《マーケットストラテジーメモ》7月第4週
26日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って4日続伸。主要3株価指数は終値ベースの過去最高値を更新した。背景は「好決算と経済回復の兆し」との解釈。NYダウは史上初の3万5000ドル台乗せとなった。3万ドルに乗せたのは昨年11月。半年で5000ドルの上昇となった。「ジェットコースターを逆にしたような動きだ」と言う声も聞こえる。S&P500採用銘柄のうち120社が第2四半期決算を発表済み。88%がコンセンサスを上回った。S&P500採用銘柄の4─6月期の増益率予想は前年同期比78.1%。
期初の54%を大幅に上回っている。
日経平均株価は285円高の27838円と続伸。連休中の米株高を受けて買い物優勢の展開となった。ただアジア株の軟調もあり上値は重かった。一時500円近く上昇し28000円台に乗せた場面もあったがキープできなかった。東証一部の売買代金は2兆2492億円。日立造船、東レが上昇。SBG、スズキが下落。
27日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って5日続伸。主要3株価指数は連日の終値ベースの過去最高値更新。「大手ハイテク企業の決算への楽観的な見方から買いが入った」との解釈。引け後に第2四半期決算を発表したテスラは時間外取引で約1%上昇。通常取引終値は2.2%高。
一方、中国が個別学習指導やオンライン教育機関に対する新たな規則を発表。これを受け米市場に上場する中国企業の株価が下落。アリババ・グループは7.2%安、百度(バイドゥ)は6%安。
日経平均株価は136円高の27970円と3日続伸で3日連続3ケタ高。上昇幅は一時200円を超え28000円台に乗せた場面もあったが上値は相変わらず重かった。東証一部の売買代金は1兆9971億円と低調。トヨタ、レーザーテックが上昇。楽天、日立が下落。
28日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って6日ぶりの反落。「大手ハイテク企業の決算発表やFOMCを控え警戒感が拡大」との解釈。下落をけん引したのはNASDAQ。1.21%安と5月12日以来の大幅な下落率となった。
ただ、主要3指数は取引終盤にかけて下落幅を縮小。安値からは大きく戻した。アップル、マイクロソフト、アルファベットは引け後の決算発表を控えて下落。アマゾンも売られた。インテルは2.1%安。テスラは2%安。一方でマクドナルドは1%高。
日経平均株価は388円安の27581円と反落。NYや上海株安を受けて売り物優勢の展開。下落幅は一時500円を超えた場面もあった。東証一部の売買代金は2兆2055億円。三菱自、鉄が上昇。ファーストリテ、SBGが下落。
29日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの展開。NYダウは反落。S&P500が横這い。NASDAQは反発。アルファベットが3.2%上昇し過去最高値を付けたことなどが上昇の背景。一方アップルは1.25%安。利益と売上高がともに市場予想を上回ったがマイクロソフトは0.1%安。バイデン大統領は議会超党派によるインフラ投資法案への合意が得られたという報道もある。FOMCはテーパリングの具体的な縮小時期などを示すには至らず。やはり8月のジャクソンホールまで持ち越された格好。
日経平均株価は200円高の27782円と反発。好業績銘柄中心に買い物優勢の展開。東証一部の売買代金は2兆5790兆円。TOPIXの浮動株比率の変更に伴う商いで増加した。SBG、ソニーが上昇。三越伊勢丹、京成が下落。
30日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。NYダウとNASDAQはザラバの最高値を更新した。「堅調な企業決算。実質GDPが規模として新型コロナウイルス禍前の水準を上回ったことを好感」との解釈。21年の利益予想を引き上げたフォードは3.8%高。外食大手のヤム・ブランズも四半期の売上高が予想を上回り6.3%上昇。テスラは4%高。アップルは反発。一方、フェイスブックは4%安。NASDAQに新規上場したロビンフッド・マーケッツは8.4%安。第3四半期の売上高見通しが市場予想を下回ったアマゾンが引け後の時間外取引で5%超下落。
日経平均株価は498円安の27283円と反落。1月6日以来の安値水準となった。週末、月末での持高調整の売りに押されたとの解釈。週足は陰線。月足は5ヶ月連続の陰線。東証一部の売買代金は2兆8469億円。商船三井、デンソーが上昇。ファナック、アンリツが下落。
