《マーケットストラテジーメモ》 2月1週
【推移】
27日(月):
週末のNY株式市場は主要3指数揃って反落。背景はまた「新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大懸念」。中国関連銘柄とされるダウ、キャタピラーなどが下落。NYダウの下落幅は一時は300ドルを超えた場面もあった。
第4四半期決算の利益と売上高が市場予想を上回ったインテルが8.1%上昇。通年の売上高見通しも市場予想を上回り「半導体業界が長い低迷期から脱しつつある」との見方が優勢となった。
週間ではNYダウとS&P500が昨年8月以来の大幅下落。NSADAQは7週間ぶりの下落。
日経平均株価は483円安の23343円と反落。一時下落幅を500円超まで拡大した場面もあった。下落幅は今年最大。シカゴのNYダウ安も響いた格好で下落幅は拡大した。後場は、日銀のETF買い期待を支えに一時下げ渋ったが戻りは限定的。「新型肺炎の感染拡大への警戒感は根強く冴えない展開」との見方だ。東証1部の売買代金は2兆1772億円。地所、シキボウが上昇。ネットワン、SBGが下落。5日線(23772円)は右肩下がりで25日線とデッドクロス。
28日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は大幅下落。NYダウは453ドル安の28535ドルと5日続落。下落幅は昨年10月2日以来の大きさ。一時549ドル下落した場面もあった。アップルの下落寄与度が約63ドル。
NASDAQは175ポイント安、S&P500は51ポイント安と大幅続落。中国の新型肺炎の感染拡大を嫌気。世界的株安トレンドが波及した。VIX(恐怖)指数は19.02まで上昇し昨年10月2日以来の高水準。恐怖と欲望指数は62→48に低下。
日経平均株価は127円安の23215円71銭と続落。NY株式の急落を受けて売り物先行の展開。ただ押し目買いの動きもあり下げ渋った。東証一部の売買代金は2兆1940億円。資生堂、アドバンテストが上昇。キーエンス、コマツが下落。
29日(水):
NY株式市場で主要3指数はそろって反発。訪中したWHOのテドロス事務局長が「中国には感染を管理・抑制できる力があると確信している」とコメント。
これを受けて市場は安定したとの解釈だ。「1月の米消費者信頼感指数が5カ月ぶりの高水準。ウイルス感染拡大による経済への影響懸念の緩和につながった」という見方もある。
アップルの第1四半期(10─12月)決算は収益が市場予想を上回って着地。「iPhone」の販売台数が1年ぶりに増加。付属機器の需要も堅調だった。
NY株式市場で「ヒンデンブルグオーメン」点灯。1カ月以内に株価が5%超の下落局面に向かうとされる。19年5月と7月にも点灯。いずれもトランプ米大統領が対中追加関税発動表明して株価下落した「実績」。
日経平均は163円高の23379円と3日ぶりの反発。大幅下落の反動との解釈。東証一部の売買代金は1兆9605億円。SBG、日東電工が上昇。エーザイ、ヤマトが下落。リズムは火曜安水曜高。
30日(木):
NY株式市場はNYダウとNASDAQが小幅高。S&P500が小幅反落とマチマチの動き。12月の中古住宅販売仮契約指数は前月比4.9%低下の103.2。
2010年5月以来、約9年半ぶりの大幅な落ち込みとなった。背景は「住宅ローン金利が低下しているものの在庫不足が響いた」こと。市場予想の0.5%上昇に反して低下した形だ。FOMCの金利据え置きや新型コロナウィルスの拡大などから国債利回りは低下。
日経平均株価は401円安の22977円と大幅反落。昨年11月1日以来およそ3カ月ぶりの安値。下落幅は一時486円安まであった。「底入れ感が期待されていた主要企業の決算への先行き懸念から幅広い銘柄に売りが広がった」という見方だ。
TOPIXも反落。東証1部の売買代金は2兆5135億円。大引けでTOPIXの浮動株比率の見直しに伴う売買があったことから商いは膨らんだ。ファナック、オムロンが上昇。SBG、ダイキンが下落。
31日(金):
NY株式市場は終盤にかけて買い優勢となり主要3指数そろって上昇。2019年の実質GDP速報値(季節調整済み)は前年比2.3%増。16年以来3年ぶりの弱い伸びとなった。2.9%増だった18年に続きトランプ政権の成長率目標である3%を2年連続で下回った。「貿易摩擦に伴う設備投資の低迷が経済の重荷」という解釈だ。
日経平均株価は227円高の23205円と反発。5か月ぶりの前月比マイナス(大納会終値23656円)。ただ2015年5月以来の5か月連続月足陽線(大発会終値23204円)。
