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英明コラム 8月第2週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》8月2週
 
【推移】
 
5日(月):
週末のNY株式市場は続落。NYダウは98ドル安だが一時300ドル超下落した場面もあり日中安値からは200ドル超戻して終わった。印象としては「下げ渋り」。NYダウとS&P500は6月下旬以来の安値。週間ではS&PとNASDAQが昨年12月以来の大幅な下げを記録した。7月の雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びは16.4万人増。市場予想とほぼ一致しての着地。10年国債利回りは1.8%水準に低下(価格は上昇)。
 
日経平均株価は366円安の20720円と続落。終値としては6月4日以来、約2カ月ぶりの安値となった。終値で21000円を下回ったのは6月18日以来。円高・ドル安が進行。人民元の対ドル相場が11年ぶりの安値となったことでアジア株が全面安。下落幅は一時570円を超えた場面もあった。「中国政府は国有企業に対し、米国産農産物の輸入を停止するように要請した」と報じられたことも悪材料。
東証1部の売買代金は2兆5151億円。5日連続の2兆円越え。オリンパス。セブンアイが上昇。SBG、東エレが下落。
 
6日(火):
週明けのNY株式は大幅続落。主要株価指数の下落率は今年最大となった。NYダウは5日続落。前週末比767ドル(2.9%)安の25717ドルトと6月5日以来2カ月ぶりの安値で終えた。背景は「貿易摩擦が激化するとの懸念から運用リスクを回避する動き」との解釈。NYダウの下落幅は今年最大で2018年12月4日以来ほぼ8カ月ぶりの大きさとなった。アップルが5%強下落するなど中国への収益依存度が高い銘柄などに売りが膨らんだ。
 
中国商務省が「米国からの農産品の購入を一時停止する」と発表。米中の対立が深まり長期化は避けられないとの懸念が拡大した。もっともNYダウは一時960ドル超の下落だったが、引け際に200ドル余り下落幅を縮小。ここ数日の引け際の戻しは継続した。
 
日経平均株価は134円安の20585円と3日続落。一時600円超の下落場面もあった。日中値幅は497円と昨年12月27日の509円以来の大きさだった。取引時間中としては1月10日以来となる20110円を付けた場面もあった。東エレが上昇。トヨタ、SBGが下落。
 
7日(水):
火曜のNY株式市場で主要株価指数は1%を超える上昇と反発。中国人民銀行は対ドル基準値を1ドル=6.9683元と市場予想よりも元高水準に設定。「中国側が人民元の安定化に向けた動きを見せたことで米中貿易摩擦を巡る懸念が後退」との観測だ。
 
カドロー米国家経済会議(NEC)委員長が「トランプ大統領は中国との貿易交渉継続を望んでいる。政府としてさらなる協議に向け9月に中国の使節団を迎えることを依然検討している」とコメント。これも好感された。
NYダウはほぼ高値水準で引けS&P500とNASAQは7日ぶりに反発。
 
日経平均株価は68円安の20516円と4日続落。6月4日以来の安値水準となった。後場は下落幅を縮小した格好。花王、ダイキンが上昇。ファーストリテ、太陽誘電が下落。
 
8日(木):
NYダウは反落だったがS&P500とNASDAQは続伸した。「売られ過ぎた銘柄に資金が流入した」という安易な解釈が聞こえる。3市場の売買高は90.5億株と増加(20日平均は71億株)。「10年債利回りの動向が世界成長を巡るすべての懸念を反映している。利回りが幾分持ち直したことで株価も上向いた」という見方だ。
 
日経平均株価は76円高の20593円と5日ぶりの反発。朝方は買い先行後に下げ転換するなど方向感に乏しい場面もみられた。中国人民銀行が人民元の基準値を1ドル=7.0039元に設定。前日の市場終値(7.0596元)よりも元高・ドル安の水準としたことから過度な為替相場への警戒感が後退。一時165円高まで上昇した局面もあった。後場は手掛かり材料に乏しく上値が重い展開。マザーズ指数が3日続伸。
 
東証1部の売買代金は2兆878億円。「6日に日経平均株価は2万100円台を付けた後、下げ幅を縮小したことから、当面はPBR1倍程度が下値を支えそう」という声が聞こえる。住友ゴム、大林組が上昇。じげん、IHIが下落。
 
