ZEW景況感、
22日(水)パウエルFRB議長会見、フィギアスケート世界選手権(さいたまス―パーアリーナ→26日)、バンコク国際モーターショー、株高の日L
23日(木)熊本空港新ターミナル開業、EU首脳会議(ブリュッセル→24日)、変化日
24日(金)消費者物価、米耐久財受注
26日(日)欧州が夏時間入り
27日(月)企業向けサービス価格指数、文化庁京都へ移転、パスポート更新の電子化開始、独IFO景況感、3月最弱の日
28日(火)米CB消費者信頼感、S&P住宅価格指数、FHFA住宅価格指数
29日(水)3月権利付き最終日、米中古住宅販売仮契約、株安の日L
30日(木)プロ野球開幕、米GDP確定値、変化日
31日(金)東京都区部消費者物価、失業率、鉱工業生産、商業動態統計、米個人所得、中国各種PMI、株安の日
(兜町カタリスト 櫻井英明)