《マーケットストラテジーメモ》 8月第5週
【推移】
24日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は続伸。NYダウは190ドル上昇。NASDAQとS&P500は終値ベースでの史上最高値を更新した。時価総額が2兆ドルを超えたアップルが5%強上昇。S&P500やナスダックを最も押し上げた。アマゾンやマイクロソフトも上昇のけん引役。テスラが2.4%高。通期の収益見通しを引き上げた農業機械メーカーのディアが4.4%高。週間ではNYダウほぼ変わらず。
S&P500は0.7%高、NASDAQが2.7%高。
日経平均株価は65円高の22985円と続伸。NY株高とアジア株の堅調を背景に一時23000円台を回復した場面もあった。
ただ物色範囲は狭く上昇幅は限定的。むしとマザーズなど新興市場の上昇が目立った格好。「ジャクソンホール会議で米金融政策の方向性が示される可能性がありイベントが終わるまで、持ち高形成に慎重な投資家が多い」という見方だ。
東証1部の売買代金は1兆5397億円と8月17日以来の低水準。6日連続の2兆円割れ。任天堂、シスメックスが上昇。東エレ、日立建機が下落。
25日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は3日続伸。NASDAQとS&P500は連日の過去最高値更新。NYダウは1.35%高となったが過去最高値からは約4.2%下回った水準。もっとも終値ベースの28000ドル台は2月以来約半年ぶり。「株価上昇の裾野は広がり、その動きは輸送株にも反映されている」という見方だ。
「市場は来年に向けて順調に進んでいる。ワクチンや複数の治療薬のほか、政府が景気支援を継続する見通し。労働者の復職と学校再開への期待だ」という声もある。
日経平均株価は311円高の23296円と3日続伸。約半年ぶりの高値を回復した。上昇幅は一時400円を超えた場面もあった。東証一部の売買代金は2兆1242億円と7日ぶりの2兆円台。値上がり1648銘柄、値下がり467銘柄。コニカミノルタ、東レが上昇。サイバー、ニチレイが下落。
26日(水):
火曜のNY株式市場でNASDAQとS&P500は4日続伸で過去最高値を更新。
一方NYダウは60ドル安と反落。構成銘柄から除外される石油のエクソンモービルなどが売られたのが重荷。NYダウは一時200ドル超の下落場面もあった。買い材料はコロナウイルス治療への期待や米中通商協議の進展。
ライトハイザーUSTR代表とムニューシン米財務長官は中国の劉鶴副首相と電話会談。米中通商合意の「第1段階」を履行する決意を再確認した。英製薬大手アストラゼネカはコロナ予防や治療を目的とした抗体カクテルの臨床試験を開始。これらを好感したとの解釈。
日経平均株価は5円安の23291円と4日ぶりの小幅反落。利益確定売りに押されたとの解釈。東証一部の売買代金は1兆6566億円と2兆円割れ。値上がり925銘柄。値下がり1115銘柄。任天堂、東芝が上昇。リクルート、中外薬が下落。
27日 (木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は上昇。NASDAQは連日、S&P500は4日連続で終値ベースでの過去最高値を更新。「大型モメンタム株が引き続き選好された」の見方。
NYダウに新規採用され決算も好調だったセールスフォースが26%上昇。ネットフリックスは11.6%上昇し約3年ぶりの大幅高。フェイスブックは8.2%上昇。
「コロナ感染状況がどう転んでも、これら企業の事業は継続するという信頼感がある」という楽観が背景だ。耐久財受で民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注は前月比1.9%増加。6月の4.3%増からはペースが鈍化した。
日経平均株価は前日比82円安の2万3208円と続落。ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控え売り物優勢の展開。米中対立のほか、安倍晋三首相が翌日記者会見を開く方向も上値の重荷となった。ただ市場への盈虚は限定的。東証1部の売買代金は1兆7234億円と薄商い。2日連続の2兆円割れ。東エレ、リクルートが上昇。トヨタ、KDDIが下落。
28日(金):
木曜のNY株式市場でNYダウは160ドル高。2月に付けた最高値まであと3%強に迫った。S&P500も小幅上昇で6日続伸。5日連続で過去最高値を更新した。
一方NASDAQは6日ぶりに反落。ウォルマートはマイクロソフト連携し「TikTok」の米事業買収に乗り出すと発表。ウォルマートは4.5%高、マイクロソフトは2.5%高。
