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英明コラム 11月第1週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 11月第1週

【推移】
 
2日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は反落。米国のコロナ感染者数は累計900万人を突破。「欧州諸国が感染拡大防止に向けて制限措置の導入に動く中、景気への影響も懸念もされる」との見方。大統領選を控えた投資家の不安を反映しVI指数は38.02と上昇。週間ではNYダウが6.5%、S&P500が5.6%、NASDAQが5.5%下落。10月としてはNYダウが4.6%、S&Pが2.8%、NASDAQが2.3%下落。
 
日経平均株価は318円高の23295円銭と6日ぶりに反発。自律反発狙いの買いとの解釈だ。大統領選挙を控えて警戒感は高いものの買い物優勢の展開。バリュー株が1.9%高と約5カ月ぶりの高い伸び。10月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、好不況の境目となる50上回って着地。
またNYダウが堅調に推移したことも支えとなった。東証1部の売買代金は2兆2263億円。リクルート、トヨタが上昇。ZHD、アルプスが下落。
 
4日(水):
週明けのNY株式市場で主要3指数は反発。大統領選挙を控えて警戒感は高いものの買い物優勢の展開。バリュー株が1.9%高と約5カ月ぶりの高い伸び。火曜のNY株式市場で主要3指数は大幅続伸。市場を席巻したのは楽観論。「大統領選結果の判明は長引かず、追加財政刺激策が早期に打ち出されるとの期待が高まった」との解釈だった。
もっとも大統領選挙の勝利者は民主党候補のバイデン前副大統領との予測。「バイデン氏が約束するインフラ支出を盛り込んだ刺激策が選挙後に実施されることへの期待感」との見方。どこか違うような気もするが、市場はそういう見方だ。
 
日経平均株価は399円高の23695円と大幅続伸。米大統領選挙を横目に高値揉み合いの展開。前場は「バイデン勝利」を、後場は「トランプ勝利」を織り込むような展開。東証一部の売買代金は2兆5601億円。NTTデータ、ファーストリテイリングが上昇。キャノン、SBGが下落。
 
5日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は大幅続伸。大統領選挙の行方は混とん。ただ上院選で民主党の過半数獲得が厳しい情勢。「議会でねじれが続き大きな政策転換はなさそうだ」との奇妙で楽観的な見方が高まった。S&P500は1日の上昇率としては6月5日以来。NASDAQは4月14日以来の大きさ。情報技術やヘルスケアなどのセクターが大幅に上昇した。
 
日経平均は410円(1.73%)高の24105円と3日続伸。2018年10月3日以来、約2年1カ月ぶりの高値水準を回復した。「米民主党が大統領選と上下院選の両方で勝利するブルーウエーブの可能性が低下したとの見方から、巨大IT企業への規制強化などの政策懸念が後退した」との解釈。「半導体関連や医薬品株が買われ相場をけん引。財政赤字が拡大するとの警戒感が和らいで米長期金利が大幅に低下。成長期待の高いグロース株の割高感が目減りしたのも追い風」との見方だ。
東証1部の売買代金は2兆7052億円。ソニー、キーエンスが上昇。コマツ、紅が下落。
 
6日 (金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は大幅続伸。「大統領選で民主党候補のバイデン氏が勝利した場合でも、上院で共和党が過半数を維持。企業利益を損ないかねない大規模な政策変更は阻止される」との解釈だ。
 
FOMCを通過。「政策金利をゼロ付近に据え置き、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済を支援するため、あらゆる手段を尽くす」とコメント。「最大雇用と物価目標が達成されるまで利上げは検討しない」と確約したことを好感した。
日経平均株価
は219円高の24325円と4日続伸。4日続伸で3ケタ高での上昇幅は1348円。10月2日終値24270円(同日のザラバ高値24448円には届かず)を上抜いて年初来高値を更新。1991年11月13日終値(24416円)以来の高値水準を回復した。
東証一部の売買代金は2兆5331億円。鉄、ホンダが上昇。三井不、NECが下落。
 
