
前日の米国株市場でNYダウなど主要株価指数が大幅高に買われたことを受け、売買代金上位の主力銘柄に物色の矛先が向かった。米株市場ではベッセント米財務長官が中国との貿易摩擦の緩和を示唆する発言を行ったほか、トランプ米大統領がパウエルFRB議長の解任を否定したことで、FRBの独立性が保たれるとの見方がセンチメント改善につながっている。東京市場でも米株高を引き継ぎ、ハイテク株や自動車株などが買われ全体を牽引した。外国為替市場では朝方に円安方向に振れ、輸出セクター中心に追い風材料となった。しかし、その後は円が買い直され、つれて株式市場も後場に入ると戻り売り圧力が顕在化し上値が重くなった。個別株も中小型株には値を下げる銘柄が多くなり、値下がり銘柄数が値上がり銘柄を大幅に上回っている。
3万5000円台を終値で回復するのは、トランプ米政権が「相互関税」の詳細を発表する直前の2日以来およそ3週間ぶり。米中貿易摩擦が激化するとの懸念が後退し、前日の米株式相場が上昇。東京株式市場はこの流れを引き継ぎ、半導体関連など主力株に買いが先行した。円相場が1ドル=143円台まで下落したことも追い風となり、日経平均の上げ幅は一時400円を超えた。
トランプ大統領は23日、関税強化策を巡って、中国との交渉次第で累計145%の対中追加関税を下げ、中国に対する新たな関税率を今後2〜3週間で発表する可能性があると示唆した。24日に予定される日米の財務相会合を前に、ベッセント米財務長官が「特定の通貨目標を求める考えはない」と述べたと伝わった。日本政府に対し円安是正を迫るとの思惑がしぼみ、円相場の上昇に一服感が出たことも株買いを誘った。
ただ、積極的に上値を追う動きは限られた。心理的な節目の3万5000円近辺での動きが続き、上値では戻り待ちや利益確定目的の売りが出た。23日に開かれた国連安全保障理事会の非公式会合で、中国が米関税政策を巡って米国側を非難したと伝わった。米中貿易摩擦への過度な懸念は和らいでいるものの、関税交渉の先行きはなお不透明との見方が上値を抑えた。
国内では3月期企業の決算発表シーズンを迎えた。ファナックは米関税政策の影響を慎重に見極めるとの理由で、今期業績予想について23日に「未定」とした。大規模な自社株買いを発表したこともあり、ファナックは上昇して終えたが、市場では「会社側の業績予想は投資家にとって『道しるべ』のようなもの。業績予想を未定とする企業が相次げば、当面、積極的な買いを控える動きにつながりかねない」と警戒する声も聞かれた。