《マーケットストラテジーメモ》3月第2週
【推移】
1日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウは1.5%下落。一時3週間ぶりの安値に沈む場面もあった。NASDAQは反発。週間では昨年10月以来の大幅安となったものの、月間では約1%上昇。S&Pは月間で約2.6%高。NYダウも約4%高となった。アップル、アマゾン、マイクロソフト、アルファベットは上昇。しかし、米債利回り上昇が懸念され週間では数カ月ぶりの大幅な下落となった。1月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比2.4%増。2020年6月以来、7カ月ぶりの大幅な伸びとなった。
日経平均株価は697円高の29663円と反発。通信や電気機器セクターなどに幅広く買いが入った。自律反発狙いの買いや値ごろ感に着目した押し目買いが入りから上昇幅は一時700円を超えた場面もあった。残念ながら週末の下落分は埋められなかった。
TOPIX)も反発し1900ポイント台復活。東証1部の売買代金は2兆4773億円。SBG、ファストリが上昇。シャープ、楽天が下落。
2日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は大幅上昇。S&P500は昨年6月以来の大幅高となった。債券市場の落ち着きと新型コロナウイルスワクチンや追加経済対策への期待感が台頭。FDAはJ&Jの新型コロナワクチンの緊急使用を許可し同社は出荷を開始。下院は1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス対策法案を可決。アップルは5%超の上昇。マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンも上昇した。小型株中心のラッセル2000は3.37%高。年初来の上昇率は15%を超えた。
日経平均株価は255円安の29408円と反落。後場に下落幅を拡大した。利益確定売りに押されたとの解釈、東証一部の売買代金は2兆6132億円。テルモ、ネクソンが上昇、ファーストリテ、セブン&アイが下落。
3日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は反落。ハイテクセクター反落、素材セクター上昇の構図。アップルが2%、テスラが4%、アマゾンが1.6%下落。小型株中心のラッセル2000は1.9%安となった。空売り比率の高い住宅ローン会社ロケット・カンパニーズは71%急伸。掲示板レディットの人気フォーラム「ウォールストリートベッツ」で関心を集め3日続伸。10年債利回りは3日連続で低下し1.398%。
日経平均株価は150円高の29559円と3桁の反発。前場は一時前日比マイナスに沈んだ場面もあったか後場上昇幅を拡大した。東証一部の売買代金は2兆4664億円。鉄、重工が上昇。東エレ、アドバンテストが下落。
4日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続落。NYダウは引け際にマイナスに転じNASDAQは大幅続落。「ハイテク株を売って景気回復の恩恵を受けやすいセクターにシフトする動きが拡大」との解釈。マイクロソフト、アップル、アマゾンは2%超の下落。「金利の反転上昇が重荷」との見方だ。2月のADP全米雇用レポートは民間部門雇用者数の伸びが11万7000人。市場予想の17万7000人増に届かなかった。
日経平均株価は628円安の28930円と大幅に反落。2月5日(2万8779円)以来およそ1カ月ぶりの安値となった。下落幅は一時800円を超えた場面もあった。朝方から売り物優勢の展開。米株先物安やアジア株の軟調が向かい風となり後場下落幅を拡大した格好。終日25日線(29277円)を下回ったことも悪材料。
東証1部の売買代金は2兆7612億円。リコーがストップ高。郵船が上昇。ファーストリテが10万円割れ。SBGも5%超の下落。
5日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続落。午前中はプラス転換した場面もあったがパウエル議長の講演以降下落幅を拡大。NYダウは一時700ドル近く下落。NASDAQは2%以上の下落となり2月の最高値からは10%下落。今年の上昇分を消した格好。パウエル議長はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催の会合で講演。「期待したほどの警戒感は示されなかった」との解釈で10年債利回りは1,5%台に上昇。
これを受けて株は売られたという構図。しかし「悪材料はパウエル議長ではなく思惑が外れ長期利回りをさらに上昇に導いた投資家」という声もある。
日経平均株価は65円安の28864円と続落。一時前日比600円安場面もあったが大引けにかけて切り返した。「ここまではスピード調整。年金など国内機関投資家による押し目買いが入っているのではないか」という見方もある。
TOPIX、日経500はプラスで終えた。東証1部の売買代金は3兆1752億円。SBG、キーエンスが上昇。ファーストリテ、東エレが下落。
(2) 欧米動向
ISM製造業景気指数は60.8。
2018年2月以来、3年ぶりの高水準を付けた。
市場予想は58.8だった。
背景は新規受注の伸びが加速したとの解釈。
ISM非製造業総合指数(NMI)は55.3と前月から低下。
市場予想の58.7を下回った。
2月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比37万9000人増で着地。
市場予想の18万2000人増を上回る伸びとなった。
失業率は6.2%と1月の6.3%から低下。
(3)新興国動向
中国全人代が開幕。中期的な経済目標を定めた第14次5カ年計画(2021ー2025年)で期間中の目標設定を見送った。全人代は11日までの日程。5カ年計画と合わせて2035年までの長期目標も正式に採択。長期目標は1人当たり国内総生産(GDP)を中等先進国並みに引き上げる方針。
いずれにしても2025年には中国のGDPは米国の76%まで増加する見通し。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【3月】4勝6敗、(勝率40%)
気学では「上旬は押し目買い一貫。悪目買いを狙え。下旬は売りに転じよ」
8日(月)景気ウォッチャー調査、株高の日L
9日(火)GDP確報値、家計調査、マネーストック、株安の日L
10日(水)米消費者物価、財政収支、中国生産者・消費者物価、株安の日L
11日(木)国内企業物価指数、ECB定例理事会、株高の日
12日(金)法人企業統計、メジャーSQ、米生産者物価、ミシガン大学消費者信頼感、変化日
14日(日)米失業保険追加給付等の経済対策失効、米夏時間入り
先週日曜日経朝刊では「日本株年金売り重荷」の記事。
投資部門別売買動向では年初から2月第3週までの信託銀行は8598億円の売り越し。
最大の売り手となっている。
信託銀行は年金などの売買が中心だ。
GPIFの日本株の割合めどは25%。
錯塩12月末時点で25.85%。
足音は16%超との観測だ。
25%まの売り金額は1兆円という試算もある。
指摘は「市場での売買は長期的視点に基づいて行う」だ。
他の企業年金も「さらに上がれば日本株売却を検討」とのコメント。
ここに株式市場の本質の一つがある。
それは「上がれば売る」という単純な図式だ。
「下がれば買う」は心強いが間違いなく「上がれば売る」。
これは機関投資家も個人もほぼ一緒だろう。
だから課題は「高値のその上値を買う投資家がいるかどうか」。
売り人が必ずいることを勘案すればこれが重要となる。
だから今の市場で大切なのは「高値のその先を買う大義名分・理由付け」だ。
(兜町カタリスト 櫻井英明)