
前日の米国株市場でNYダウ、ナスダック総合株価指数など主要株価指数が揃って上昇した。米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過した安心感などから米株式相場が上昇した流れを引き継ぎ、投資家心理が改善、日経平均は朝方に高く始まった。しかし、その後は目先高値警戒感からの戻り売りが観測されマイナス圏に転じる場面もあった。前日にトランプ米大統領がバイデン前政権時に策定されたAI半導体の輸出規制を撤回する方針にあると伝わり、東京株式市場では半導体製造装置関連株などへの買いを誘導している。
また、トランプ氏は貿易協定に関する記者会見を8日午前に開くことも明らかにしており、この内容が英国との合意であると一部で報じられたことから、これを買いの手掛かりとする動きもみられた。足もと外国為替市場で1ドル=144円台まで円安が進んだことで、これも輸出セクター中心に追い風材料となった形だ。
半導体関連株が日経平均を押し上げ、上げ幅は一時200円近くに達した。トランプ米大統領は7日、貿易協定に関する記者会見を米東部時間8日午前10時(日本時間同日午後11時)に開くと明らかにした。相互関税を巡る交渉の第1弾の合意とみられ、米一部メディアは英国との合意だと報じた。ニュースのヘッドライン(見出し)に反応した海外の投機筋などが、日経平均先物にも断続的な買いを入れたとの見方が多い。一方、節目の3万7000円が接近してきたとあって、利益確定や戻り待ちの売りも目立った。
市場関係者は「貿易協議の進展は投資家心理の一定の安心感にはつながったようだ」との見方を示した。そのうえで、山口氏は「日経平均はまだ不安定な印象を受けるが、日米や米中の関税交渉を巡る前向きな材料が出れば日経平均は3万8000円を目指してもおかしくはない」と話した。
外国為替市場で円相場が1ドル=144円台前半まで円安・ドル高が進行したことも相場全体の支えになった。
目先は良い水準まで戻してきたようで、外部環境が良好だったにもかかわらず少し伸び悩む1日となった。逆トランプ関税相場が一巡し、これからは具体的に関税がいくら緩和されるかがポイントとなってくる。関税がゼロになることはないが、特に日本や中国の関税がどう下がるかが上値を決める最大の要素と言っていいだろう。答えが出るにはまだ1カ月近くはかかるかもしれない。