《マーケットストラテジーメモ》 6月第3週
14日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は方向感に欠いた展開ながらも小幅続伸。S&P500は連日で終値の最高値を更新。週間ではS&P500とNASDAQが上昇。NYダウは小幅下落となった。「FOMC控えで特に材料もなく控えめな日」との見方だ。SKEW指数は159.28。少なくとも2006年以降の最大値となった。SKEW指数はほぼ過去最大値、一方VIX指数は低下というアンバランス。恐怖と欲望指数は52→53。
日経平均株価は213円高の29161円と反発。「新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、国内の経済活動が正常化に向かうとの観測が支援材料」との見方。
G7サミットでも途上国への10億回分のワクチン提供に合意。2022年には世界的な感染を収束させる目標を掲げたことも好感。「東京五輪パラリンピックについて安全、安心な形での開催を支持する」との表明も前向きに捉えられた。
東証1部の売買代金は1兆9646億円。1月18日以来2兆円割れとなった。TOPIXは4日ぶりに反発。エムスリー、ファナックが上昇。清水建、バンナムが下落。
15日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数はマチマチの展開。NYダウは3日ぶりに反落。S&P500は3日続伸で過去最高値を連日更新。NASDAQも3日続伸で過去最高値を更新。S&P500は年初来13.1%上昇。NYダウは12.7%、NASDAQは9.2%上昇。
NY連銀月次調査で1年先インフレ期待の中央値は4.0%。前月の3.4%から上昇2013年の調査開始以来の高水準を付けた。3年先インフレ期待は3.6%と3.1%から上昇。1年後の米失業率が現在よりも高くなっているとの見通しの平均は31.9%。前月の34.6%から低下し調査以来の低水準。向こう1年以内に失業するとの見通しの平均は12.6%。過去最低となった。
日経平均株価は276円高の29441円と続伸。東証一部の売買代金は2兆3725億円。トヨタが1万円台乗せ。エーザイ、NECが上昇。鹿島、野村が下落。
16日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は反落。「過去最高値圏で推移してきており持ち高調整の売りがやや優勢」との解釈。FOMCを待つ雰囲気での軟調。セールスフォースやのアップルなどハイテクセクタが下落した。
一方、原油高を背景にエクソンが3.6%高。ボーイングは0.6%上昇。小売売上高(季節調整済み)は6202億ドル前月の改定値から1.3%減少。2月以来3カ月ぶりのマイナス。減少幅は市場予想(マイナス0.8%)より大きかった。一方5月のPPIは前年同月比で6.6%上昇。前月の6.2%を上回り、2010年11月以降で最大の伸びとなった。
日経平均株価は150円安の29291円と3日ぶりの反落。後場下落幅を拡大した。TOPIXは3日続伸。東証一部の売買代金は2兆4262億円。ダイキン、トヨタが上昇。東エレ、ソニーが下落。
17日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は続落。FOMCで2023年に利上げを実施するとの見通しが示されたことを警戒。FRBの最新の金利見通しで23年に少なくとも2回の25ベーシスポイント利上げを予想。当局者18人のうち過半数の11人が予想した。「23年中に2回の利上げを予測したドットチャートは予想よりタカ派的」という見方だ。FF金利先物が織り込む利上げ確率は23年1月時点で約90%。国債利回りは急上昇。10年債利回り一時、1.594%と6月4日以来の高水準を付けた。2年債利回りは一時0.213%と、約1年ぶりの水準に上昇。
日経平均株価は272円安の29018円と続落。下落幅が400円を超え29000円を割り込む場面もあった。FOMCを通過した米長期金利の上昇を受けて警戒感が高まった。6月メジャーSQ値20046円を下回り3勝2敗。東証1部の売買代金は2兆2782億円。東エレ、ファーストリテが上昇。エムスリー、SBGが下落。
18日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウは4日続落、S&P500は3日続落。景気回復への信頼感からハイテク株セクターが上昇しNASDAQは反発。アップル、エヌビディア、マイクロソフトなどが上昇。NASDAQ100指数は最高値を更新した。「投資家の多くは、FRBが前日示した予想外にタカ派的なメッセージを依然消化中」との見方。
日経平均株価は54円の28964円と3日続落。利益確定の売りに押されたとの解釈。トヨタの下落も響いた。東証一部の売買代金は3兆5356億円。エーザイ、エムスリーが上昇。商船三井、第一生命が下落。
(2) 欧米動向
コーンウェルサミットの結語。
「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の団結の象徴として、安全・安心な
形で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催することを改めて支持」。
出来過ぎの感。
(3)新興国動向
微妙なのが中国の原発。
広東省台山市の台山原発から放射性物質漏れが起き周辺地域の放射線量が高まっているという。協力するフランスの原子炉製造会社「フラマトム」が訴えているとの報道。
「問題解決のためにバイデン米政権に技術協力を求めている」という動きだ。
世界のインフラを牛耳っているのはフランスだが技術的はアメリカの構図。時折垣間見えるものだ。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【6月】7勝3敗、(勝率70%、2位)
気学では「乱調相場に始まる。上旬は戻り売り。夏至頃より買い良し」
21日(月)職場等でのコロナワクチン接種開始、上げの特異日
22日(火)全国百貨店売上高、米中古住宅販売件数、変化日
23日(水)東京五輪まで1カ月、4月日銀金融政策決定会合議事要旨、米経常収支、新築住宅販売件数
24日(木)企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、GDP確報値、独IFO景況感、EU首脳会議
25日(金)都議会選告示(7月4日投開票)、米個人所得・支出、株安の日L、鬼宿日
28日(月)米S&P住宅指数、FHF住宅価格指数、大幅高の特異日、変化日
29日(火)失業率・有効求人倍率、商業動態統計、米CB消費者信頼感、S&P住宅価格、上げの特異日
30日(水)鉱工業生産、消費動向調査、東証新市場区分への移行基準日、米ADP雇用レポート、中国製造業・非製造業PMI
SKEW指数が過去最高水準。
改めてSKEW指数とは何かを確認してみると・・・。
コール(買う権利)に対するプット(売る権利)の需要の強さを表現したもの。
オプション市場で将来の大きな価格変動に備える取引が増えると上昇。
市場で想定外の事象を意味するブラックスワン(黒い白鳥)が出現する可能性を示唆している。
つまり確率は非常に低いものの、発生した場合には大幅な下落が見込まれるリスクのこと。
投資家が「ブラックスワン(まさかの黒い白鳥)」が出現することを恐れると、ブラックスワン指数は上昇しやすい。
言い換えるとSKEW指数の上昇は「株価の大幅下落確率」が「株価の大幅上昇確率」より大きくなっていることを意味する。
SKEW指数が140ポイントを超えてきた直後にVIX指数の上昇が遅れてやってくる傾向があるという。
相場のクラッシュはいきなり起こらない。
SKEWはすでに上昇している。
その解釈。
徐々にプットオプションを買って保険をかける投資家が増加→その結果SKEWが上昇→
その後、相場が急落というサイクル。
ヒンデンブルグオーメン同様に「だまし」も多いが・・・。
(兜町カタリスト 櫻井英明)