《マーケットストラテジーメモ》 6月 第5週
27日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って大幅続伸。「景気減速の兆候や商品価格の下落でFRBが予想ほど積極的に利上げしない可能性」との見方。S&P総合500は約3%上昇。1日の上昇率としては2020年5月以来最大となった。
ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は50.0。速報値の50.2から下方修正され過去最低を更新した。FF金利先物は主要金利が来年3月までに3.5%近辺に上昇するとの見方を織り込む水準。先週は4%まで上昇するとの見方が織り込まれていた。フェデックスが7.2%高。
日経平均株価は379円高の26871円と3日続伸。東証ブライムの売買代金は2兆6990億円。東電、信越が上昇。三井不動産が下落。
28日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って3日ぶりに小幅反落。主要指数は一時上昇していたが結局反落。NYダウは前週に約1600ドル昇。短期的に利益を確定する売りが優勢だった。2015年以来7年ぶりに2四半期連続で下落する見通し。
NASDAQ総合は15年以来最長の3カ月連続の下げとなりそう。アマゾンやマイクロソフト、アルファベット など金利に敏感な大型株の下げが目立った格好。ボーイングやダウなど景気敏感株が売りに押されナイキやディズニーなど消費関連株も下落。メルクやユナイテッドヘルス・グループなどディフェンシブセクターは上昇。「方向感に欠けているのは第2四半期の決算シーズンを控えていることが背景」という見方だ。
日経平均株価は178円高の27049円と4日続伸。一時マイナス局面もあったが大引けにかけて切り返し25日線を上回った。東証ブライムの売買代金は2兆8093億円。第一三共、大塚が上昇。東エレ、ファナックが下落。
29日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って大幅続落。「6月の米消費者信頼感が悪化したことで楽観的な見方が後退。
インフレ対応に向けたFRBの積極的な利上げで経済が景気後退に陥るとの懸念」との解釈。CB消費者信頼感指数は98.7。前月から4.5ポイント低下し2021年2月以来の低水準。市場予想は100.4だった。主要3指数の中ではNASDAQ総合が2.98%安と最も大きく下落。アップル、マイクロソフト、アマゾンが下落した。
日経平均株価は244円安の26804円と5日ぶりに反落。下落幅は一時300円を超えた場面があった。東証ブライム市場の売買代金は3兆8714億円。TOPIXの浮動株比率変更とMSCIの配当の再投資で増加した。東電、サッポロが上昇。東エレ、マツダが下落。空売り比率は53.0%(前日43.1%。3月24日から62日連続で40%超)。21年10月28日54.2%、22年1月27日52.9%、22年3月6日52.1%。
30日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は小幅にマチマチの動き。NYダウは反発。NASDAQとS&P500は小幅続落。半期末のリバランスの可能性に期待は残るが決算待ちの姿勢の方が優勢の印象。上半期でNASDAQは過去最悪のパフォーマンス。S&P500は1970年以降で最大の下落率。
NYダウは金融危機以来最大の下落。あと1日で取り返すのは無理だ。また主要3指数はいずれも2015年以降初めて2四半期連続で下落する見通し。アップル、マイクロソフト、アマゾンは上昇。
日経平均株価は411円安の2万6393円と続落。日中を通して軟調に推移。特に半導体関連の売りが目立った格好。5月の鉱工業生産指数(季節調整済み)の速報値は前月比7.2%低下。市場予想中央値(0.3%%)を大幅に下回ったことも悪材料視された。
日経平均は月間では86円(3.25%)下落。月間での下落は2カ月ぶり。東証プライムの売買代金は3兆2144億円。鹿島。東レが上昇。ネクソン、いすゞが下落。
1日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は下落。リバランスの買いは不発。主要3指数は月間ベース、四半期ベースともにマイナス。S&P総合500種の下落率は上半期としては1970年以来最大となった。上半期の下落率はNASDAQ総合が過去最大。NYダウは1962年以来最大。3指数は2四半期連続で下落。2四半期連続での下落はS&Pとダウが2015年以来、NASDAQが16年以来。5月の個人消費支出(PCE)は前月より0.2%増加。ただ増加率は過去5カ月で最小。市場予想の0.4%も下回った。