これがNYダウの上昇をけん引した。ジャクソンホール会議でFRBのパウエル議長の講演通過。「広範かつ包括的な雇用に重点を置くとともに、物価よりも雇用を重視し、最大雇用の確保に努める。低インフレ期間を相殺するため、2%を超えるインフレ期間を容認。インフレ率が長期的に平均2%となるよう目指す」。「FF金利は、現在のゼロ%近辺に何年もとどまる可能性が出てきた」と解釈された。
日経平均株価は326円安の22882円と大幅に3日続落。小幅高で推移していた午後2時過ぎに「安倍首相辞任の意向」との報道を受けて一時600円近く下落した場面があった。
日経平均は1.41%安、TOPIXは0.68%安。東証1部の売買代金は2兆8251億円と6月19日(2兆8398億円)以来の大きさ。三井住友、海上が上昇。SBG、スクリンが下落。週足は陰線。5日線(23132円)は下回ったが25日線(22778円)がサポート。
(2) 欧米動向
NYダウの構成銘柄入れ替え。
↓
【新規採用】
情報サービス大手セールスフォース・ドットコム、
製薬大手アムジェン、
機械大手ハネウェル・インターナショナル
【除外銘柄】
石油大手エクソンモービル(過去100年NYダウ採用銘柄)
製薬大手ファイザー、
防衛大手レイセオン・テクノロジーズ
スマートフォンのアップルが31日付で1株を4株にする株式分割を実施。
ダウ平均は株価の単純平均で算出されるため、アップルの株価水準が4分の1に下がればダウ平均の寄与度も4分の1に下がる。
(3))アジア・新興国動向
中国国家統計局が発表した7月の工業部門企業利益は、前年同月比19.6%増の5895億元(855億8000万ドル。
3カ月連続の増益。増益率は2018年6月以降で最高。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
31日(月):鉱工業生産、中国製造業PMI、MSCI日本株パッシブ売買インパクト
【9月】陽線確率6勝4敗(陽線確率60%)、過去15年10勝5敗(1位)
気学では「上旬・中旬は強調。秋分以降は売り一貫のとき」
1日(火):失業率、法人企業統計、自動車販売台数、米ISM製造業景況感、建設支出、MSCi日本株パッシブ売買インパクト
2日(水):マネタリーベース、米ADP雇用レポート、ベージュブック、天赦日
3日(木):米ISM非製造業景況感、貿易収支
4日(金):米雇用統計、下げの日、日経平均定期入れ替えの発表、変化日
7日(月):米レイバーデーで休場、中国貿易収支
8日(火):家計調査、GDP確報値、景気ウォッチャー調査、米消費者信用残高
9日(水):マネーストック、中国生産者・消費者物価
10日(木):機械受注、米生産者物価、ECB理事会、変化日
11日(金):メジャーSQ、国内企業物価指数、法人企業景気予測調査、米消費者物価、財政収支
14日(月):第三次産業活動指数
15日(火):米FOMC(→16日)、NY連銀製造業景気指数、輸出入物価、鉱工業生産、国連総会開会、株高の特異日
16日(水):日銀金融政策決定会合(→17日)、貿易統計、米小売売上高、企業在庫、NAHB住宅価格、対米証券投資、パウエル議長会見、変化日
17日(木):黒田日銀総裁会見、米住宅着工件数、フィラデルフィア連銀製造業景況感
18日(金):消費者物価、米経常収支、CB景気先行指数、ミシガン大学消費者信頼感、株高の特異日、鬼宿日・天恩日、FTSE日本指数パッシブ売買インパクト
21日(月):敬老の日で休場、米シカゴ連銀全米活動指数、FTSE日本指数半期リバランス実施
22日(火):秋分の日で休場、米中古住宅販売
23日(水):全産業活動指数、東京ゲームショウ(オンライン)、米FHFA住宅指数、動かない日
24日(木):米新築住宅販売件数、独IFO景況感、株安の日
25日(金):企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、変化日
28日(月);9月末権利付き最終日
29日(火):CB消費者信頼感、CS住宅価格指数、米大統領選候補者第1回テレビ討論、株高の日
30日(水):鉱工業生産、声ADO雇用レポート、GDP確定値、中国製造業PMI、株安の日
JPX400/JPX中小型定期入れ替え選定基準日
日経平均パッシブ売買インパクト
ウィンダムツリー日本株年次リバランス基準日
「大型のIPOがあるとその時市場は立ち止まる」というのが経験則。
今回は10月にキオクシアのIPOだという。
時価総額2兆円、売り出し価格では2.5兆円程度との予想。
結構思い。
もともとは東芝の半導体メモリー部門。
「2兆円なんて関係ない」と言いたいところだが・・・。
(兜町カタリスト 櫻井英明)