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英明コラム 3月第3週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 3月3週

【推移】

11日(月):
NY株式市場は5日続落。雇用統計は非農業部門の雇用者数が2万人増と市場予想の18万人増を大幅に下回った。中国の2月のドル建て輸出が前年比20.7%減と3年ぶりの大幅に落ち込み。世界経済に対する懸念に拍車を掛けたという見方。NASDAQは週間で11週ぶりに下落。DJ輸送指数は0.5%安で11日連続下落。1972年以降で最長記録を更新。10年債利回りは2.625%まで低下。「何かおかしくないか」という疑問が生じかねないのが東京市場の動き。NYが軟調と言ってもNYダウは5週連続高まであって、NASDAQは先々週まで10週続伸。これと日経平均を同時に論じている方が変な気がする。

先週の25国の株価指数で一番下げたのは日経平均。世界経済などとは別の次元で動いていると考えるべきだろう。
メジャーSQに向けての売り方の抵抗、あるいは3月決算の多い東京市場の特殊要因。これを皆と一緒になって「米中問題」とか「ブレグジット」で解釈しようとすると見間違えそうだ。
日経平均株価は99円高の21125円と5日ぶりの反発。先週に続き週末安、週初高の動き。日立、石川製が上昇。ファナック、カナモトが下落。

12日(火):
週明けのNY株式は6日ぶりに反発。FRBのパウエル議長がテレビ番組で「政策金利は景気をふかしも冷やしもしないほぼ中立水準にある。利上げを急ぐ必要はない」とコメント。世界景気の減速懸念で悪化した投資家心理が上向いたとの解釈だ。朝方発表の1月の米小売売上高が市場予想を上回ったのも好感。続落記録を更新していたDJ輸送株指数は12日ぶりに反発。ラッセル2000も持ち直した。「焦点は『押し目買い』の持続性」という格好だ。

日経平均株価は378円高の21503円と大幅続伸。日足は2日連続の陽線。一時は400円以上上昇した局面もありSQ値(21348円)を回復。25日線と100日線(21321円)を上抜けてきた。NY高や英国のEU離脱回避観測、米景気後退懸念の縮小などから買い物優勢の展開。後場は高値もみ合いとなった。ファーストリテ、ソフトバンク、コマツが上昇。スズキ、キリンが下落。

13日(水):
NY株式市場はマチマチの動き。2月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.2%上昇。市場予想と一致して着地。一方、前年同月比は1.5%上昇と、2016年9月以来、2年5カ月ぶりの小幅な伸びとなった。この冴えない数字からFRBのハト派姿勢が確認されたとしてS&P500とNASDAQは続伸。

エチオピア航空の「ボーイング737MAX8機」墜落事故を受けて運航停止が相次いだボーイング株が続落。この影響でNYダウは反落した。ボーイング株の2日間の下落率は09年6月以降で最大となっている。英下院はメイ首相とEUがまとめた離脱修正案を賛成242票、反対391票で否決。「英離脱を巡る動きはかなり失望を誘っており、相場に多少影響した」という見方だ。

日経平均株価は213円安の21290円と反落。前日までの大幅続伸による利益確定売りに加え、中国・上海株式相場が下落したことで投資家心理が悪化。先物に断続的な売りが出た。1月の機械受注が市場予想を大きく下回ったことも嫌気された。住友不、日亜鋼が上昇。トヨタ、古河電が下落。

14日(木):
NY株式市場は上昇。前日まで続落でしていたボーイングは一時3%超の下落となったが引けは0.5%高と反発。トランプ大統領が737MAX8型機、737MAX9型機の運航を一時停止するよう指示したが株価は上昇した。「ボーイングにとって最悪の局面は過ぎ去ったようだ」という声が聞こえる。

またトランプ大統領は「中国との通商合意を急いでいない」とコメントしている。英下院が「合意なきEU離脱」を完全に排除する提案を賛成多数で議決。合意なき離脱への不支持を確認したことは好材料視された。1月の耐久財受注統計で民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注は前月比0.8%増で着地。2018年7月以来、6カ月ぶりの大きな伸びとなった。
「出荷も増加し、企業の設備投資が年初に堅調だった」という解釈。

日経平均株価は3円安の21287円と小幅続落。下落幅としては今年最小。これで今年の木曜は2勝8敗。「3月の決算期末を意識した国内金融機関の利益確定売りに押された」という声もある。「日経平均の指数入れ替えにともなう売り」という見方もあるがその割には新規採用のオムロンも軟調。朝方は200円あまり上昇したが買いの勢いは続かなかった。中国の工業生産高の伸びが市場予想を下回るなど、中国の景気減速が意識されたのも投資心理の重荷。リクルートが上昇。信越化、アドバンテストが下落。

