《マーケットストラテジーメモ》6月3週
【推移】
15日(月):
週末のNY株式市場は反発。値動きは荒くS&P500は一時約3%上昇した後、約0.6%安となる場面もあった。「前日の大幅安を受け安値拾いの買い」との解釈だが戻りは物足りない。週間ではNYダウが5.6%、S&Pが4.8%、NASDAQが2.3%それぞれ下落。3月20日の週以来の大幅な下げ率を記録した。国債利回りは上昇。
日経平均株価は774円安の21530円とほぼ安値引けで3日続落。日足は2日ぶりの陰線。後場下落幅を拡大し3%超の下落となった。TOPIXも続落。200日線(21758円)を割れこみ25日線(21553円)も割れこんだ。ファーストリテ1銘柄で145円のマイナス寄与度。マザーズ指数先物は一時サーキットブレーカ―発動となった。
東証1部の売買代金は2兆3535億円。古河池、ドコモが上昇。SBG、東エレが下落。
16日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。新型コロナの拡大懸念からNYダウは朝方に762ドル安まで下げる場面あったがそこから1000ドル強の上昇。反転材料はFRBが個別企業の社債の購入を開始すると発表したこと。積極的な景気支援を好感したとの解釈だ。
NYダウは逆に一時280ドル程度上昇。終値は157ドル高の25763ドル。ほぼ全面高のなかで金融セクターが大幅高。生活必需品、コミュニケーション・サービス、情報通信が上昇した。
日経平均株価は1051円高の22582円と7日ぶりの大幅反発。上昇幅は今年3番目の大きさ。トランプ政権は景気てこ入れ策として1兆ドル近いインフラ計画の提案を準備しているとの報道を好感。東証一部の売買代金は2兆7542億円。鉄、トヨタが上昇。ヤクルト、ウエルシアが下落。
17日(水):
火曜のNY株式市で主要3株価指数は3日続伸。背景は「米経済は予想よりも早く回復する」との期待感。3日続伸でNYダウは1161ドル高。
ただ11日の大幅安(1861ドル)の6割強の戻し(まだ取り返せず)。
日経平均株価は126円安の22245円と反落。昨日の大幅高の反動で売り物優勢の展開。ただ大引け後の先物は切り返した。
東証一部の売買代金は2兆1759億円。SBG、ソニーが上昇。東レ、マツダが下落。
18日 (木):
水曜のNY株式市でS&P500とNYダウは4日ぶりの反落。NASDAQは4日続伸。英国の研究チームが重症患者にステロイド系抗炎症薬の「デキサメタゾン」を投与したところ死亡率が約30%低下したと発表。世界保健機関(WHO)が新型コロナ治療に関するガイダンスを更新する方針を示した。これを受けて寄り付きは続伸。
一方米国では6州で新型コロナウイルスの新規感染者が急増。トランプ大統領の選挙集会を控えたオクラホマ州では感染者数が過去最多を記録。新たな抑制措置実施への懸念が拡大。「経済回復の兆しを巡る投資家の楽観姿勢が後退した」との見方だ。
日経平均株価は100円安の22355円続落。1ドル=106円80銭台という円高トレンドも売りたたく材料とはならなかった。25日線は200日線を上抜けた。東証1部の売買代金は2兆90億円。任天堂は2008年9月以来の5万円台回復。SBG、東エレが上昇。ファーストリテ、トヨタが下落。
19日(金):
NY株式市で主要3指数は狭いレンジでの展開。NASDAQは5日続伸。S&Pは小幅反発だがNYダウは続落。カリフォルニア州やテキサス州では1日の新規感染者が過去最多を更新。複数州で経済再開後に新型コロナ感染者が急増している。
週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は150万8000件。前週の156万6000件からは減少したが企業のレイオフを背景に申請件数は高止まり。景気回復が緩慢なペースとなる兆候と解釈された。フィラデルフィア連銀業況指数は27.5。5月のマイナス43.1から大幅に回復。こちらは新型コロナウイルス危機の打撃を受けた製造業が立ち直り始めているとの期待につながった。
日経平均株価は123円高の22478円と反発。景気回復期待感とコロナ拡大への警戒感の交錯だったか買い物優勢の展開。TOPIXは3日続落。東証一部の売買代金は2兆8398億円。FTSEの銘柄入れ替えで商いは膨らんだ。東エレ、アドバンテストが上昇。日鉄、三井不が下落。週足は2週間ぶりの陽線。
(2) 欧米動向
トランプ政権が景気てこ入れ策の一環として1兆ドル近いインフラ計画の提案を準備しているという報道は好感。
5月の小売売上高は前月比17.7%増と市場予想の8%増を上回った。
1992年の統計開始以降で最大の伸びを記録。
前月の14.7%減から大きく持ち直しリスク心理がさらに改善した。