日経平均株価は457円安の2万5935円と3日続落。終値で26000円を下回るのは6月20日以来。下落幅は後場に一時500円を超えた。「夜に6月のISM製造業景況感指数が発表されることを控え持ち高調整の売りも出やすかった」との解釈。TOPIXも3日続落。東証プライムの売買代金は3兆1469億円。値上がり308銘柄、値下がり1485銘柄。キッコーマン。高島や上昇。商事、物産が下落。
(2) 欧米動向
TDセキュリティーズの23日時点でお商品投資顧問(CTA)の米株先物ポジションのコメント。
Eミニ・S&P500株価指数先物が過去最大ロング比でマイナス15%(売り超)。
Eミニ・ナスダック100先物が同マイナス21%。
Eミニ・ダウ300種平均先物が同マイナス20%のポジショニングであると推計。
CTAの米株先ポジショニングは4月以降売り越し基調が継続。
先週の米株式市場の反発でも大きく買い戻さなかったということになる。
DはCTAの米株先買いトリガーの推計。
S&P500で4436。
NASDAQ100で1万4912。
NYダウ平均で3万4261ドル。
(3)新興国動向
財新/マークイットが1日発表した6月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7。前月の48.1から上昇し1年1カ月ぶりの高水準。
新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が解除され生産が大きく回復したことが背景。景況改善・悪化の分岐点となる50を4カ月ぶりに上回った。市場予想は50.1だった。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【7月】5勝5敗、(勝率50%、10位)
気学では「買いの月。吹き値は利食いして、押し目で買い戻せ」。
7月4日(月)マネタリーベース、独立記念日でNY休場、変化日
7月5日(火)毎月勤労統計、米製造業受注
7月6日(水)ISM非製造業景況感 JOLT求人件数、FOM議事要旨、対中制裁関税延長要請期限、下げの特異日
7月7日(木)都心オフィス空室率、景気動向指数、米ADP雇用レポート、貿易収支、株安の日、TOPIX10ー12月決算企業浮動株比率見直し発表
7月8日(金)オプションSQ、景気ウォッチャー調査、家計調査、パッシブ型ETF分配金支払い日、米雇用統計、消費者信用残高、株安の日
7月9日(土)中国生産者物価、消費者物価
7月10日(日)参議院選挙投開票
7月11日(月)マネーストック、機械受注
7月12日(火)国内企業物価指数、独ZEW景況感
7月13日(水)米消費者物価、財政収支、ベージュブック、バイデン大統領中東歴訪、中国貿易収支
7月14日(木)米生産者物価、変化日
7月15日(金)第三次産業活動指数、NY連銀製造協景況感、鉱工業生産、小売売上高、輸出入物価、ミシガン大学消費者信頼感、中国各種経済指標、G20財務相・中央銀行総裁会議
7月18日(月)海の日で休場、米NAHB住宅指数、株安の日
7月19日(水)米住宅着工件数
7月20日(木)日銀金融政策決定会合(→21日)、首都圏マンション販売、米中古住宅販売
7月21日(金)日銀展望レポート、米フィラデルフィア連銀製造業景況感、ECB理事会、ECB総裁会見、株高の日
7月22日(金)消費者物価、株安の日、変化日
7月25日(月)独IFO景況感
7月26日(火)企業向けサービス価格指数、FOMC(→27日)、米CB消費者信頼感、FHFA住宅価格指数、S&P宗卓価格指数、新築住宅販売、下げの特異日
7月27日(水)米耐久財受注、FRB議長会見、株安の日
7月28日(木)米第2四半期GDP速報値、変化日、TOPIX、東証REIT指数パッシブ売買インパクト
7月29日(金)鉱工業生産、消費動向調査、商業動態統計、米個人所得、シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感、ユーロ圏GDP速報値、上げの特異日
7月30日(土)中国製造業非製造業PMI、イスラム・ヒジュラ歴の新年
日銀短観通過。
大企業・非製造業の業況判断DIはプラス13。
製造業のプラス9を上回った。
大企業・非製造業DIが製造業DIを上回ったのは20年12月以来。
非製造業DIは感染拡大前の2019年12月以来の高水準。
想定為替レート(全規模・全産業)は22年度通期で1ドル=118.96円と、前回3月調査から7円程度円安方向に修正された。
企業の設備投資計画では、22年度の全規模・全産業の計画が前年度比14.1%増。
過去平均を大幅に上回った。
円安が急速に進む中でも企業の事業計画が揺らいでいないことが示された。
(兜町カタリスト 櫻井英明)