《マーケットストラテジーメモ》 1月第2週
【推移】
4日(月):
昨年末のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。NYダウとS&P500種は過去最高値を更新した。またNASDAQは年間で43%の上昇。上昇率は09年以降で最大となった。S&P500は3月下旬に付けた安値から66%強上昇。年間では約16%上昇。NYダウは約7%高。「実社会は大変だった。それでも今年の株式相場は強気の年となった。コロナ禍をきっかけに世界が一変。勝ち組と負け組の選別が一層進んだ」という見方だ。
日経平均株価は185円安の27258円と続落。菅義偉首相が年頭の記者会見で緊急事態宣言を再び発令する検討に入るとコメント。経済活動の停滞を警戒し売り物優勢の展開。
ただ「相場の下落は続かないだろう」との声も聞こえ下落幅は限定的。「1週間前は26854円。利食いをこなす展開」との声も聞こえる。東証1部の売買代金は1兆9441億円。ソニー、NTTが上昇。小田急、高島屋が下落。
5日(火):
年初のNY株式市場で主要3指数は揃って3日ぶりに反落。NYダウとS&P500は寄り付き後に最高値を更新したがボーイングの下落等に押されて下落。「ジョージア州の上院決選投票を控えた警戒感やコロナ感染拡大を受けてリスク選好ムードが後退」との解釈。主要3指数はいずれも2週間ぶりの安値水準に沈んだ。テスラは過去最高値を更新。
日経平均株価は99円安の27158円と3日続落。緊急事態宣言と米ジョージア州の選挙を警戒して売り物優勢の展開。ただ下値は限定的だった。東証一部の売買代金は2兆1336億円。信越、フィルムが上昇。ファーストリテ、資生堂が下落。
6日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反発。背景は買戻しとの解釈。3市場の売買高は143.7億株(過去20日平均は110.9億株)と増加した。ただジョージア州の上院決選投票を横目で見ながらの不安定な展開は否めない。ISM製造業景気指数は60.7と2年4カ月ぶりの高水準で着地。背景はコロナウイルス感染の拡大で需要がサービスからモノへ移行したこととの見方。市場予想は56.6、11月の製造業景気指数は57.5だった。
日経平均株価は102円安の27055円と4日続落。米上院決選投票で民主党が勝利するとの観測から米株価指数先物相場が下落。
東京市場でも値がさ株を中心に売られて指数を押し下げた。日経平均は前日まで3日続落していたこともあり下値は限定的だった。ただTOPIXは反発し今年初の上昇。東証1部の売買代金は2兆2996億円。日揮が上昇。アドバンテスト、東エレが下落。
7日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウは財政支出の拡大観測から日中は31000ドル台に乗せ最高値を更新。終値での最高値も更新した。「リフレトレード」が活発になり、小型株や銀行株など景気回復の恩恵を受ける銘柄が上昇。一方、テクノロジー株は軟調。ジョージア州上院決選投票で民主党が2議席とも獲得するとの見方が台頭。景気刺激策やインフラ支出が拡大するとの思惑から金融・工業・素材・エネルギーセクターが上昇した。
日経平均株価は439円高の27490円と5日ぶりに反発。今年初の上昇となった。高値は27624円。日足は今年初の上昇。東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数が2000人を超えたと伝わり日経平均はやや水準を切り下げた。というよりもボリンジャーのプラス3σに近づいてことから上値は重くなったという印象だ。
「市場の関心は感染状況よりワクチン接種の進捗状況に移っている。感染者数の増加は以前ほど材料視されなくなった」という声もある。TOPIXは続伸。東証1部の売買代金は2兆9990億円。三菱UFJ、ファナックが上昇。SBG、スクエニが下落。
8日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。NYダウは3100ドル台、NASDAQは13000ポイント台、S&P500は3800ポイント台。ダウ輸送株指数と合わせて揃って過去最高値を更新した。小型株で構成するラッセル2000は3日で8%近くの上昇。「民主党が議会の主導権を握ったことで、追加景気対策の実現に期待が高まった」と逆転の解釈が継続。一方で議会では民主・共和両党からトランプ氏の罷免を求める声が上がった。