 
(2) 欧米動向
 
9月の米貿易赤字は前月比4.7%減の639億ドル。
大豆の出荷が増え、食品輸出が2012年7月以来の水準に増加した。
市場予想は638億ドルだった。
中国向け輸出は18年3月以来の高水準。
中国からの輸入は19年7月以来の高水準だった。
原油輸入は1億5790万バレルで1992年2月以来の水準に低下した。
 
 
(3)新興国動向
 
中国の10月の貿易統計は、輸出が前年比11.4%増加19カ月ぶりの高い伸びとなった。
市場予想の9.3%を上回り、9月の9.9%から加速した。
輸入は4.7%増加。
9月の13.2%増や、予想の9.5%増は下回ったが、2カ月連続の増加。
中国は5日に予定されていたアントのIPOを延期。
調達額は世界で過去最大の約370億ドルに上る見通しだった。
中国当局は現在、金融部門のシステミックリスクと増大する債務の抑制に力を注いでいる。
アントのIPO延期で同社と投資家は大きな打撃を受ける格好。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
【11月】陽線確率6勝4敗(陽線確率60%)、過去15年9勝5敗(3位)
     気学では「保合いで模様眺め。押し目を買い直すこと」
 
 6日(金):家計調査、米雇用統計、消費者信用残高、変化日
 7日(土):中国貿易収支
 8日(日):立皇嗣の礼、ミャンマー総選挙
 9日(月):景気動向指数、JPX400/JPX中小型定期入れ替え発表、COP26(英グラスゴー)は延期
10日(火):景気ウォッチャー調査、独ZEW景況感、中国消費者・生産者物価
11日(水):マネーストック、MSCI日本指数半期リバランス発表、中国「独身の日」セール、株高の日
12日(木):国内企業物価、機械受注、第三次産業活動指数、米消費者物価、財政収支、ティックトックの全面禁止期限、変化日
13日(金):オプションSQ、米生産者物価、ミシガン大学消費者信頼感、鬼宿日・大明日・母倉日・神吉日、株安の日
 
 
米大統領選を見ていて茶番劇というのが脳裏に浮かぶ。
本来は「茶番狂言」。
江戸末期の歌舞伎に由来。
下手な役者が手近なものを用いて滑稽な寸劇や話芸を演じるもの。
楽屋でお茶を給仕していた大部屋の役者が、余興で茶菓子などをオチにした。
そこでこの寸劇は「茶番」と呼ばれることになった。
見物客の中には寸劇ではなく配られる品物を目当てにするものもいたという。
つまり「茶番」は即興の素人劇。
そこの見え透いたバカバカしいことを「茶番劇」というようになったという。
中世のヨーロッパでは「道化芝居」とも言われた。
「茶番劇、道化師たちのソネット」という表現ができそうな米大統領選。
市場が何を望んでいるのかは不明なまま。
バイデン優勢で上昇し、トランプ優勢で上昇が昨日の日経平均。
そして結果が出ずに混沌としていても上昇したNY株。
「決まらないことが株安」という常識を逸脱し「なんでもかんでも株高」。
セオリーも解釈もいらない状況で、通過することだけを頼りに上昇する。
もっとも雇用統計など経済指標にしても通過することが最重要課題。
今回も結果は問わず通過することに意味があったと考えればそれで済む。
4年に一度のイベントで踊ったのが市場と市場関係者。
ああだこうだと論評し、刹那的な結果はいずれにしても株高継続。
論じたエネルギーの蓄積はまさに「茶番の集積」。
これは4年前にも経験したことでもある。
人の家の選挙に付き合って24時間。
米大統領選のTV中継を一番見ていたのは東京市場だった。
そんな笑える構図も浮かんでくる。
そして「道化師のソネット」も聞こえてきそうな気配だ。
俳優でも不動産屋でも大統領はなんでも構わない。
表の傀儡は常に変えることは可能だが、裏の傀儡子は永久不変の存在。
これが日本と一番違う米政治という見方も出来ようか。
 
それにしても・・・。
「脱炭素」を一番に打ち出した菅政権。
先見の明ということだろうか。


(兜町カタリスト 櫻井英明)

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