9日(金):
NY株式市場は上昇。S&P500は1日としては約4%上昇。約2カ月ぶりの大幅な上昇率となった。S&P500の主要セクターすべてが少なくとも1%上昇。最近特に売り込まれていた情報技術セクターは2.4%高。「安値拾いの買いが入った」という解釈だ。
 
新規失業保険申請件数は前週比8000件減の20万9000件。市場予想の21万5000件を下回った。「経済が減速する中でも労働市場が引き続き好調」との見方。良好な経済指標は金利低下の邪魔としていた従来の発想とは逆に好調な経済指標を評価した格好。
 
日経平均株価は91円高の20684円と続伸。朝方はNY株高を受け買い先行。4―6月期GDP速報値が市場予想を上回ったことも支えとなり一時188円高の20782円06銭まで上昇した。ただ買い一巡後は、上値の重い展開。SQ値は20855円99銭を一度も超えることなく「幻のSQ」。
東証1部の売買代金は2兆1466億円。「戻りの最中とみられるが、売られた分の買い戻しがどこまで続くかが課題」との声もある。テルモ。オリンパスが上昇。ファナック、フィルムが下落。
 
(2) 欧米動向
 
結局、株価史上最高値圏という格好の場面でのトランプ大統領の対中国強硬姿勢はいつものこと。
各指数が200日線を下回らずに反発したことはそれを物語っている。
「トランプ大統領は株価が目先天井ゾーンに来ると、トランプ砲を炸裂。
相場が下げようとするというか下落する。
今回も同じような状況でトランプ砲が炸裂した。
ただトランプ大統領は経済戦争に勝つために株高政策を続けること自体に変化はない。
過熱ゾーンに入ったときにトランプ砲をぶっぱなす可能性があるということだ」。
「株価が高水準にある時のトランプ大統領のちゃぶ台返し」というリズムにそろそろ市場も気が付くべきだろう。
 
(3)アジア・新興国動向
 
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち3指数が上昇。
 
上位1位ブラジル週間騰落率1.29%、2位インド1.25%、3位メキシコ1.11%。 
下位25位ポーランド▲4.01%、24位香港▲3.64%、23位イタリア▲3.43%
22位フィリピン▲3.39%、15位日本▲1.91%、10位米国▲0.75%。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
 
13日(火):国内企業物価指数、第三次産業活動指数、米消費者物価、独ZEW景況感、インド消費者物価
14日(水):機械受注、米輸出入物価、独GDP、中国小売売上高、工業生産等
15日(木) :米小売売上高、鉱工業生産、NY連銀製造業景況感、フィラデルフィア連銀製造業景況感、NAHB住宅価格指数、韓国・インド休場
16日(金):米住宅着工件数、ミシガン大学消費者信頼感
 
【8月】(6勝8敗で11位、陽線確率42.9%)
 
12日(月)山の日の振替休日で休場、木星順行
13日(火)企業物価指数、米消費者物価指数、独ZEW景況感、変化日
14日(水)機械受注、株高の日
15日(木)米小売売上高、フィラデルフィア連銀製造業景況感、鉱工業生産、満月
16日(金)米住宅着工件数、ミシガン大学消費者信頼感
19日(月)貿易統計、首都圏新規マンション販売、変化日
21日(水)訪日外客数、米中古住宅販売
22日(木)全産業活動指数、米製造業PMI、米カンザスシティ連銀シンポジウム(ジャクソンホール→24日)、CB景気先行指数、大幅高の日
23日(金)消費者物価、米新築住宅販売、鬼宿日
24日(土)G7首脳会議(仏ビアリッツ)
25日(日)柔道世界選手権(東京)
26日(月)米耐久財受注、テニス全米オープン、独IFO景況感、英休場(サマーバンクホリデー)
27日(火)企業向けサービス価格指数、米CB消費者信頼感、CS住宅価格指数
28日(水)アジア・アフリカ開発会議(横浜)
29日(木)米GDP確定値、変化日、上げの日
30日(金)鉱工業生産、失業率、2020年度予算概算要求締切、米消費者物価指数、個人所得、新月
31日(土)中国製造業PMI
 
遠大な時間軸。

米国の景気拡大は過去最高の122ヶ月=10年2ヶ月。
リーマンショックという100年に一度の恐慌を挟んでNYダウから米国景気を見てみると・・・。
1982年10月からNYダウは上昇を開始している。
上昇期間は37年。
 
(兜町カタリスト 櫻井英明)

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