【市況】200ドル安と反落、CPI控え様子見

11日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前週末比200ドル52セント安の4万3975ドル09セントで終えた。金融政策を見極める上で重要な物価指標が発表されるのを前に、高値圏にあったハイテク株などに利益確定売りが出た。トランプ米大統領の関税政策を巡る不透明感も投資家心理の重荷だった。
 
12日に7月の米消費者物価指数(CPI)が発表されるのを控え、11日は様子見の投資家が多かった。ダウ・ジョーンズ通信が集計した市場予想によると、前年同月比の上昇率は6月を小幅ながら上回る見通しだ。市場では「関税の影響が足元から年末にかけて加速する」との指摘がある。
 
インフレ圧力の根強さが示されれば米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が薄れる可能性がある。ナスダック総合株価指数が前週末に最高値を更新した後で、一部の主力ハイテク株には持ち高調整や利益確定の売りが出やすかった。
 
米中が互いに課す関税の一部停止措置が12日に期限切れとなるのを控え、トランプ大統領はこの日、措置を90日間延長する大統領令に署名したと報じられた。ただ、市場の先行きに対する不安は払拭されず、報道後に主要株価指数は下落した。12日に発表される米インフレ指標への警戒感も重荷となった。

米政府に対し、中国向け半導体の売上高の15%を支払うことに同意したと伝えられた米半導体大手のエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)は、いずれも一時プラス圏に浮上したが、値下がりして取引を終了。それぞれ0.4%安、0.3%安だった。
 
ただ、トランプ氏は10日、自身のSNSで中国に対して大豆の輸入拡大を求めた。米中の貿易交渉の行方はなお不透明で、関税停止の延長を好材料視する動きは目立たなかった。
 
ダウ平均の構成銘柄ではセールスフォースやアップル、アマゾン・ドット・コムが下げた。中国向けに販売した人工知能(AI)向け半導体の収入の15%を米政府に支払うことで合意したと伝わったエヌビディアも売られた。半面、スリーエムやプロクター・アンド・ギャンブルは上昇した。
 
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落した。前週末比64.618ポイント(0.30%)安の2万1385.404で終えた。メタプラットフォームズやアルファベットが下げた。
 
 

【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前週末比15円高の4万2295円で終えた。この日は日本の株式市場が休場だった。米株式相場は下落したものの、外国為替市場での円安・ドル高を受けて輸出関連が買われたのもあり、シカゴ市場の日経平均先物には買いがやや優勢となった。
 
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
42295 ( +475 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
42325 ( +505 )
 
( )は大阪取引所終値比








【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 
11日の英FTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前週末比33.98ポイント(0.37%)高の9129.71で終えた。8月に入ってから株価水準を切り下げていた英アストラゼネカなど、時価総額が大きい製薬株に買いが入った。
 
英イングランド銀行(中央銀行)による利下げの道筋が見通しにくくなっている。12日以降に発表される英経済指標の内容を見極めたいとして、FTSE100種指数が上値を追う勢いは限られた。
 
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)といったたばこ株や食品スーパー、銀行に買いが優勢だった。ロシアとウクライナの停戦交渉の成り行きに関心が高まるなか、英BAEシステムズなど防衛関連の一部銘柄が売られた。不動産投資信託(REIT)が下げた。
 
FTSEの構成銘柄では、流通大手マークス&スペンサーが2.95%高、産金大手フレスニロが2.47%高、通信大手エアテル・アフリカが2.42%高と上昇をけん引。一方、特殊化学品大手クローダ・インターナショナルは3.54%安、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループが2.52%安と上値を抑えた。


■ドイツ・フランクフルト株価指数
 
11日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前週末比81.52ポイント(0.33%)安の2万4081.34で終えた。米ロ首脳会談を15日に控え、ロシアとウクライナの停戦交渉の成り行きを見極めたいとの雰囲気が広がった。米関税政策が欧州景気の逆風になるとの警戒も根強かった。
 
米金融政策を予想する材料となる7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を12日に控え、積極的な買いが手控えられた面もある。
 
個別では、防衛大手ラインメタル(4.63%安)やセメント大手ハイデルベルク・マテリアルズ(2.70%安)、通販大手ザランド(2.09%安)が売られた半面、コメルツ銀行(3.86%高)やエネルギー大手シーメンス・エナジー(3.67%高)が買われた。





■フランス・パリ株価指数

欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は4営業日ぶりに反落し、前週末比0.57%安で終えた。