「小売売上高が株価上昇の理由。刺激策の匂いも漂っている」という見方だ。
ただFRBパウエル議長は半期に一度の議会証言。
「この疫病が収まったと確信されるまでは、完全に回復する公算は低い」とコメント。
6月のNAHB住宅建設業者指数は58と予想の45を大きく上回って着地した。
5月の住宅着工件数は年率換算で97万4000戸。
前月比4.3%増加したが市場予想の109万5000戸には届かなかった。
先週の住宅ローン申請は11年半ぶりの高水準。
住宅着工許可件数は大幅なプラスに転じコロナ危機による落ち込みから持ち直した格好。
(3)アジア・新興国動向
中国の5月の鉱工業生産は前年同月比4.4%増加。新型コロナの流行が始まった昨年終盤以降初めて増加に転じた4月(3.9%増)から伸びが加速。
昨年12月以来の高い伸びとなったが市場予想(5.0%増)には届かなかった。
5月の小売売上高は前年比2.8%減で4カ月連続の減少。
4月(7.5%減)よりは小幅な減少にとどまったが市場予想(2.0%減)以上の落ち込みとなった。1─5月の固定資産投資は前年比6.3%減。
市場予想(5.9%減)より大幅な減少となった。1─4月は10.3%減だった。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【6月】陽線確率7勝3敗、(陽線確率70%)、過去15年10勝5敗(1位)
気学では「利を優先するより、損をしないよう売り方針」
22日(月):米シカゴ連銀全米活動指数、中古住宅販売研件数
23日(火):新築住宅販売件数
24日(水):企業向けサービス価格指数、独IFO景況感
25日(木):全産業活動指数、米GDP確定値、耐久財受注、中国端午節(→27日)
26日(金):米個人所得、変化日、鬼宿日・神吉日
29日(月):商業動態統計、株高の特異日
30日(火):失業率、鉱工業生産、キャッシュレスポイントの期限、米CB消費者信頼感、CS住宅価格指数、中国製造業PMI、英EU離脱以降期限の延長申請期限、上げの日
よく聞かれる相場予測。
「25日線を下回らなければ株価は上昇し深押しはない。
25日線を割れれば株価は下落し2番底の可能性もある。
話の中身はほとんど根拠レスに近い観測だが曲者は25日線。
具体的数字があるので微妙に納得することは多いもの。
しかしこれを天気予報に当てはめてみると・・・。
「明日は晴れですが雲が出てくると雨が降るかも知れません」。
あるいは「明日は雨模様ですが、雲が消えれば太陽がでて晴れになります」。
こんな予報を聞いて役に立てる人がいるだろうか。
仮定条件を加えた結論など求めている人はないに等しい。
それにそんなことくらい言われなくてもわかる。
言われなくてもわかることを「そうか」と錯覚させつ技術に市場関係者は秀でているのだろう。
日々市場関係者の言葉を分析してみると、きっと大したことは言っていないことに気が付くのかも知れない。
当たり前のことを言っているのにそれを特別な分析と思い込むのは不思議な行動原理でもある。これは、罫線屋さんに限ったことではない。
世界情勢を滔々と述べる市場関係者も多い。トランプ大統領も習近平主席も知り合いのような語り口
しかしあったことがある市場関係者のコメントではない。
だったら自宅の居間でテレビを見ながらああでもないこうでもないと言っている人と変わらないのが現実。不思議な光景はあちこちにある。
「スポーツ以外の分野では、多くの分野で専門家は理論武装で脚色して無誤謬を装う者」。
あながち間違っていないかも知れない。
18日から7月12日まで水星逆行。逆行といっても本当に回転が逆になるわけではなく見かけの話。ちなみに今年は3回ある。
最初は2月17日→3月10日だった。
ここがコロナ禍の下落の端緒だったことは記憶に新しい。次は10月14日→11月4日。
ちなみに今は今年一度しかない金星の逆行中。
5月14日→6月25日だ。火星の逆行も今年1回。
9月10日→11月13日だ。
木星は5月15日→9月12日まで逆行中。土星は5月12日→9月30日まで逆行中。
天王星は8月16日→来年1月14日まで逆行。
海王星は6月24日→11月28日に逆行。
冥王星は4月26日→10月4日まで逆行中。
全天体の巡行は1月12日→2月16日。
3月11日→4月25日だった。
6月19日→23日は5天体逆行。
6月24日→25日は6天体逆行。
6月26日→7月11日は5天体逆行。
8月16日→9月9日は5天体逆行。
9月10日→12日は6天体逆行。
9月13日→30日は5天体逆行。
調べ始めるとキリがない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)