前回は、欧州仕込みの日本人レーサー「GOGOユキヤ!」紹介しました。
「ケイリン」と聞いてオリンピック競技を連想する方は少ないでしょう。

オリンピック種目に採用されている自転車競技には、一般公道を使ったロードレースのほか、トラック(バンク)を使ったスプリント、パーシュート(追い抜き)やケイリンなどがあります。
競輪を行うコースのことをバンクといいます。
・バンクには500メートル・400メートル・333メートルの3種類があり、それぞれ500バンク・400バンク・3.3(サンサン)バンクと呼びます。
・バンクによって1周の距離が違うので、2000メートルのレースだと、500バンクなら4周、400バンクなら5周、3.3バンクなら6周と周回数が違ってくるので注意しないといけません。
【短距離】
孤独と戦いながらひたすら速さを求める!
タイム・トライアルただひたすらタイムを求めて短距離を走り抜ける競技。1名ずつトラックを走りタイムを競い、その優劣によって順位を決定します。男子は1kmで、女子は500mで行われ、完走タイムの目安は、男子で61〜63秒。平均時速58km前後となる男子は平地で1分の壁をいつ切れるかが期待されています。
「ケイリン」はその名のとおり、日本の「競輪」を元にした競技で、1組5〜8名の選手が1周250mのバンクを8周、2,000mの距離を走り、その着順を競います。
競輪との違いは、1周の距離が短くて(競輪は4〜500m)、カント(バンクの角度)もキツく、また他の選手の進路を妨害するようなヨコの動きが禁じられていることから、よりスピードが重視された競技といえます。
1対1のタイマンガチンコ勝負!
スプリントこの競技は通常2名の競技者によって行われます。選手はスタートしてから最後の200m線に到達するまでは逆方向に走ること、20cm以上バックすること、極端な進路妨害以外には、どんな走り方も許されますが、最後の200m線を経過したあとは斜行したりすることは許されません。この最後の200mタイムは参考として記録するだけで、時間には関係なく先にゴールした者が勝者となります。
日本が生んだ世界のスポーツKEIRIN
ケイリン日本で生まれて発展してきたのが「競輪」。それが輸出され、国際種目に採用されました。世界選手権はもちろん、シドニー・オリンピックからは「ケイリン」として開催され、今やスプリントをしのぐ超人気種目となりました。
【中・長距離】
インディヴィデュアル・パーシュートホーム・ストレッチとバック・ストレッチから相対する2名の競技者がピストルの合図とともにスタートし、お互い前にいる選手(対戦相手)を力の限りを尽くして追い抜く競技。追いつかない場合は、所定の距離を完走し、その完走タイムの優劣によって勝敗が決まる。男子4km、男子ジュニア3km、女子3km、女子ジュニア2kmで行う。
(KEIRN.JP自転車競技ガイドより参照)
「ケイリン」がオリンピック種目に正式採用されたのは2000年のシドニーオリンピックから。日本発祥のスポーツとしては柔道に次ぐものですから、快挙ですよね。
この背景には世界選手権スプリントで10連覇(1977〜1986年)の偉業を遂げた中野浩一氏の存在が大きかったようです。
中野氏は1975年に競輪選手としてデビュー。
日本のプロスポーツ初の年間獲得賞金1億円突破や内閣総理大臣顕彰・紫綬褒章の受賞など、輝かしい経歴の持ち主です。彼の熱い走りがケイリンというスポーツを世界に認めさせたのですね。
さて、今日の本題は
「ガールズケイリン」
「顔より太もも。」こんなキャッチコピーの巨大看板を見たことはありますか?
ちょっと面白いキャッチフレーズですが、顔以上に美しい女性の肉体美を見ることができるのが、「ガールズケイリン」。女子選手も男子選手と同じように競輪のレースに出ているのです。いまブームになりつつあるガールズケイリンの魅力を紹介しましょう。
「ケイリン」であっても女子の「競輪」です。(ややこしいですね)