15日(金):
NY株式市場はマチマチの動き。ただS&P500とNASDAQは4日ぶりに反落。NYダウも続伸とはいえわずか7ドル高。背景は米中通商合意を巡る不透明感。トランプ大統領は「中国との通商協議は順調に進捗している。ただ最終的な合意が得られるかについては明言したくない」とコメント。ムニューシン米財務長官は「通商問題を巡る米中首脳会談は当初想定されていた3月末には開催されない」とコメント。中国関連銘柄や半導体セクターが軟調となった。EU離脱は6月30日まで延期。20日までの3度目の離脱協定案採決での可決が条件だ。否決になれば「長い戦い」になる。

日経平均株価は163円高の21450円と反発。SQ値21348円は上回った。3日ぶりの日足陽線。週足も陽線。日銀金融政策決定会合通過は影響薄。「節目の2万1500円を超えると戻り待ちの売り圧力が強くなる」という声が聞こえる。円安トレンドとアジア株の堅調を好感した。ルネサス、任天堂が上昇。オムロン、ファーストリテが下落。

(2) 欧米動向

米雇用統計は2017年9月以来約1年半ぶりの小幅な伸びにとどまり建設や小売りなどの業種でマイナスとなった。
「過去の伸びの反動が出た可能性がある」との見方だ。
ただ失業率は再び3%台に改善。
賃金は前年比で2009年以来約10年ぶりの大幅な伸びを記録するなど、明るい材料も見られた。
現在は職を探していないが働く用意のある人や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は7.3%。
1月に付けた11カ月ぶり高水準の8.1%から改善。 
「2016年5月は1万5000人増、17年9月も1万8000人増と低い伸びとなったあと20万人増の水準に戻した。
単月の結果に過ぎず、統計が示すほど米経済が弱まっているとは考えにくい」という声もある。

(3)アジア・新興国動向
中国李克強首相の全人代閉幕後の記者会見。
米中関係について「2大経済体を人為的に切り離されそうとしても現実的ではないし、不可能だ」。
米中関係を「あなたの中に私があり、私の中にあなたがいる」と表現した。
米中貿易協議には「いまも双方は交渉を続けている。互いに利益があり、ウィンウィンの成果が出ることを期待している」。
中国経済については「新たな下押し圧力に直面している」。


スケジュールを見てみると・・・

18日(月):貿易統計、首都圏新規マンション発売、米NAHB住宅価格指数
19日(火):米FOMC(?20日)、製造業受注、独ZEW景況感
20日(水):コンビニ売上高。訪日外客数、米パウエルFRB議長会見(経済見通し)
21日(木):春分の日で休場、米CB景気先行指数、EU首脳会議
22日(金):消費者物価指数、米中古住宅販売、財政収支

【3月】(8勝6敗で6位、陽線確率57.1%)

18日(月)貿易統計
19日(火)米FOMC(?20日)
20日(水)米大リーグ開幕戦(21日まで都内)、上げの特異日
21日(木)EU首脳会議、春分の日で休場、満月、大幅高の日
22日(金)全国CPI、変化日
26日(火)上げの日
27日(水)3月権利配当落ち日
28日(木)変化日
29日(金)英国がEUを離脱、プロ野球開幕
31日(日)ウクライナ大統領選、欧州夏時間に移行

今年の週末安、週初高のトレンド。
因みに・・・。
大発会の1月4日(金)は452円安で、翌1月7日(月)は477円高。
2月8日(金)は418円安。翌3連休明けの2月12日(火)は531円高。
2月15日(金)が239円安、翌2月18日(月)は381円高。
2月22日(金)が38円安 2月25日(月)102円高。
3月1日(金)217円高、3月3日(月)219円高。
3月8日(金)は430円安。3月11日(月)は99円高。

日経平均の3月期末配当落ち分は172円。
TOPIXで17ポイント。
これは2000年度以降の3月としては最高水準だ。
市場では3月メジャーSQ値と6月限の先物指数を比較する人もいる。
これって少し変なような気もする。
しかし27日には現物も権利落するのだからまあいいかという感じだ。
細かいことが結構気になるもの。

市場に資金が流入すれば株価は当然上がる。
ということは、資金が入るか資金が出ていくかを予測するのが「イロハのイ」ということ。
ところが、どういう訳かここを通り過ぎて、何が上がるか何が下がるかと躍起になるのが市場。
資金が入れば、ほぼ上昇トレンド。
資金が出ていけばほぼ下落トレンド。
この基本に立ち返ってみることが大切だろう。
脚色としての米中摩擦やブレグジットに振り回されてはいけない。
床屋政談をする時間の無駄に見えてくる。
市場にマネーがやってくるのかどうか。
市場からマネーが逃げていくのかどうか。
微分して個別だけを考えると見間違える可能性が高い。
かといって、市場からマネーが逃避しても、上がる銘柄は必ずあるところがややこしいところ。



(兜町カタリスト 櫻井英明)

 

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