「市場はトランプ氏の先を見越し、バイデン政権や追加景気対策に期待している」という見方だ。
大引けの日経平均株価は648円高の28139円と高値引けで続伸。「米大統領選後の株高局面と同様、今回もイベント通過による待機資金の流入と売り方の買い戻しが合わさって上昇が加速した」との解釈。TOPIXは3日続伸。東証1部の売買代金は3兆1190億円。ファーストリテ、東エレが上昇。SBG、HOYAが下落。
(2) 欧米動向
1月はダボス会議(世界経済フォーラム)が話題になる時期。
今年は年次特別総会をシンガポールで5月25ー28日に開催する予定。
従来のダボスでの年次総会は2022年からを予定している。
シンガポールでの年次特別総会は、新型コロナウイルス感染拡大からの復興を議論する初めての会合。
世界の経済界、政府、市民団体のリーダーが対面で議論。
現在、世界が直面する最大の課題の解決策を議論することが狙い。
例年ダボス会議が行われてきた時期となる2021年1月25?29日。
「ダボスウィーク」をオンラインで開催。
「新型コロナ禍」で失われた信頼や原則・信頼・パートナーシップを2021年で再構築するための議論を行う予定。
ここ数年で重要な議題となった第4次産業革命への対応、未来のより良い働き方、
ステークホルダーが参画する資本主義の加速などを「ダボスアジェンダ」としてウェブサイト上で発表。
シンガポールでの年次特別総会の前に東京で「グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット」を4月6?7日に開催する予定。
ということは・・・。
シンガポール会議が開催される5月にはコロナも下火になっているという読みなのだろうか。
(3)新興国動向
《世銀見通し》
2020年 2021年
世界 ▲4.3% △4.0%
米国 ▲3.5% △3.5%
ユーロ ▲7.4% △3.6%
日本 ▲5.3 △2.5%
中国 △2.0% △7.9%
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【1月】6勝4敗、(勝率60%、10位))
気学では「諸株活況。押し目を待って買うべし。下旬急騰することあり」
8日(金):米雇用統計、消費者信用残高、変化日、鬼宿日
11日(月):成人の日で休場、GOTOトラベル一時停止期限、中国生産者・消費者物価
12日(火):景気ウォッチャー調査
13日(水):マネーストック、工作機械受注、米消費者物価、財政収支、ベージュブック、下げの特異日
14日(木):機械受注、国内企業物価指数、都心オフィス空室率、米輸出入物価、中国貿易収支、最も上昇しやすい日、変化日
15日(金):第三次産業活動指数、米生産者物価、小売売上高、NY連銀製造業景況感、鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感
16日(土):大学入試共通テスト
「金利が上昇して株が上がる」。
起きているのは教科書的通説とは真逆の動きだ。
マイナス金利とかゼロ金利は、景気が良くないサインとすれば、当然の動きだろう。
「金利上昇を警戒」という言葉は多いが、まだそういう局面ではないということ。
ようやくまともな金利になることに期待したいものだ。
興味深いのは金融セクターの動き。
「金利上昇で運用が楽になる」との解釈だ。
そうかも知れないが、金利上昇を喜んで、債券を買っても、その金利上昇が債券価格の下落に通じる。
償還まで保有するならともかく、途中売却やトレーディングを背景での債券投資には本来良くない局面。
それでも多少の金利を求めて債券に行くのだとしたら、ごれも「違うんじゃない?」と言いたいところ。
ココは教科書通りに「金利が上昇して債券は下落する」が妥当だろう。
「金利が上昇して債券が下落するのであれば金利が上昇して株価は上昇する」。
いつか夢見たグレートローテーションの世界だが・・・。
常識と非常識が混載されているのが市場でもある。
(兜町カタリスト 櫻井英明)