《マーケットストラテジーメモ》4月1週
【推移】
30日(月):
週末のNY株式市場は反落。3日続伸していたNYダウは週末を前に900ドル超安。米国内の新型コロナ感染者数は8万5000人を突破。死者も1200人を超え感染者数は中国、イタリアを超え世界最多となった。下院が2兆2000億ドル規模の新型コロナ関連経済対策法案を賛成多数で可決。トランプ大統領は引け後に署名し法案は成立したが織り込み済みとの思考だろう。「来週の市場は荒れ模様」という声も聞こえる。ただS&P500は週間で10.2%上昇し2009年以来の上昇。
NYダウは前日までの3日間に21%急伸。3日での上昇としては1931年以来の水準。ただ原油先物相場は下落。
日経平均株価は304円46銭安の19084円97銭と反落ながら高値引け。TOPIXもマイナスながら高値引け。国内で新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数が急増するなか、想定以上に経済の停滞が長引くとの懸念が強まり売り優勢の展開。
ただ日銀のETF買い入れ期待から徐々に下落幅を縮小。シカゴダウ先物夜間取引がプラスの転じたことも好感。引けは配当の再投資観測もあった。東証1部の売買代金は3兆1480億円。大引けで5692億円増加。フィルム、任天堂が上昇。SBG、ファーストリテが下落。
31日(火):
週明けのNY株式は主要3指数が揃って3%超の反発。大規模な経済対策が前週末に成立。景気への過度な懸念が後退した。「月末要因から急落で低下した株の構成比を元に戻すリバランス(資産構成の再調整)の買いも入りやすかった」との見方もある。9月までにワクチンの臨床試験を開始すると発表したJ&Jが8%上昇しダウ平均を押し上げた。
マイクロソフトは在宅勤務が増えた影響でクラウドサービスの利用が急増し7%高。SOX指数は4%近く上昇した。主要株価指数は2月に付けた高値から20%超の下落。「投資家は新型コロナの経済的損失を見極めながら、経済が持ち直しに転じた際に値上がりが見込まれる銘柄の物色を進めている」という声も聞こえる。
日経平均は167円安の18917円と続落。新型コロナウイルスの感染拡大による国内の経済停滞が長期化するとの懸念が後場の相場を下押しした。年度ベースでは2017年3月以来となる19000円割れの年度末。東証1部の売買代金は3兆802億円。ファストリ、SBGが上昇。リクルート、ファナックが下落。
1日(水):
月末のNY株式市場は反落。3月は新型コロナウイルスの感染拡大抑制策で米経済活動がほぼ停止状態。NYダウとS&P500の第1四半期の下落率は20%超。
月間ではNYダウが13.74%安、NASDAQが10.12%安、S&P500が12.51%安。いずれも2008年後半以来の下げ幅となった。四半期ではNYダウが23.20%安、NASDAQが14.18%安、S&P500が20.0%安。NYダウはブラックマンデーの1987年第4四半期以来の大幅な下落となった。
「来週以降、企業決算の発表が活発化。現時点ではどちらの方向にもポジションを動かしたくないと考える向きが多い」という声が聞こえる。
日経平均価格は851円安の10865円と3日続落。後場NYダウ先物が下落幅を拡大したことから下落幅は一時1000円を超えた場面もあった。東証一部の売買代金は2兆7505億円。18日ぶりに3兆円割れ。任天堂、郵船が上昇。リクルート、川重か下落。
2日 (木):
米国株式市場は主要3指数が4%超の急落。米国の死者数が拡大するとの予測を受けディフェンシブ銘柄にも売りが拡大。NYダウの下落幅は一時1000ドルを超えた。ISM製造業景気指数は49.1と前月の50.1から低下。市場予想(45.0)ほどは落ち込まずに着地。ただ新型コロナ流行に伴う混乱により新規受注指数は11年ぶりの低水準となった。
ADP全米雇用報告で民間部門雇用者数は2万7000人減となり2年半ぶりのマイナス。「企業決算シーズンを約2週間後に控え、市場では新型コロナ関連のニュースに非常に敏感になっている。まだ全体的な経済や業績に対する影響が分かっていない」という声もある。
日経平均株価は246円安の17818円と4日続落。3月23日以来の安値水準。国内でも新型コロナの感染者数が増加。経済に悪影響を及ぼすとの見方から売り優勢の展開。
TOPIXも4日続落。東証1部の売買代金は2兆5703億円と3月5日以来約1カ月ぶりの低水準。SBG、テルモが上昇。ファーストリテ、リクルートが下落。
3日(金):
NY株式市場は上昇。NYダウは469ドル高と3日ぶりに反発した。背景は原油先物価格の上昇。サウジはOPECとロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」による緊急会合の開催を要請。トランプ大統領が原油の協調減産を巡りサウジとロシアを仲介したとコメント。両国が最大で日量1500万バレルの減産に踏み切る可能性があるとの見通しを示した。
