《マーケットストラテジーメモ》 4月第1週
【推移】
29日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。景気回復への期待から金融、ハイテク、ヘルスケアなど幅広い銘柄が上昇。引け30分に買いが膨らみ主要株価3指数は軒並み1%超の上となった。NYダウとS&P500は終値ベースで最高値を更新。ラッセル1000バリュー株指数は1.6%高。年初からの上昇は10%超でラッセル1000グロース(成長)株指数よりも好調。
週間ではNYダウが1.4%高、S&Pが1.6%高。NASDAQは0.6%安。
日経平均株価は207円高の29384円と3日続伸。一時400円以上上昇し29578円まで上昇した場面もあった。前週末の米株式相場の大幅上昇を受けて買いもの優勢の展開。3月期末の配当の権利取り狙いの買いも相場を支えた。
ただ後場は急速に伸び悩み。背景は米投資会社のアルケゴス・キャピタルの取引に関連した金融機関の損失が相場を混乱させるとの警戒感。東証1部の売買代金は3兆7153億円。東エレ、ファーストリテが上昇。SBG、野村が下落。
30日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウは3日続伸し連日の過去最高値更新。主力小型機の受注が伝わった航空機のボーイングが上昇したことが背景。またバイデン大統領は4月19日までに米国民の大人の90%が新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けられるようになるとコメント。好感された。
エジプトのスエズ運河庁は大型コンテナ船の座礁で遮断されていた運河の通航が再開したと発表。「貿易の混乱が正常化に向かうとの見方も投資家心理の改善につながった」との解釈だ。アルケゴス・キャピタル・マネジメントが先週、保有株の下落で打撃を受けて大規模に投げ売りしたと伝わったことは悪材料。NASDAQとS&P500は3日ぶりに反落。
日経平均株価は48円高の29432円と4日続伸。権利配当落ち分を即日埋めた。TOPIXは反落。東証一部の売買代金は2兆7235億円。Jフロント、ファーストリテが上昇。日本郵政、KDDIが下落。
31日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は小幅に下落。一時上昇していた国債利回りが低下したことからハイテク関連セクターは下落幅を縮小した。グロースセクターからバリューセクターへの移行は継続。投資会社アーケゴス・キャピタルの問題で懸念されていた影響は市場全般に波及していないとの見方。
銀行セクターは反発。バイデン大統領は31日にピッツバーグでインフラ計画の資金調達について発表予定。道路や橋の再建、所得の平等といった国内問題のほか気候変動などが計画に盛り込まれる見通し。総額は最大4兆ドルの可能性がある。
日経平均株価は253円安の29178円と5日ぶりの反落。米金利上昇への警戒から売り物優勢の展開となった。一方110円台への円安トレンドから自動車セクターなどは堅調。東証一部の売買代金は2兆9084億円。ソニー、サイバーが上昇。日立、野村が下落。
1日(木):
水曜のNYダウは85ドル安、NASDAQは200ポイント超の反発とマチマチの動き。ハイテクセクター中心の展開だった。四半期ベースではNYダウは約8%高、S&Pは6%高、NASDAQは3%高。月間ではNYダウが約7%高、S&Pは4%高、NASDAQは0.4%高。バイデン大統領は2兆ドル規模の成長戦略を発表。
第二弾の戦略も予定されている。一方で財源としての増税も発表、法人税率は21%→28%。海外課税は10.5%→21%に引き上げる方向。ADP雇用レポートで雇用者数は51.7万人増加。
日経平均株価は210円高の29388円と反発。バイデン大統領が8年間で2兆ドルを充てるインフラ投資計画を発表。半導体生産への支援やAIの研究開発投資が盛り込まれたのを手がかりに、東京市場でも東エレクやアドテスト、スクリンなど半導体関連株が買われた。
日銀短観は大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス5と市場予想(ゼロ)を上回った。これらが追い風となった恰好。東証1部の売買代金は2兆7186億円。第一生命、SBGが上昇。JFE、日産自が下落。
2日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は大幅上昇。S&P500は初めて4000ポイント台に乗せ過去最高値を更新した。S&P500は年初来で約7%高。2020年3月に付けた安値を80%上回っている。マイクロソフト、アマゾン、エヌビディアが2%超昇。アルファベットは3.3%上昇し終値ベースの過去最高値を更新した。
ISM製造業景気指数は64.7と1983年12月以来37年超ぶりの高水準。
日経平均株価は465円高の29854円と3月18日以来約半月ぶりの高値水準を回復した。東証一部の売買代金は2兆2403億円と低水準。東エレ、スクリンが上昇。野村、伊藤忠が下落。
(2) 欧米動向
コンファレンス・ボードの消費者信頼感指数は109.7。
前月の90.4から上昇。
2020年3月以降で最も高くなった。
ISM製造業景気指数は64.7と1983年12月以来37年超ぶりの高水準。
市場予想は61.3。
前月は60.8だった。
「第1四半期の国内GDPは最大で10%の増加となる見込み。
昨年第4・四半期は4.3%増だった。
2021年の伸びは7%超と1984年以降で最大となる可能性がある」という声が聞こえる。
(3)新興国動向
中国国家統計局の1─2月の工業部門企業利益。
前年同期比179%増の1兆1140億元(約1703億1000万ドル)。
2019年の同時期との比較では72.1%増。
2年間の伸び率は平均で31.2%。
昨年12月は20.1%増だった。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【4月】7勝3敗、(勝率70%、2位)
気学では「保合月。戻り売り方針のとき。前途に期待」
5日(月)米ISM非製造業景況感、製造業受注、IMF/世銀会合(オンライン)、欧州中国休場
6日(火)家計調査、IMF世界経済見通し、株安の日L、変化日
7日(水)景気動向指数、米貿易収支、消費者信用残高、G20財務相・中央銀行総裁会議、株高の日L
8日(木)都心オフィス空室率、景気ウォッチャー調査、消費動向調査
9日(金)オプションSQ、米生産者物価、中国消費者生産者物価、日米首脳会談の予定(ワシントン)、変化日
世界の株の時価総額は1.2京円。
1年で6割増加したとの報道。
ドルベ─スだと106兆ドル。
そのうち米国が45兆ドル。
そして世界の名目GDPは91兆ドルだからバフェット指標は117%。
興味深いのは「マネーは債券から株式にシフト」の解釈。
「お金ジャブジャブ」とか「第5次超産業革命」はお題目。
結局、数年前から言われていた「グレートローテ─ション」が起こっているだけのこと。
この論点が今回はないのが不思議だ。
(兜町カタリスト 櫻井英明)