《マーケットストラテジーメモ》 4月2週
【推移】
6日(月):
週末のNY株式市場は反落。S&P500は高値から約27%下落。時価総額で約7兆ドルが吹き飛んだ。GDP予想の下方修正が相次いでいる。モルガン・スタンレーは今年の成長率がマイナス5.5%と1946年以来で最大の落ち込みを予想した。第2四半期は38%のマイナス成長見通し。
日経平均は756円銭高の18576円30銭(4.2%高)と大幅続伸。一時800円以上上昇し18600円台を回復した場面もあった。日中値幅は約869円。TOPIXは6日ぶりの反発。前場は安倍首相が「緊急事態宣言を発令する方針を固めた」と伝わったことを好感。
「アク抜け感から買い戻しの動きが強まった」としての上昇。後場は2時過ぎころからNY株式先物の上昇を見ながら上昇幅を拡大した。
東証1部の売買代金は2兆6994億円。値上がり2004銘柄。値下がり141銘柄。SBG、デンカが上昇。ニトリ、山陽商会が下落。
7日(火):
週明けのNY株式は3指数揃って反発。NYダウは1627ドル高の22679ドルと3月11日以来の水準を回復した。イタリアの新たな感染者はこの3週間で最低。スペインの新規感染者数と死亡者数がともに減速。米NY州のクオモ知事は「ウィルス感染による一日の死亡者数が初めて前日比減。新たな入院患者も前日比で半減した」とコメント。
世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化するとの期待が高まったとの解釈だ。NYダウ採用30銘柄は全部上昇。恐怖と欲望指数は21→27。ようやく「超弱気」の域を脱した。
日経平均株価は373円銭高の18950円と3日続伸。一時19000円を上回る場面もあった。日足は2日連続の陽線。日中値幅は約600円。右肩上がりに転じた5日線(18246円)を2日連続で上回った。東証一部の売買代金は2兆8231億円。値上がり18777銘柄、値下がり255銘柄。アドバンテスト、東エレが上昇。高島屋、フィルムが下落。
8日(水):
NY株式市場は値動きの荒い展開。序盤は買い物優勢でNYダウが900ドル以上上昇。その後原油価格の下落を嫌気した格好で下落に転じ結局はマイナス。原油安の背景は供給増と新型コロナウイルス流行を受けた需要低迷。主要産油国による減産実現に慎重な見方も拡大した。S&P500は3月23日の日中安値から18.9%上昇。
しかし2月中旬に付けた過去最高値を依然として21.5%下回っている。
日経平均株価は403円高の19353円と4日続伸。約1カ月ぶりに終値で19000円台を回復した。4日続伸は今年初。今週に入って3日間で1500円超の上昇。昨年11月22日→27日以来。根拠は薄いが「当面の悪材料出尽くし感」との解釈。
東証一部の売買代金は2兆8114億円。ファーストリテ、ANAが上昇。鉄、三菱UFJが下落。ピンクムーンは世界株高につながった格好。
9
日 (木):
NY株式は反発。前日とは異なりなだらかな右肩上がりの展開だった。トランプ大統領が前日「国内の新型コロナウイルス感染はおそらくピークに近づきつつある」とコメント。
これを受けて寄りから堅調展開。民主党のバーニー・サンダース上院議員が大統領候補指名争いから撤退すると表明。これも好材料視され特にヘルスケアセクターが上昇。OPECとロシアなど非加盟産油国による減産合意への期待から原油先物が6%超上昇。エネルギー株の上昇につながった。
日経平均株価は7円銭安の19345円と5日ぶりの反落。朝方は米国株高を受けて買いが先行。
ただ「日本で新型コロナウイルスの感染者の増加が止まらず、積極的に買い上げていく地合いになりづらい。OPECプラスの結果を見極めたい」という見方での手控えモードだった。3月の戻り高値19564円が意識され上値は重かった。
東証1部の売買代金は2兆2997億円。値上がり1098銘柄。値下がり1007銘柄。新高値21銘柄。新安値0銘柄。ファナック、IHIが上昇。フィルム、味が下落。
10日(金):
グッドフライデーの週末3連休を控えたNY株式市場で主要3指数は続伸。FRBが新型コロナウイルス感染拡大への対応策の一環として打ち出した総額2兆3000億ドルの地方政府や企業に対する支援策を好感。「ジャンク債購入はかなり予想外だった」と言う声が聞こえる。相場を左右したのが原油先物相場。OPECプラスの協調減産への期待と失望が同居した格好。結局は5月と6月に日量1000万バレルの減産を行うことで合意した。