日足は陽線、週足は陰線。一時400円以上上昇した場面もあったが週末で決算発表のピークを控えているとあって、積極的に上値を追う動きはなかった。東証1部の売買代金は2兆6149億円。東エレ、ファーストリテが上昇。任天堂、スクリンが下落。
(2) 欧米動向
FOMCは予想通りFF金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置きで通過。
パウエル議長が会見で「新型コロナウイルスの感染拡大の見通しは引き続き不透明」とコメント。
このパウエル議長発言を受けて水曜のNY株は失速した。
一方で木曜は反発。
WHOの緊急事態宣言。
「感染拡大が続く新型コロナウイルスによる肺炎は国際的な緊急事態に相当する。
過去数週間に前例のない感染の広がりに前例のない対応が取られている。
中国との取引や旅行の制限は提言しない」。
これを受けて「市場はある時点で感染拡大が頭打ちになり、状況が改善していくと考え始めている」という見方となった。
そして週末は大幅安。
猫の目の解釈だ。
例年1月末から米国で税還付が始まる。
30兆円規模の現金が個人に還付。
これは株式需給の改善要因になり春頃まで続く相場の好材料として注目される。
昨年は日本円で約30兆円規模の還付金が米国個人に給付された。
「今年も同様の還付金が期待できよう」と大和のレポート。
(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち全指数下落。
上位1位週オーストラリア間騰落率▲1.14%、2位スイス▲2.04%、3位インド▲2.14%、
4位南アフリカ▲2.23%、5位メキシコ▲2.29%、7位米国▲2.53%。
下位24位香港▲5.86%、23位韓国▲5.66%、22位フィリピン▲5.54%、
21位ベトナム▲5.53% 9位日本▲2.61%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
【2月】陽線確率7勝3敗、(陽線確率70%)、過去15年10勝5敗(1位)
気学では「戻りを待って売れ。突っ込みは利入れして戻りで上り直すこと」
1日(土):FRB議長議会証言
2日(日):米スーパーボウル
3日(月):3日新甫、米ISM製造業、米アイオワ州党員集会(予備選挙・党員集会の皮切り)、株安の日
4日(火):米マネタリーベース、米製造業受注、米大統領一般教書演説、変化日
5日(水):米ADP雇用レポート、貿易収支、ISM非製造業、天赦日+寅の日
6日(木):都心オフィス空室率、
7日(金):家計調査、景気動向指数、米雇用統計、消費者信用残高、中国貿易収支、鬼宿日・天恩日
8日(土):朝鮮人民軍創建日
9日(日):米アカデミー賞授賞式
10日(月):景気ウォッチャー調査、トランプ大統領予算教書公表、中国生産者・消費者物価
11日(火):建国記念の日で休場、米大統領選ニューハンプシャー州予備選
12日(水):マネーストック、米財政収支、変化日、株高の日
13日(木):NISAの日、国内企業物価指数、米消費者物価
14日(金):オプションSQ、第3次産業活動指数、米輸出入物価、小売売上高、鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感、ミュンヘン安全保障会議
16日(日):米政府のファーウェイ制裁の一部猶予期限
17日(月):GDP速報値、首都圏マンション販売
18日(火):米NAHB住宅価格指数、独ZEW景況感、株高の日
19日(水):機械受注、貿易統計、米生産者・消費者物価
20日(木):米CB景気先行指数、フィラデルフェア連銀製造業景況感変化日
21日(金):消費者物価、全産業活動指数、米中古住宅販売、イラン議会選挙、下げの日
22日(土):G20財務相・中央銀行総裁会議(サウジアラビア・リヤド)、こめ 民主党党員集会(ネバダ州)
23日(日):令和初の天皇誕生日
24日(月):振替休日で休場、米シカゴ連銀全米活動指数、独IFO景況感、世界最大のモバイル機器見本市「NWCバルセロナ」開幕、株安の日
25日(火):企業向けサービス価格指数、米S&P住宅価格指数、CB消費者信頼感、大幅高の日
26日(水):米新築住宅販売
27日(木):米GDP改定値、耐久財受注、中古住宅販売、米朝首脳会談から1年
28日(金):失業率、鉱工業生産、米個人所得変化日
29日(土):米大統領予備選(サウスカロナ州)中国製造業PMI、
27日からイスラム・ヒジュラ暦の6月入り。
イスラム暦の6月は「パフォーマンス悪い月」として知られる。
「節分天井」という今はほとんど機能していない古の格言との綱引きだろうか。
「できるだけ引き付けてスイング」という声も・・・。
(兜町カタリスト 櫻井英明)