《マーケットストラテジーメモ》 4月第2週
4日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って反発。3月の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月より43万1000人増加。市場予想は49万人増だった。失業率は3.6%と2020年2月以来、約2年ぶりの水準に改善。2月の雇用者数の増加幅は、当初発表の67.8万人→75万人へ上方修正された。2月の失業率は3.8%。時間当たり平均賃金は前年同月比5.6%上昇。FRBが5月のFOMCで0.5%の利上げを決定する確率は73.3%。ISM製造業景気指数は57.1と前月の58.6から低下。市場予想は59.0。債券市場では逆イールド(長短金利の逆転)が今年3回目の発生。
日経平均株価は70円高の27736円と4日ぶりに反発。日中値幅は175円と昨日12月27日以来の狭さで方向感に欠ける展開。東証プライム市場の売買代金は2兆1874億円。川船、アステラスが上昇。オリックス、三越伊勢丹が下落。
5日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。「成長性が高く、相対的に景気の影響を受けにくいハイテク株に値ごろ感からの買い」との解釈。S&Pグロース指数は1.7%高、バリュー指数は0.1%安。「期初に新規の投資資金が流入するとの期待も相場を支えた」との声もある。NYダウは一時200ドル下落して103ドル高。2月の製造業新規受注は前月比0.5%減。市場予想と一致した。
日経平均株価は51円51銭高の27787円99銭と小幅続伸。上昇幅は一時200円を超えたがその後縮小した。債券と円の上昇が嫌気された格好。東証プライムの売買代金は2兆6678億円。ファーストリテ、SBGが上昇。アステラス、商船三井が下落。
6日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。FRBのブレイナード理事が積極的な利上げを示唆する方向をコメント。ハイテクセクターが下落した。ダウ輸送株指数が2.8%、SOX指数が4.5%下落。ISM非製造業景気指数は58.3と4カ月ぶりに上昇。
市場予想は58.4。1年ぶりの低水準だった2月の56.5から回復した。「支出がモノからサービスへ移行している」との解釈。2月の貿易収支は赤字が前月比0.1%減の892億ドルと過去最高水準を維持。「貿易が引き続き第1四半期の経済成長の重し」との解釈。
日経平均株価は437円安の27350円と3日ぶりに反落。下落幅は一時500円を超えた場面があった。背景は米金利の上昇と円安トレンド。TOPIXは続落。プライム市場の売買代金は2兆7911億円。コスモHD、第一生命が上昇。東エレ、スクリンが下落。
7日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続落。FRBが公表した3月15─16日のFOMC議事要旨は「保有国債を月600億ドル、住宅ローン担保証券を月350億ドル削減することでおおむね合意。3カ月、あるいはやや長い期間をかけ、段階的に実施する見込み。0.5%の利上げを複数回行うのが適切という声もあった」。ブレイナード発言はこれを踏まえたガス抜きだったと考えられる。
FOMC議事要旨発表で下落幅を拡大。「FRBは株式市場を犠牲にしてもインフレ抑制する決意」という声もある。
日経平均株価は461円安の26888円と続落。3月18日以来の安値水準。FOMC議事録で明らかになったFRBのタカ派姿勢を嫌気し売り物優勢の展開。東証プライム市場の売買代金は2兆8625億円。アステラス、テルモが上昇。ホンダ、日立が下落。
8日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は小幅に反発。マイクロソフトやテスラが上昇し指数を押し上げた。ダウ輸送株指数は0.28%高。SOX指数は0.08%高。10年国債利回りは2.6%水準、2年国債利回りは2.4%水準。ドル円は124円台。
日経平均株価は97円高の26985円と反発。前日までの続落で約900円下落。加えてSQ絡みの買い物から朝方は反発。その後マイナス圏に沈んだが後場切り返した。東証プライム市場の売買代金は3兆1093億円。ニコン、重工が上昇。セブンアイ、楽天が下落。日足は4日連続の陰線。配当落ち前の28252円が遠い。4月SQ値27122円に対しては1敗。
(2) 欧米動向
東証の時価総額は今年2月時点で6.1兆ドル。米国のニューヨーク証取が26.1兆ドル。
NASDAQがナスダックの21.6兆ドル。中国の上海証取が7.8兆ドル。
欧州のユーロネクストが6.7兆ドル。世界で第5位。
曖昧模糊とした「経過措置」なんて言っているとさらに置いて行かれそうだ。
(3)新興国動向
中国は経済を支援する政策措置を時宜を得た方法で強化、新たな景気刺激策を検討する方向。新型コロナの感染拡大、ウクライナ危機の緊迫化、国内不動産部門の急激な悪化。中国の金融市場に悪材料。
市場では「中国人民銀行が借入コストを引き下げたり、成長を促進するために経済への資金投入を増やしたりす」と予想。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【4月】6勝4敗、(勝率60%、4位)
気学では「初旬に波乱あり。静観して見送りが良い」。
4月11日(月)さくらレポート、中国生産者・消費者物価、株安の日L
4月12日(火)企業物価指数、米消費者物価指数、財政収支、独ZEW景況感
4月13日(水)機械受注、マネーストック、米生産者物価、中国貿易収支
4月14日(木)米小売売上高、ミシガン大学消費者信頼感、輸出入物価、ECB理事会、ECB総裁会見
4月15日(金)米市場休場(グッドフライデー)、鉱工業生産、NY連銀製造業景気指数、米財務省為替報告書、変化日
4月18日(月)首都圏マンション販売、米NAHB住宅価格、中国GDP、IMF世銀春季会合(ワシントン)
4月19日(火)米住宅着工件数、IMF世界経済見通し
4月20日(水)貿易収支、米ベージュブック、中古住宅販売、G20財務相中央銀行総裁会見
4月21日(木)米フィラデルフィア連銀製造業景況感、変化日
4月22日(金)消費者物価、千葉市でXゲーム国際大会開催、
4月26日(火)米耐久財受注、新築住宅販売件数、消費者信頼感
4月27日(水)日銀金融政策決定会合(→28日)、変化日。TOPIXパッシブ売買インパクト
4月28日(木)日銀展望レポート、米第2四半期GDP速報値、東証REITCORE指数年次リバランス基準日
4月29日(金)米シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感、ユーロ圏GDP速報値、昭和の日で休場
4月30日(土)ラマダン明け 中国労働節(→5月2日)
ブレイナード総裁の発言を受けた債券利回り上昇。
付随した124円台までの円安。
日経平均は一時500円超の下落。
あるグロース市場上場企業トップの言葉。
「プライム市場も良いですが、目指したいのは数銘柄のヒーロー市場。
作ってくれませんかね」。
発行体の言葉だけに妙に説得力がある。
(兜町カタリスト 櫻井英明)