(2) 欧米動向
第2四半期の米実質GDP速報値は年率換算で前期比6.5%増加。
19年第4四半期を上回った。
個人消費や企業の設備投資が堅調で成長を後押し。
一方でサプライチェーンの制約に伴う在庫の大幅な切り崩しが重し。
市場予想の8.5%増に届かなかった。
個人消費が11.8%増と前四半期の11.4%増に続いて2四半期連続で2桁の伸び。
企業の設備投資も8.0%増加。
一方、住宅投資は9.8%減少。
前四半期の13.3%増からマイナスに転じた。
コア個人消費支出(PCE)価格指数の伸びは6.1%。
前四半期の2.7%から急拡大し目標の2%を大幅に上回った。
今年の成長率は7%程度と1984年以来の高成長を記録する見通しだ。
(3)新興国動向
IMFの世界全体の成長率予測は4月時点と変わらず6.0%。
ユーロ圏と中南米、中東および中央アジアの予測も引き上げた。
変異株が広がる新興・途上国は0.4ポイント悪化の6.3%とした。
「世界経済回復の断層線 亀裂の広がり」というのが今回の表題だ。
「ワクチンへのアクセスが主要な断層線となり、世界は景気回復について2つのグループに分断された。
今年中にさらなる活動正常化が望めるグループと、依然として感染再拡大および死者増加に直面するグループだ。
先進国・地域の大半が前者に入る。
しかし現時点で感染者数が非常に少なくなっている国々でも、他の国・地域でウイルスが猛威を振るっている限り、回復は確実ではない」。
【展望】
スケジュールをみてみると・・・。
【8月】4勝6敗、(勝率40%、10位)
気学では「前半は活況。中旬以降は戻り売り。月末保合いに終わる」
2日(月)消費動向調査、米ISM製造業景況感、米政府中国企業59社への投資を禁止
中国製造業PMI、変化日
3日(月):マネタリーベース、米製造業受注。株安の日
4日(水):米ADP雇用レポート、ISM製造業景況感、株安の日
5日(木):米貿易収支、株安の日
6日(金):景気動向指数、毎月勤労統計、家計調査、米雇用統計、消費者信用残高、JPX400/JPX中小型定期銘柄入れ替えの発表
7日(土):中国貿易収支
9日(月):山の日で休場 中国消費者物価、イスラム・ヒジュラ歴の新年
10日(火):景気ウォッチャー調査、独ZEW景況感
11日(水):マネーストック、米消費者物価、財政収支
12日(木):国内企業物価指数、都心オフィス空室率、米生産者物価、株安の日、変化日
MSCI日本指数9月半期リバランス発表
13日(金):オプションSQ、米輸出入物価、ミシガン大学消費者信頼感
16日(月):4?6月GDP、米NY連銀製造業景況感、対米証券投資、中国各種経済指標
17日(火):第三次産業活動指数、米小売売上高、中国工業生産、都市固定資産投資、
18日(水):貿易統計、機械受注、米住宅着工件数、変化日
19日(木):首都圏マンション販売、米フィラデルフィア連銀製造業景況感、
20日(金):消費者物価、鬼宿日、FTSE日本指数9月半期リバランス発表
23日(月):米中古住宅販売
24日(火):パラリンピック開幕、米新築住宅販売、変化日
25日(水):米耐久財受注、独IFO景況感
26日(木):企業向けサービス価格指数、米GDP改定値、カンザスシティ連銀金融シンポジウム(ジャクソンホール・対面)
27日(金):米個人所得・支出
30日(月):商業動態統計、米中古住宅仮契約、変化日
31日(火):失業率、有効求人倍率、鉱工業生産、米CB消費者信頼感、CS住宅価格指数
中国製造業・非製造業PMI、MSCI日本株パッシブ売買インパクト
JPX400/JPX中小型定期銘柄入れ替えの実施
結果が重要なのか、同時体験が重要なのか。
スポーツでも株式市場でもこの答えは難しい。
日本がメダルを取れば単純に嬉しい。
そのプロセスでは感動する。
これは間違いない。
株価も儲かれば単純にうれしい。
そのプロセスでも「おお」感動する場面がある。
どちらも求められているということなのだろう。
しかし・・・。
オリンピックの競技に夢中になっているうちに世界では静かに大きな変化が起こることも多い。
米国の実質金利は過去最低水準。
そして国防長官は「安定した米中関係模索」の方向。
2025年には半導体で世界一を目指す方向、
加えて北朝鮮と韓国は和解の方向。
何よりコロナの猛威は世界的に収まらない。
かつてGHQが採用したとされる「3S」は今回も適用されるのだろうか。
IMFによる日本の経済見通しの下方修正などどこ吹く風ではない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)