《マーケットストラテジーメモ》8月第2週
4日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って大幅続落。非農業部門雇用者数の増加数が7万3000人と予想の11万人に届かなかった。労働市場の減速が示唆されたことで売り圧力が高まったとの解釈。トランプ米大統領が前日に多くの貿易相手国・地域に対する相互関税を課す大統領令に署名したことガトリガー。そんな見方もある。VIX(恐怖)指数は20.38と6月20日以来の高水準。日経平均株価は508円安の4万290円と続落。幅広い銘柄に売りものが先行。日経平均の下落幅は900円を超え4万円を下回る場面があったが売り一巡後は下げ渋りの展開。TOPIXは4日ぶりに反落。東証プライムの売買代金は4兆8035億円。高島屋、住友化が上昇。三菱UFJ、ホンダが下落。空売り比率は39.6%と40%割れ
5日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って1%以上の反発。主要株価3指数はいずれも5月27日以来の大幅な上昇率。前週末の下落の反動と9月の利下げ観測が高まったことが背景との解釈。大手テスラが2.2%上昇。恐怖と欲望指数は50→57。
日経平均株価は258円高の4万549円と3日ぶりに反発。早期利下げ観測の高まりを背景に前日の米株式相場が上昇。幅広い銘柄に買いが優勢となった。決算発表を受けた個別株物色の動きも追い風。TOPIXは反発。東証プライムの売買代金は4兆8776億円。バンナム、住友電が上昇。郵船、ヤマハ発が下落。日経平均採用銘柄のEPSは2456円と低下。
6日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。飲食チェーン大手ヤム・ブランズなど複数の企業が決算や業績見通しで関税の影響に言及したことを悪材料視。キャタピラーは米国の関税が下半期に大きな課題をもたらし、2025年に最大15億ドルのコスト負担につながると警告。同社株は0.1%高。トランプ大統領は輸入医薬品に対し当初は「低い税率」を課し、その後段階的に250%に引き上げると述べた。また「来週あたりに」半導体への関税も発表するとの見通しを示した。
日経平均株価は245円高の4万794円と続伸。前日の米ハイテク株安を受けて、半導体関連株に売りが出て日経平均は下げる場面もあった。TOPIXは続伸 東証プライムの売買代金は5兆4274億円。コナミ、フジクラが上昇。リクルート、キッコマンが下落。プライム市場の騰落レシオは140.42。
7日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反発。ナスダック総合は1%超上昇。アップルが国内の生産拡大に向け1000億ドルを追加投資する計画を発表するという報道を好感。同社株は5.1%高。世界既存店売上高が3.8%増と、市場予想(2.4%増)を上回ったマクドナルドが3%上昇。S&P500採用銘柄のうち約400社が第2四半期決算を発表。約80%がアナリストの利益予想を上回った。過去4四半期平均の76%を上回る。企業利益の伸び率予想は12.1%。7月初めの5.8%から上向いている。
日経平均株価は264円高の4万1059円と3日続伸。朝方は短期的な過熱感や米半導体政策の影響を懸念した売りが先行。その後プラ転。TOPIXは3日続伸。終値は21ポイント高の2987ポイント。7月24日以来2週間ぶりに過去最高値を更新。東証プライムの売買代金は5兆6928億円。ソフトバンクグループ(SBG)が株式分割考慮後の上場来高値を更新。ソニー、フジクラが上昇。トヨタ、ディスコが下落。
8日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウとS&P500は反落。ナスダック総合は続伸し終値ベースで最高値を更新。イーライリリーが経口肥満治療薬の後期臨床試験の結果が見劣りしたことを受けて14.1%下落。トランプ米政権は各国・地域に対する相互関税の新たな税率を発動。「米国の平均関税率は過去1世紀で最も高い水準となる」との声がある。半導体大手インテルが1%下落。アップルは3.2%高。SOX指数は1.50%高と3日ぶりに反発。
日経平均株価は761円高の4万1820円48銭と4日続伸。上昇幅は一時970円を超え、7月24日に付けた年初来高値(4万1826円)を上回った。TOPIXは4日続伸。終値は3024ポイントと過去最高値を連日更新し、初めて3000ポイント台に乗せた。 東証プライムの売買代金は6兆7792億円。テルモ、ソニーGが上昇。東レ、中外薬が下落。
(2)欧米動向
米国の6月の貿易赤字は、前月比16.0%減の602億ドル。
対中貿易赤字は前月比30%強減少。
約21年ぶりの低水準となる95億ドル。
5カ月連続の減少。
同期間に計222億ドル(70%)減少した計算。
中国からの輸入額は189億ドルに減少。
09年以来の低水準となった。
米国の貿易赤字は中国だけでなくカナダに対しても縮小。
6月の対カナダ貿易赤字は13億ドルと約5年ぶりの水準に縮小。
ドイツに対する貿易赤字も縮小。
38億ドルと5年ぶりの低水準。
イェール大学予算研究所の推計では米全体の平均関税率は18.3%に上昇。
1934年以来の高水準。
今年1月以前は2─3%だった。
(3)新興国動向
7月の中国乗用車販売台数は前年同月比6.9%増の185万台。
6月の18.6%増から伸びが鈍化した。
背景はハイブリッド車の需要低迷。
BYDは7月の国内販売が前年同月比12%減と3カ月連続で減少。
国内NEV市場のシェアは前年同期の35.4%から27.8%に低下した。
中国乗用車協会によると、7月の乗用車輸出は25%増。
6月の同23.8%増から加速した。
(兜町カタリスト 櫻井英明)