週間ではNYダウが12.7%、S&P500が12.1%、NASDAQは10.6%上昇。S&P500の週間の昇率は1974年以来の大きさ。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は660万6000件。前週の686万7000件からやや鈍化したが2週連続で600万件超。過去3週間の合計は1678万件となった。
日経平均株価は152円高の19498円と反発。ただ「新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、経済活動が長期間にわたり停滞するとの警戒感が上値を抑えた」との声も聞こえる。
東証1部の売買代金は2兆1945億円。2月21日以来およそ1カ月半ぶりの低水準。SQ日だが海外投資家の参加者が少なく薄商いだった。新高値21銘柄(前日27銘柄)。新安値0銘柄(前日2銘柄)。三菱UFJ、ファーストリテが上昇。ファミマ、ANAが下落。暫定SQ値19577円48銭は「幻」のまま。
(2) 欧米動向
雇用統計は非農業部門雇用者数が前月から70万1000人減。
前月の27万5000人増からマイナスに転じた。
失業率は4.4%。
前月の3.5%から悪化。
0.9%ポイントの上昇は1カ月の上昇としては1975年1月以来最大。
「新型コロナを受けた外出制限措置などが経済活動の停滞につながっている。
米経済のリセッション(景気後退)入りを示唆した」という見方だ。
(3)アジア・新興国動向
OECDは「新型コロナウイルス危機により主要国の経済活動を示す月次の先行指標が過去最大の落ち込みになった」と発表。
「経済活動の低下にいつ歯止めがかかるのか予見できない。
先行指標はほとんどの主要国で過去最大の落ち込みになった」。
現実の景気は甘くない。
OECDの3月景気先行指数は前月を0.8ポイント下回り98.8。
下げ幅は過去最大。
水準は2009年9月以来10年半ぶりの低さ。
国別では、日本98.4(前月比▲0.5)、米国98.9(▲0.6)、中国98.8(▲0.3)。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【4月】陽線確率6勝4敗、(陽線確率60%)、過去15年9勝6敗(6位)
気学では「諸株活況ながら月末は安くなる。下旬に売りに転ずるべし」
13日(月):マネーストック、大阪万博まで5年、米財政収支、イースターマンデー
14日(火):米輸出入物価、中国貿易収支、変化日
15日(水):米小売り売上高、鉱工業生産、ベージュブック、対米証券投資、韓国総選挙、G20財務相・中央銀行総裁会議、TDLで新エリア開場(延期)
16日(木):首都圏新規マンション販売、米住宅着工、フィラデルフィア連銀製造業景況感
17日(金):米CB景気先行指数、IMF・世銀春季総会(ワシントン)、中国GDP、小売売上高、下げの特異日
19日(日):立後嗣の礼
20日(月):貿易統計、米シカゴ連銀全米活動指数、国連犯罪防止刑事司法会議(京都)、世界最大級の産業見本市「ハノーバー・メッセ」開幕、下げの日
21日(火):米中古住宅販売、独ZEW景況感
22日(水):米FHFA住宅価格指数
23日(木):米新築住宅販売、株高の日
24日(金):消費者物価、企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、独IFO景況感、ラマダン入り、変化日、株安の日
25日(土):チリ憲法改正国民投票
27日(月):日銀金融政策決定会合(→28日)、展望レポート
28日(火):失業率、黒田日銀総裁会見、FOMC(→29日)、CB消費者信頼感、大統領予備選(NY州など)
29日(水):昭和の日で休場、米GDP速報値、
30日(木);鉱工業生産、消費動向調査、米個人所得、ECB理事会、ユーロ圏GDP速報値、中国製造業PMI、変化日
2020年3月月中平均18974.00円。
2019年3月月中平均21414.88円からは2440円の低下。
率にして11.3%の下落となった。
これから1年何かにつけてこの数字が影のように付きまとうのが機関投資家の世界でもあろう。
ちなみにTOPIXの3月月中平均は1385.56ポイント。
昨年3月月中平均は1602ポイントだった。
スタート台が低いだけ気が楽な人たちもいるかも知れない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)