【市況】206ドル高と反発、FRBの利下げ観測で
8日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比206ドル97セント高の4万4175ドル61セントで終えた。
米連邦準備理事会(FRB)が次回9月の会合で利下げをするとの見方が広がり、買いが優勢だった。ウクライナの停戦を巡る協議が進展するとの期待も相場を支えた。
 
トランプ米大統領は7日、FRB理事の早期退任を表明したクグラー氏の後任に大統領経済諮問委員会(CEA)のミラン委員長を暫定的に指名する人事を発表した。ミラン氏は高関税政策による物価高再燃リスクに否定的な見解を持つ人物。FRBが9月の利下げ実施に一段と傾くとの見方から、投資家心理が改善し、ハイテクなど幅広い銘柄に買いが入った。
 生成AI(人工知能)の普及拡大見通しに加え、高関税政策下でも「好調な企業決算」(日系証券)がナスダックを押し上げた。
 
ロシアによるウクライナ侵略を巡り、米国とロシアが早ければ来週にも停戦に向けた協議をするとブルームバーグ通信が8日報じた。米ホワイトハウス高官が停戦案を巡る報道を否定したと伝わったものの、「停戦に合意すれば、米国がロシアへの制裁を解除する可能性がある。混乱していた世界のサプライチェーンの正常化にもつながる」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との声が聞かれた。
 
個別ではアップルが3日続伸し、4.2%高で終えた。米国内での生産拡大のために1000億ドルの追加投資を6日に発表した後、買いが続いている。年初から株価が軟調に推移しており、見直し買いが入っているとの指摘があった。
 
このほかの個別銘柄では、シスコシステムズが高かった。ビザやシェブロンも上昇した。ユナイテッドヘルス・グループやアムジェンなどヘルスケア関連の一角も買いが入った。半面、IBMやマクドナルド、ウォルト・ディズニーは下落した。ナイキやアマゾン・ドット・コムも安かった。
 
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前日比207.325ポイント(0.97%)高の2万1450.022(速報値)で終えた。2日続けて最高値を更新した。マイクロン・テクノロジーやラムリサーチなど半導体関連株が高かった。
 
半面、広告プラットフォームのトレードデスクは大幅安だった。大手ハイテク企業との競争が激しくなるなか、最高財務責任者(CFO)の辞任を7日に発表し、収益に対する不透明感が強まった。
 
NYダウ 44175.61 ( +206.97 )
S&P500 6389.45 ( +49.45 )
NASDAQ 21450.02 ( +207.32 )
米10年債利回り 4.282 ( +0.035 )
 
NY(WTI)原油 63.88 ( 0.00 )
NY金 3491.3 ( +37.6 )
VIX指数 15.15 ( -1.42 )
 
 

【シカゴ日本株先物概況】
8日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比1190円高の4万2280円で終えた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測などを背景に日経平均株価が大幅に上昇したのに加えて米株式相場も上げ、投資家心理が強気に傾いた。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
42280 ( +460 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
42315 ( +495 )
 
( )は大阪取引所終値比






【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 
8日の英FTSE100種総合株価指数は前日比横ばい圏で終えた。終値は同5.04ポイント(0.05%)安の9095.73だった。英イングランド銀行(中央銀行)が利下げに対する慎重姿勢を強めているとの見方が、前日に続き投資家心理の重荷となった。
 
FTSEの構成銘柄では、広告大手WPPが6.20%安、賭け屋大手エンテインが5.82%安、前日、半期決算の公表をきっかけに株価が大幅に上昇していた、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループが3.90%安と下げを主導。他方、資源大手グレンコアは2.78%高、産銅大手アントファガスタは2.53%高、飲料大手コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズは2.33%高となった。




■ドイツ・フランクフルト株価指数

8日のドイツ株価指数(DAX)は小幅ながら5営業日ぶりに反落し、前日比29.64ポイント(0.12%)安の2万4162.86で終えた。週末入りを前に利益確定や持ち高調整の売りが出た。米国での利下げ期待やウクライナ停戦を巡る協議が進むとの思惑を背景に、前日までの4日間でDAXは計3%ほど上昇していた。

個別では、8日に四半期決算の発表とあわせて2025年12月期の保険料収入の見通しを小幅に引き下げたミュンヘン再保険が7.21%安、ハノーバー再保険が3.97%安、業務用ソフトウエア大手SAPが1.83%安と売られた半面、コメルツ銀行とヘルスケア大手フレゼニウスは3.45%高、医薬大手メルクは3.35%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは2.80%高で終わった。





■フランス・パリ株価指数

欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は3日続伸し、前日比0.43%高で終えた。仏BNPパリバやソシエテ・ジェネラルといった金融への買いが、指数を支えた。保険大手アクサ、電力大手のエンジーが下落した。