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【市況】反落224ドル安、ナスダックは最高値更新 |
7日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比224ドル48セント安の4万3968ドル64セントで終えた。米経済を巡る先行き不透明感が根強く、景気敏感や消費関連株を中心に売りが優勢になった。ソフトウエア関連株が下げたことも、指数の重荷となった。
米労働省がこの日発表した新規の失業保険申請(季節調整済み)は、2日までの1週間で前週比7000件増の22万6000件となり、市場予想を上回った。さらに失業保険受給者総数は7月26日までの1週間で197万4000人と、3万8000人の増加。労働市場の悪化懸念は相場の重荷となった。
トランプ米政権は7日、貿易相手国・地域に対する新たな相互関税を発動したが、世界経済に及ぼす打撃が警戒されている。またトランプ大統領は6日には、米国に輸入される半導体に「約100%の関税を課す」と表明。ただ、米国内で製造しているか、または製造を約束している企業は対象外とする方針が好感され、エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなどは上昇した。
ニューヨーク連銀が7日午前に発表した7月の消費者調査では、1年先の予想インフレ率が前月の3.0%から3.1%に、5年先は2.6%から2.9%に上昇した。経済が減速するなか、インフレは上振れリスクが意識された。市場では「米株相場はバリュエーション(投資尺度)の高まりから、利益確定売りが広がりかねないと懸念された」との見方があった。
米政権による相互関税の新たな税率が7日に発動し、関税が世界景気を冷やすとの懸念は根強い。キャタピラーやJPモルガン・チェース、ハネウェル・インターナショナルなどが売られた。前日に決算発表を受けて下げたウォルト・ディズニーに売りが続いたほか、ビザやナイキといった消費関連株も下落した。
ダウ平均の構成銘柄でないが、6日夕に2025年4〜6月期決算を発表したサイバーセキュリティーのフォーティネットが急落した。ソフトウエア関連の売りにつながったとの見方があり、セールスフォースが3%あまり下げた。人工知能(AI)への積極的な投資による収益期待から買われていたマイクロソフトは利益確定売りに押された。
朝方は米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ観測のほか、アップルや半導体関連の株価上昇を支えにダウ平均は高く始まっていた。トランプ米大統領は6日、輸入する半導体に100%の関税を課す方針を表明した一方、同日に追加投資を発表したアップルのように米国で製造しているか、製造を約束した企業は対象外になるとも述べた。米国への投資を表明している企業は高関税を避けられるとの観測から、アップルのほか、エヌビディアなど半導体の一角に買いが優勢になった。
このほかの個別銘柄ではIBMやユナイテッドヘルス・グループが売られた。一方、ベライゾン・コミュニケーションズやコカ・コーラは上昇した。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比73.273ポイント(0.34%)高の2万1242.697(速報値)で終えた。7月28日以来となる最高値を更新した。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やマイクロン・テクノロジーなど半導体株の一角が買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
7日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比235円高の4万1090円で終えた。この日は日経平均株価が上昇したほか、ハイテク株の比率が高い米ナスダック総合株価指数も最高値を更新し、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
41090 ( +90 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
41125 ( +125 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
7日の英FTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反落し、前日比63.54ポイント(0.69%)安の9100.77で終えた。英イングランド銀行(中央銀行)が7日公表した金融政策委員会の結果を受け、英中銀が緩やかなペースながら利下げを進めるとの観測が後退すると、FTSE100種指数は下げ幅を広げた。
外国為替市場で英ポンドが対ドルや対ユーロで上昇し、輸出企業の株価の重荷となった面もある。英シェルなど石油株が売られた。英金利上昇を背景に不動産投資信託(REIT)が下げたほか、公益や、防衛関連の銘柄に売りが出た。
FTSEの構成銘柄では、7日に2025年1〜6月期決算を公表したインターコンチネンタル・ホテルズ・グループが5.78%高、飲料大手コカ・コーラ・ヘレニック・ボトリング・カンパニーが4.16%高、有害生物管理会社レントキル・イニシャルが2.99%高と上昇。
半面、製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズは7.11%安、防衛大手バブコック・インターナショナル・グループは5.82%安、同業BAEシステムズは5.36%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
7日のドイツ株価指数(DAX)は4日続伸し、前日比268.14ポイント(1.12%)高の2万4192.50で終えた。米国の利下げ観測や、ウクライナ停戦に向けた協議が進むとの思惑が投資家心理を支えた。
市場予想を上回る四半期決算を公表したドイツの保険大手アリアンツが買われるなど、金融が上昇した。
個別では、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが6.04%高、コメルツ銀行が4.94%高、化学大手BASFが4.73%高と相場をけん引。他方、7日公表した四半期決算が物足りない内容だと受け止められた防衛大手ラインメタルは7.99%安、通信大手ドイツテレコムは4.98%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーは2.39%安で終了した。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は続伸し、前日比0.97%高で終えた。