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【市況】3日ぶり反発284ドル高、米中交渉に期待 |
7日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比284ドル97セント(0.69%)高の4万1113ドル97セントで終えた。米国と中国が週内に貿易問題を巡る閣僚級の協議に入ることが決まり、米中の緊張が一段と高まるとの懸念が薄れたことから主力株に買いが入った。米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過し、買い安心感が広がった。
トランプ米政権は、貿易問題を巡り米中の閣僚級協議を週末にスイスで開くと発表。対立が緩和に向かうとの見方から、ダウ平均は昼過ぎに一時400ドル超高まで上げた。取引終盤にかけては、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定や、政権が半導体輸出規制の撤回を検討しているとの報道を背景に、乱高下する展開となった。
7日にはトランプ大統領が交渉を進展させるために早急な関税の引き下げは考えていないと明らかにしたと伝わった。
米連邦準備理事会(FRB)は7日までFOMCを開き、政策金利を4.25~4.5%に据え置いた。声明では米政権による貿易政策を念頭に「経済の見通しを巡る不確実性がさらに高まっている」との懸念を示した。
FRBのパウエル議長はFOMC後に記者会見を開き、米政権の関税政策が経済にどのような影響を与えるか判断するのは「時期尚早だ」と述べた。その上で金融政策の変更を判断するにあたっては「様子見が良く、急ぐ必要はない」と語り、利下げに慎重な見方を改めて示した。
会見後、ダウ平均は上げ幅を拡大した。市場では、パウエル議長の会見について「ほぼ予想通りの内容で、市場の見方が変化したことは特にない」との指摘があった。前日にかけてはFOMCを前にした持ち高調整の売りが主力株に出ていたため、会見を無難に通過したことで買い安心感が広がった面がある。
バイデン前政権が導入した人工知能(AI)向け半導体の新たな輸出規制案を巡って、トランプ政権が撤廃を検討していると米ブルームバーグ通信が7日午後に報じた。規制強化を巡る懸念が払拭されたとして、エヌビディアなど半導体株に買いが集まった。
個別ではウォルト・ディズニーが10%あまり上昇した。2025年1~3月期決算が市場予想を上回り、同時に収益見通しを引き上げた。ナイキやアマゾン・ドット・コムも上昇した。半面、アップルとユナイテッドヘルス・グループは下げた。ベライゾン・コミュニケーションズも売られた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日比48.503ポイント(0.27%)高の1万7738.162(速報値)で終えた。アルファベットは急落。アップルが自社ブラウザーでAIを活用した検索に重点を置く意向だと伝わり、アルファベット傘下のグーグルの逆風になると懸念された。
【シカゴ日本株先物概況】
7日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比210円高の3万6960円で終えた。この日は日経平均株価が下落したものの、米株式相場は堅調に推移しており、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
36960 ( +180 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37030 ( +250 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
7日の英FTSE100種総合株価指数は17営業日ぶりに反落し、前日比38.09ポイント(0.44%)安の8559.33で終えた。米関税政策が世界経済や企業活動の逆風になるとの警戒感が根強い。英製薬のGSKとアストラゼネカが下落し、指数の重荷となった。
今週に入り、トランプ米大統領が医薬品に対する関税措置を2週間以内に発表する考えを示した。ワクチンに懐疑的な立場をとるとされる米大教授が米食品医薬品局(FDA)のワクチンの検証などを担う部門を率いることになったと米欧メディアが相次ぎ報じたのも製薬株の重荷となった。不動産投資信託(REIT)や、英防衛大手BAEシステムズといった資本財関連の一角が下げた。他方、スイスのグレンコアといった資源関連の一部銘柄が上昇した。
FTSEの構成銘柄では、製薬大手GSKが4.90%安、有害生物管理会社レントキル・イニシャルが3.26%安、食品・小売り大手アソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズが2.40%安と下げを主導。一方、賭け屋大手エンテインは2.33%高、小売り大手JDスポーツ・ファッションは2.22%高、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは2.11%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
7日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比133.69ポイント(0.57%)安の2万3115.96で終えた。DAXが今週初めまで9日続伸するなど、このところ相場水準が切り上がっていたため、利益確定などの売りが出た。
欧州時間7日午後に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見の内容を確認したいと、様子見の雰囲気もあった。
個別では、医療機器のザルトリウスが3.46%安、通販大手ザランドが3.31%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーが2.66%安と下げた半面、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアは3.90%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは2.91%高、高級車メーカーのポルシェは2.61%高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3日続落し、前日比0.91%安で終えた。