《Eimei「みちしるべ」》
(9月20日から9月23日の週)
週末のNY株式市場は反落。
原油相場の下落。
不動産担保証券の不正販売問題でドイツ銀行140億ドルの和解金を支払う可能性の報道を嫌気。
大手銀行セクターが連れ安した。
FOMCで利上げはないと読んでいるものの不透明感は否めないとの解釈。
先物オプションの決済日でもあり3市場の売買高は約93億株と拡大。
ミシガン大学消費者信頼感は前月から変わらずの低水準。
「まだら模様の成長を示唆した経済指標が売りを誘った」との声が聞かれる。
週末の日経平均株価は反発。
TOPIXも8日ぶりの上昇となった。
「3連休前のポジション調整でショートカバーが入り堅調に推移」という解釈は間違っているような気がする。
日経平均は週間では約446円の下落。
週足では2週連続陰線となった。
今週は変則3日立ち合い。
しかも火曜水曜が日銀金融政策決定会合とFOMC。
FOMCの利上げというよりも日銀の総括的検証が気になるのだろう。
ただ経済指標同様に通過することが一番重要なイベントでもある。
「通過後の9月中間権利配当取りの動きやTOPIXの配当再投資に期待」という声もある。
やや甘そうな認識に聞こえてくる。
3月月中平均が18693円。
9月SQ値は17011円。
東証1部の時価総額500兆円は16800円。
今年の価格帯別累積売買代金が集まっているから抜けにくいのではない。
それぞれ理由があるということも考えるべきだろう。
日銀の今年のETF購入の平均価格が16200円台ということも覚えておきたい。
経済指標やFOMCなどのイベントを枝葉末節と言うと語弊があるかも知れない。
しかし細かい数字に左右される癖はいつごろから市場に蔓延してきたのだろう。
98年のFXの導入あたりからだろうか。
株と違って実態のない数字でしかない為替を扱うのは材料不足。
そのために経済指標とスケジュールとチャートがクローズアップされる世界になったとも言える。
枝葉末節に拘って本質を見ない投資の横行。
世界経済を憂いていれば事足りる訳ではない。
本質は企業実態をどうとらえるかということだろう。
円高など関係なく不景気でも業績のいい企業はたくさんある。
株と円ドルの連携取引をしている連中のフィールドで戦ってはいけないということ。
戦いは常に自分のフィールドに持ち込むことが肝要。
それを得意げに雇用統計とか消費者信頼感などの細かい解釈に組していては勝てる訳はなかろう。
本質を追って王道を見る世界。
株には必ず虹の橋みたいな流れがある筈。
これを見つけている筈なのに小さな池の淵を堂々巡りしても仕方がない。
株価は投資家の夢の結晶。
FXは投資家の欲の集合。
そんな目で見ていくことも必要だろう。
従ではなく主になることを考えなくてはいけない。
日経平均想定レンジ
下限16355円(75日移動平均)〜上限17251円(5月高値)
20日と21日はFOMCと日銀金融政策決定会合ばかりがクローズアップ。
しかし同時に金融庁と日本経済新聞社との共催で「フィンテック・サミット」も開催される。
大手金融機関の他、富士通、日立、NTT データ、カドカワ子会社、サイバーエージェント子会社等が参加予定。
話題になるかも知れない。
裁定買い残3385億円。
メジャーSQということもあり前週比3529億円の減少となった。
09年3月以来の低水準。
裁定売り残は前4822億円。
逆転は98年以来18年ぶり。
「相場の先安観から先物が理論価格に比べて時に割安」というのが理由。
しかしマイナス金利で10年国債利回りもマイナス。
だったら理論的には先物の方が現物より安いのは自明の利。
金融緩和の意味でのマイナス金利が裁定の場では明らかにマイナスに作用している。
銀行の利益とかそんな問題ではなく市場の動きを封止していることになる。
このバリアを取り除かなければ、永田町や霞が関の成長戦略も当然霞んでしまうだろう。
日銀がETFをこの水準で買っているから株価の下はないという議論がある。
しかし日銀は上を買わない存在で下がれば買うだけ。
大きく下げっても買うのだから、16000円水準は日銀の死命線ではなかろう。
間違った解釈での安心感は良くない。
もっとも98年以来の裁定売り買い逆転は悪くはない。
相場の邪魔をする物資が減ったということになる。
そのうち「売ってもダメなら買ってみな」の論理が登場するかも知れない。
未来投資会議における成長戦略の課題と今後の検討事項は以下のようなもの。
【総論】
アベノミクスは道半ば。
○イノベーションは急速に進展しており、技術は目まぐるしく進化。
これまでの成長戦略、とりわけ構造改革の総ざらいを行い、
(1)「民間部門の活動が本格化するのに何が足りていないのか」
(2)「近年のめざましい技術革新を社会実装するために何が障害か」を明らかにし、
これまで以上にハードルの高い課題に躊躇なく挑戦していくことが不可欠。
○ イノベーションと構造改革による社会変革(Society5.0)を目指して、成長戦略を次の3つの切り口で展開する。
(1)国民生活の利便性の抜本変革
(2)地方を主役に、世界を目指す:地方に投資を呼び込む、グローバル競争に勝ち抜く
(3)人工知能、ロボット、IoTなどの技術革新を社会実装し、産業構造改革を促す
○ 成長戦略の新たな司令塔としてパワーアップを図った「未来投資会議」を創設。
その下に主要分野別の「構造改革徹底推進会合」を設置。
(構造改革徹底推進会合の設置分野)
・第4次産業革命(Society 5.0)・イノベーション
・企業関連制度改革・産業構造改革(長期投資と大胆な再編を促進)
・医療・介護(生活者の暮らしを豊かに)
・ローカルアベノミクス(農業、観光、スポーツ、中小企業等)の深化
〇今後の検討事項は、
(1)第4次産業革命(Society 5.0)をはじめとするイノベーションの社会実装
・産業界の取組(「協調領域」と「競争領域」の峻別、企業・系列の枠を超えた「プラットフォーム」の形成等)を本格化。
・新技術を社会に実装していくことにより、国民生活の利便性を抜本的に向上。
・事業活動の抜本的変革・生産性の向上を図ることにより、生産年齢人口の減少などの社会課題を解決。
(2)構造改革の総ざらい
・本来実現すべき目的の達成状況を多角的に検証し、目的達成に真に必要となる構造改革課題を抽出。
・既存施策の深掘り・前倒しや新たな取組の抽出、産業界への取組の本格化の要請等。
○ 官民が連携して民間の取組を促す(「官民戦略プロジェクト10」)。
○ 規制改革・行政手続コストの削減・IT 化の一体的な推進を図る。
【スケジュール】
〇本年10月以降:未来投資会議、構造改革徹底推進会合を開催
分野別の議論を実施。
〇来年 1月目途:構造改革の総ざらい
技術革新の社会実装についての中間的な課題整理