これを受けてWTI先物は24.7%上昇。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は664万8000件と前週の330万7000件から倍増。2週連続で過去最多を更新。2週合計で1000万人を超えた。
日経平均株価は1円47銭高の17820円19銭と5日ぶりに小幅反発。後場マイナスに沈んだが終値はプラスとなった。TOPIXは続落。米雇用統計を巡る思惑が交錯し時間外取引での株価指数先物の動きに右往左往。東証1部の売買代金は2兆3669億円。デンカ、フィルムが上昇。ホンダ、Jフロントが下落。
(2) 欧米動向
ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は89.1と2016年10月以来の低水準。
2月の個人消費支出は前月比0.2%増と市場予想と一致。
3月のCB消費者信頼感指数は120.0と前月の132.6から低下。
2017年7月以来の低水準となった。
ただ予想の110.0ほどは悪化せずに着地。
雇用統計は非農業部門雇用者数が前月から70万1000人減。
前月の27万5000人増からマイナスに転じた。
失業率は4.4%。
前月の3.5%から悪化。
0.9%ポイントの上昇は1カ月の上昇としては1975年1月以来最大。
「新型コロナを受けた外出制限措置などが経済活動の停滞につながっている。
米経済のリセッション(景気後退)入りを示唆した」という見方だ。
(3)アジア・新興国動向
海外勢は日本株を3年連続売り越し。
19年度は9300億円の売り越し。
直近では7週連続で日本株を売り越し。
金額は2兆6000億円を超えた。
市場では新型コロナへの警戒が続く限りは日本株を売りに回る可能性が意識されている。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【4月】陽線確率6勝4敗、(陽線確率60%)、過去15年9勝6敗(6位)
気学では「諸株活況ながら月末は安くなる。下旬に売りに転ずるべし」
4日(土):清明節(→6日、中国休暇)
5日(日):天赦日+寅の日
6日(月):中国休場、ASEAN首脳会議(ベトナム)、株安の日
7日(火):家計調査、景気動向指数、米消費者信用残高、変化日、株高の日
8日(水):機械受注、景気ウォッチャー調査
9日(木):都心オフィス空室率、消費動向調査、工作機械受注、米生産者物価、ミシガン大学消費者信頼感、下げの日
10日(金):オプションSQ、企業物価指数、聖金曜日でNY株など休場
12日(日):イースター(復活祭)
13日(月):マネーストック、大阪万博まで5年、米財政収支、イースターマンデー
14日(火):米輸出入物価、中国貿易収支、変化日
15日(水):米小売り売上高、鉱工業生産、ベージュブック、対米証券投資、韓国総選挙、G20財務相・中央銀行総裁会議、TDLで新エリア開場(延期)
16日(木):首都圏新規マンション販売、米住宅着工、フィラデルフィア連銀製造業景況感
17日(金):米CB景気先行指数、IMF・世銀春季総会(ワシントン)、中国GDP、小売売上高、下げの特異日
19日(日):立後嗣の礼
20日(月):貿易統計、米シカゴ連銀全米活動指数、国連犯罪防止刑事司法会議(京都)、世界最大級の産業見本市「ハノーバー・メッセ」開幕、下げの日
21日(火):米中古住宅販売、独ZEW景況感
22日(水):米FHFA住宅価格指数
23日(木):米新築住宅販売、株高の日
24日(金):消費者物価、企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、独IFO景況感、ラマダン入り、変化日、株安の日
25日(土):チリ憲法改正国民投票
27日(月):日銀金融政策決定会合(→28日)、展望レポート
28日(火):失業率、黒田日銀総裁会見、FOMC(→29日)、CB消費者信頼感、大統領予備選(NY州など)
29日(水):昭和の日で休場、米GDP速報値、
30日(木);鉱工業生産、消費動向調査、米個人所得、ECB理事会、ユーロ圏GDP速報値、中国製造業PMI、変化日
3月の月間下落率は日経平均が10.52%。
18年12月の10.45%を上回り10年5月の11.65%以来の記録。
瞬間的には23日の16652円で前月末比4590円(21.8%)安という下落を記録。
その後2300円以上引き戻して月末を迎えた。
日経平均採用銘柄のEPSは1466円と低下。
遡ってみると今年の大発会は1639円。
昨年7月の最大値は1795円。
昨年大発会は1763円。
2018年大発会は1519円。
この水準は割れ込んだ。
2017年大発会は1180円だったが・・
(兜町カタリスト 櫻井英明)