【市況】ダウ419ドル高と続伸、米中関係改善期待で

23日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比419ドル59セント高の3万9606ドル57セントで終えた。米中貿易摩擦の緩和期待のほか、トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を否定したことを受け、主力株に買いが広がった。
 
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は関係筋の話として、トランプ米政権が対中追加関税の引き下げを検討していると報道。およそ50〜65%に引き下げられる可能性があるという。またベセント米財務長官は一部記者団に対し、「米中とも緊張を緩和する必要がある」と説明。まずは双方が高関税を引き下げ、その後で貿易交渉に入る「2段階方式」を提示した。
トランプ大統領は22日には記者団に、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を「解任するつもりはない」と言明していた。FRBの独立性や米中貿易戦争を巡る懸念が和らぐ中、幅広い銘柄に買いが入り、ダウは一時約1190ドル上昇し、4万ドルの節目を回復した。買い一巡後は伸び悩んだ。
 
トランプ大統領は対中追加関税についてゼロにはならないものの、現状の145%からは下がるだろうとの見解も22日夕に示した。
ベッセント米財務長官は23日、トランプ大統領は対中関税の引き下げを一方的な形で提案したことはなく、貿易の完全なリバランスには2〜3年かかるだろうとの見方を示したと米ブルームバーグ通信が伝えた。関税政策を巡る不透明感は根強く、相場の重荷となった。

ダウ平均の構成銘柄では、ボーイングが大幅高となった。23日に発表した2025年1〜3月期決算で売上高などが市場予想を上回った。アマゾン・ドット・コムやエヌビディアなどのハイテク株も買われた。半面、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などディフェンシブ株は売りが優勢だった。

ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比407.632ポイント高の1万6708.050(速報値)で終えた。テスラへの買いが目立った。22日夕に発表した25年1〜3月期決算は市場予想を下回ったものの、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が米政府効率化省(DOGE)に費やす時間を減らす見通しを示したことが好感された。



【シカゴ日本株先物概況】
23日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比510円高の3万5355円で終えた。この日は米中摩擦の緩和期待などから日米株式相場がともに上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
 






【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 
23日のFTSE100種総合株価指数は8日続伸し、前日比74.58ポイント(0.89%)高の8403.18で終えた。米中の貿易摩擦が激化するとの警戒感と、米連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る懸念がともに後退し、投資家心理を支えた。
 
FTSEの構成銘柄では、特殊化学品大手クローダ・インターナショナルが8.19%高、産銅大手アントファガスタが7.03%高、金融大手スタンダード・チャータードが6.36%高と急伸。一方、生活用品大手レキット・ベンキーザーは5.70%安、産金大手エンデバー・マイニングは5.65%安、同業フレスニロは5.20%安となった。



■ドイツ・フランクフルト株価指数
 
23日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比668.44ポイント(3.13%)高の2万1961.97と2日以来3週間ぶりの高値で終えた。米中の貿易摩擦が激しさを増すとの懸念が和らぎ、投資家心理が上向いた。決算など個別の支援材料を受けた買いも相場を押し上げた。
 
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版が23日、トランプ米政権が中国からの輸入品に対する高関税の引き下げを検討していると報じると、DAXは上げ幅を広げた。
 
個別では、22日に公表した2025年1〜3月期決算で収益が市場予想を上回った。好決算を受けて業務用ソフトウエア大手SAPが10.62%高と大きく買われ、ドイツ銀行が4.50%高、医療機器のザルトリウスが4.36%高で続いた。半面、防衛大手ラインメタルは2.98%安、エネルギー大手イーオンは2.42%安、電力大手RWEは1.61%安で終了した。




■フランス・パリ株価指数


フランスの株価指数CAC40は続伸し、前日比2.12%高の7482.36と約3週間ぶりの高値で終えた。