《マーケットストラテジーメモ》 10月 第3週
11日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って4日ぶりに小幅反落。雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万4000人増で着地。9カ月ぶりの小幅な増加にとどまり、市場予想の50万人増を大きく下回った。失業率は4.8%と、8月の5.2%から改善。18カ月ぶりの低水準。週間はNYダウが1.2%、S&P500が0.8%、NASDAQが0.1%上昇。
日経平均株価は449円高の29498円と3日続伸。一時500円以上上昇し18500円台に乗せた場面もあった。SQ値28098円を終値で上回り1勝1敗。
中国の電力不足による供給制約への懸念が後退。円安・ドル高が進んだことで、自動車など輸出関連株が買われた。「金融所得課税の引き上げ観測の後退も買い安心感につながった」との解釈。
TOPIXも続伸。東証1部の売買代金は2兆7085億円。パナソニック、ソニーが上昇。安川電、東エレが下落。
12日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って続落。「決算シーズンの開始を控えて警戒感が高まった」との解釈。主要株価指数は朝方はプラス圏で推移したが午後になると下落に転じ、引けにかけて下げ幅を拡大した。債券市場はコロンブスデーで休場。「祝日で米債券市場が休場だったため薄商いとなった可能性がある」との指摘も聞かれる。
日経平均株価は267円安の28230円と4日ぶりに反落。原油高を受けたインフレ懸念によるNYY株安同様に売り物優勢の展開。もっとも1ドル113円台の円安トレンドを受け自動車セクターは堅調だった。東証一部の売買代金は25637億円と2日連続の2兆円割れ。トヨタ、三菱商事が上昇。ファーストリテ、SBGが下落。
13日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続落。「FOMC議事要旨発表とCPIを翌日に控えて警戒感が高まった」との解釈。13日に決算を発表するJPモルガン・チェースは0.8%安。S&P500銀行指数も0.6%下落。テスラは9月の中国製EVの販売台数が5万6006台と約2年前に上海で生産を開始して以来最高を記録。株価は1.7%上昇した。
米労働省がこの日発表した8月の雇用動態調査(JOLTS)で自発的な離職件数が過去最高を記録。求人件数は1000万件を超えており、賃上げによるインフレへの懸念が高まった。
日経平均株価は90円安の28140円と続落。世界景気の減速懸念からの売り物優勢との解釈。後場ほほ膠着といった格好。東証一部の売買代金は2兆4039億円と約1ヶ月ぶりの低水準。三越伊勢丹、日揮が上昇。商船三井、太陽誘電が下落。
14日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続落。NYダウは下げ渋り前日比ほぼ変わらず。NASDAQとS&P500は反発。FOMC議事要旨では「11月半ばにもテーパリングに着手できる」との方向。JPモルガン・チェースは好決算だったが2.6%安。デルタ航空が5.8%安。アップルは0.4%安。一方、アマゾン、アルファベット、マイクロソフトは上昇。9月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比5.4%上昇。伸びは前月の5.3%から加速した。前月比で0.4%上昇と前月の0.3%上昇から加速した。2年債利回りは一時0.394%と、2020年3月24日以来の水準に上昇。
日経平均株価は410円高の28550円と3日ぶりに反発。10日ぶりに75日移動平均を上回った。東証一部の売買代金は2兆5647億円。東エレ、富士通が上昇。郵船、東ソーが下落。
15日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って大幅上昇。NYYダウは1.56%高で7月20日以来の上昇率。NASADQは1.73%高で5月20日以来の上昇率。
S&P500は1.71%高で3月5日以来の上昇率。経済指標を受け利上げ見通しを巡る懸念が後退。好決算を発表したモルガン・スタンレーやユナイテッドヘルス・グループなどが上昇。マイクロソフトやアップルなどのハイテク株も上昇。卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月より0.5%上昇。
市場予想は0.6%。8月は0.7%上昇。
前年同月比では8.6%上昇。8月は8.3%上昇だった。比較可能な2010年11月以降の最大値を更新。
市場予想は8.7%増だった。週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比3万6000件減の29万3000件。2020年3月中旬以来、約1年7カ月ぶりの低水準。市場予想は31万6000件だった。
日経平均株価は517円高の29068円と続伸。9月30日以来の29000円台。200日線と半値戻し水準の29044円を上回った。売買代金は2兆8420億円。レーザーテック、郵船が上昇。ファーストリテ、東レが下落。
(2) 欧米動向
IMFは想定通りに世界経済成長見通しを5.9%に下方修正。
前回7月の見通しから0.1ポイント引き下げた。
背景は自動車関連の部材不足など供給網の目詰まり。
これによりインフレ加速観測となった。
その先は原油高などでのインフレ懸念がある、
もっとも5.9%成長は1980年以降で最大の伸び。
世界経済2021年5.9%増(▲0.1ポイント)、2022年4.9%。
米国 2021年6.0%増(▲1.0ポイント)、2022年5.2%(△0.3)
ユーロ圏2021年5.0%増(△0,4ポイント)、2022年4.3%。
日本 2021年2.4%増(▲0.4ポイント)、2022年3.2%(△0.2ポイント)。
中国 2021年8.0%増(▲0.1ポイント)、2022年5.6%(▲0.1ポイント)。
(3)新興国動向
中国国家統計局が14日発表した9月の生産者物価指数(PPI)は前年比10.7%上昇。
原材料価格の高騰を背景に1996年10月の統計開始以来、最も高い伸びを記録し市場予想も上回った。
消費者物価指数(CPI)は前年比0.7%上昇。
伸び率は8月の0.8%から鈍化し、市場予想の0.9%も下回った。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【10月】7勝3敗、(勝率70%、2位)
気学では「往来相場。底値鍛錬につき高下を繰り返す。売り買い注意月」
15日(金)米小売り売上高、NY連銀製造業景気指数、輸出入物価、ミシガン大学消費者信頼感、株高の日、鬼宿日
18日(月)首都圏マンション販売、米鉱工業生産、NABG住宅価格、対米証券投資、中国各種経済指標
19日(火)衆議院選挙公示、CEATECJAPAN(→22日)、米住宅着工件数、衆議院選挙告示(仏滅)変化日、水星順行
20日(水)貿易統計、米ベージュブック、株高の日
21日(木)米中古住宅販売、フィラデルフィア連銀製造業景況感
22日(金)消費者物価、サービス業PMI、製造業PMI
25日(月)独IFO景況感、
26日(火)企業向けサービス価格指数、米CB消費者信頼感、新築住宅販売、S&P住宅価格指数、FHFA住宅価格指数、変化日
27日(水)日銀金融政策決定会合(→28日)、米耐久財受注、天赦日
28日(木)黒田日銀総裁会見、日銀展望レポート、商業動態統計、米GDP速報値、中古住宅販売、ECB定例理事会、TOPIXパッシブ売買インパクト、大幅高の特異日
29日(金)失業率、鉱工業生産、消費動向調査、米個人所得、日経平均パッシブ売買インパクト
30日(土)G20サミット(ローマ→31日)
31日(日)衆議院選挙投開票(仏滅)、中国製造業・非製造業PMI、COP26(→12日)
証券3社の来年度上場企業の経常利益予想では来年度の増益率が鈍化。
各社の経常利益予想は5?11%。
21年度の30%前後からは鈍化する。
背景は自動車や機械など製造業の伸びの落ち着き。
鉄鋼や商社などは減益となる。
2期連続の過去最高益予想ではあるが・・・。
(兜町カタリスト 櫻井英明)