《マーケットストラテジーメモ》3月第4週
【推移】
15日(月):
週末のNY株式市場でNYダウは6日続伸。5日連続で過去最高値を更新。S&P500も小幅続伸。1.9兆ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法の成立を好感したとの解釈。一方でNASDAQは反落。米10年債利回りが1.6%台で昨年2月以来の水準に上昇。インフレ懸念が再燃し、ハイテクセクターが売られた。バリュー株は約0.8%高、グロース株は0.62%安。
日経平均株価は49円高の29766円(△0.17%)と5日続伸。2月25日以来、約2週半ぶりの高値水準を回復した。「米国の追加経済対策の成立や新型コロナウイルスのワクチン接種の進展で、景気回復の期待が高まり景気敏感株に買いが入った」との解釈。
もっとも買い一巡後は上値が重かった。TOPIXも5日続伸。1991年5月14日以来の高値を付けた。東証1部の売買代金は2兆9345億円。楽天、ホンダが上昇。SBG、BG)、東エレが下落。新高値は214銘柄、新安値はゼロ。
16日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は引け際に上昇を加速した。NYダウは7日続伸。デルタ航空、サウスウエスト航空、ブルー・エアウェイズでレジャー目的の航空便の予約が増加。「航空業界が最悪期を脱した可能性」と解釈され株価は上昇した。S&P1500航空株指数は4%超上昇し1年ぶりの高値を付けた。
日経平均株価は154円高の29921円と6日続伸。一時3万円台に乗せた場面もあった。TOPIXは6日続伸。東証一部の売買代金は2兆9091億円。東エレ、川船が上昇。地銀セクター、塩野義が下落。
17日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はFOMCを横目で見ながら方向感に欠ける展開。原油価格の下落を背景にNYダウとS&P500は反落。一方NASDAQは続伸。2月13日高値から▲11%の下落となったが直近は▲4%まで戻してきた。アップルが1.3%上昇。ラッセルのグロース株指数は0.37%高、バリュー株指数は0.71%安。
日経平均株価は6円安の29914円と反落。日米の金融会合待ちで方向感はなかった。日経平均の日中値幅は約160円と昨年12月25日以来の狭さ。
一方TOPIXは4日連続高値引け。東証一部の売買代金は2兆5794億円。武田、バンナムが上昇。東電、楽天が下落。
18日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は上昇。NYダウとS&P500は過去最高値を更新した。FRBは最新の金利・経済見通しで、今年の経済成長率は6.5%に達すると予想。パウエル議長は「テーパリング(量的緩和の縮小)について協議を始める時期ではない」とコメント。2023年末まで利上げはないことが示された。FOMCを楽観的な見通しで通過したことで上昇幅を拡大した。
日経平均は302円高の30216円と反発。一時570円高まで上昇し2月高値の30467円を上抜けた場面もあった。パウエルRB議長が「明るく見通し」で上昇し黒田日銀総裁が邪魔をした格好。メジャーSQ値は29282円だったので5勝。TOPIXは8日続伸。5日ぶりに高値引けとはならなかった。東証マザーズ指数は3日続伸。日経ジャスダック平均は9日続伸。
東証1部の売買代金は3兆3545億円。新高値236銘柄(前日157銘柄)。新安値0銘柄(前日1銘柄)。三菱UFJ、トヨタが上昇。SBG、東急が下落。
19日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。NASDAQは3%超の下落。金利の上昇を嫌気した格好。「利上げ」の払拭はできなかったとの解釈だ。原油安も悪材料となった。
週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は77万件。前週の72万5000件から予想に反して悪化した。市場予想は70万件だった。フィッチは「FRBが今年下半期にテーパリング(量的緩和の縮小)を発表。来年初めに開始する」との見通しを示した。
理由は「最貧国の一部がテーパータントラム(緩和縮小を巡る市場の混乱)の影響を受ける可能性」。新興国の外貨建て債券の償還額は今年780億ドル。新興国政府債全体のGDP比は12年末の34%から20年には62%に拡大している。
日経平均株価は424円安の29792円と反落、日銀がETの買い入れをすべてTOPIX型にすると発表。下落幅は一時600円に接近した。一方TOPIXは9日続伸。東証一部の売買代金は4兆4456億円と1月28日以来の大きさ。日本郵政が上昇、エムスリー、ファーストリテが下落。
(2) 欧米動向
ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)は83.0と、2月確報値の76.8から上昇。
市場予想の78.5も上回り、昨年3月以来の高水準を付けた。
卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.5%上昇。
前年同月比では2.8%上昇し、2018年10月以来、2年4カ月ぶりの大幅な伸び。
ニューヨーク連銀製造業景況指数は2018年11月以来の高水準。
2月の小売売上高は前月比3%減。市場予想の0.5%を下回った。
「全米を襲った寒波が響いた」との解釈だ。
2月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比10.3%減の142万1000戸。
昨年8月以来半年ぶりの低水準。
市場予想は156万戸だった。
やはり「寒波の影響」との解釈だ。
フィラデルフィア地区連銀業況指数は51.8。
1973年以来の高水準を付けた。
前月の23.1から大きく上昇。
市場予想の23.0も大幅に上回った。
新規受注指数は50.9。
前月の23.4から上昇し、50年ぶりの高水準。
(3)新興国動向
ゴールドマン・サックスの予想。
FTSEラッセルが、10月から世界国債インデックス(WGBI)に中国国債を組み入れるとの予想に変更はない。
ただ、その比率は前回予想の6.5%から5.1%に下方修正した。
FTSEラッセルは中国国債組み入れを巡る見直し結果を、3月29日の取引終了後に発表する予定。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
22日(月)米中古住宅販売件数、株高の日L、変化日
23日(火)米経常収支、新築住宅販売件数
24日(水)企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、上げの特異日
25日(木)東京五輪聖火福島からスタート、米GDP確報値、EU首脳会議、株高の日
26日(金)米個人所得・支出、独IFO景況感、株高の日
28日(日)欧州ば夏時間入り
日経朝刊「市場点描」での指摘。
↓
インデックスファンドが3月末に今後受け取る配当分だけ株価先物に買いを入れる。
昨年は推計で約8000億円だった。
今年は増配などを受け増加する見通しだという。
日経平均型とTOPIX型で約8000億円。
MSCI型を含めると約1兆円。
例年のことながらけっこう大きな金額だ。
そして「大機小機」の指摘。
↓
株価の理論値は、金利にリスクプレミアムを上乗せした割引率を用いて
企業の将来収益を現在価値にしたもの。
金利があげれば理論株価は下がる。
しかしそれは単純すぎる。
金利が上がると金は他の条件も変わっているからだ。
良い金利上昇なら収益の好転がそれに勝る。
この認識は重要だろう。
(兜町カタリスト 櫻井英明)