女子競輪は2012年、オリンピック選手の強化や車券売上低迷の打開策として48年振りに復活しました。(半世紀も前にガールズが存在していたというのは驚きですが・・・)
現在80名余が在籍し、日々の競輪はもちろん、世界選手権などの大会に出場したり、ジャパンカップなどのロードレースの運営をお手伝いしたりして、華やかに活躍しています。
「ガールズケイリン総選挙」なんていうのもあるそうです。

男子競輪との違いは、オリンピック・ルールのようにヨコの動きが制限されていて、男子のような激しい進路争いはありません。まあ、そこは乙女ですからね。使用するバイクも違います。カーボン素材が認められていて、フレームやホイールがとってもカラフルです。

トライアスロンやTT(タイムトライアル)用のバイクに似ていますが、そこは競輪用バイク。リアハブ(ホイール)が空回りせず=ということは、下り坂であってもバイクが動いている限りペダルを回し続けなければならず、ブレーキもないため直ぐには止まれない、いわゆるピストバイクなのです。また、変速ギアもありませんからスタート時は異様にスローな動き出しになります。

ガールズケイリンの選手になるためには、男子と同様、試験を受けて競輪学校に入学し、約1年間の指導・訓練を受けたうえで競輪選手資格検定に合格しなければなりません。
競輪学校の厳しさは、TVのドキュメンタリー番組などで目にしますが、過酷のひと言に尽きます。
公益財団法人JKA(元の日本自転車振興会)が運営するガールズケイリン情報配信サイト「GIRL’S KEIRIN」(
http://www.girlskeirin.com/index.html)をご覧ください。
そのキャッチコピーも『顔より太もも』・・・
「顔」も「太もも」も素敵なガールズが紹介されていますよ。
次回は「自転車屋に行ってみよう!」です。お楽しみに

日本競輪学校に入学し、1年間の勉強と訓練を受けます。そのうえで、競輪選手資格検定に合格しなければなりません。
競輪学校への入学条件は、入学する年の4月1日で17歳以上となっています。また、高校卒業と同等以上の学力を有する者となっています。入学試験には、一般試験と特別試験があります。
一般入試の1次試験には、技能試験と適性試験があります。技能試験は、
(1)自転車による1000メートルの走行時間、
(2)自転車による400メートル助走後の200メートルの走行時間です。
適性試験は、垂直跳びと背筋力測定です。
一般入試の2次試験は、1次試験の合格者のみが受験できます。試験内容は適性試験と身体検査、口頭試問、適性検査、作文などによる人物考査です。
適性試験には、台上走行試験装置による瞬間最高速度、台上走行試験装置によるクランク軸の最大回転数、台上走行試験装置による一定時間の総仕事量です。
自転車競技やその他のスポーツで、世界規模の活躍をした者を対象に、特別試験制度も設けられています。募集人数は20名で、一般入試の倍率は約2倍です。
ご参考(参照:ガールズケイリンHPより)
ガールズケイリンのために、これまでの競輪の「先頭固定競走(オリジナル)」に対し、「先頭固定競走(インターナショナル)」という規則が制定された。ここでは両者の違いを含め、ガールズケイリンのルールについて理解しておこう。

ガールズケイリンの競技規則は、これまで男子選手によって行われてきた競輪競走に国際ルールを取り入れて、よりインターナショナルな判定基準が採用された。今年のロンドン五輪より女子のケイリン種目が導入されることもあり、より競技性を高めたものとなっている。
具体的には、先頭員の助走開始位置や、誘導退避までに先頭員へ並びかけると失格となる点などは、国際ルールに準拠したものとなった。また、いわゆる"ヨコ"の動きには極めて厳しい判定基準がとられたので、男子とは違うレース展開になることも予想される。

スタートは男子の競輪競走と同様、発走機を使用する。 男子の競走では、先頭員は選手の前方からスタートするが、女子の競走では約半周後方から走り出した先頭 員がスタートライン到達と同時に、号砲が鳴りスタートとなる。
【スタート】 距離は1600m が基本で、周長333.3m のバンクなら5 周、400m なら4 周、500m なら3 周の7 車立てで競われる。

先頭員は徐々に加速していき、その後方を走る選手たちも速度を上げていく。ただし最後尾の 選手は勝負に有利とは言えないので、位置取りも勝負の一環だ。
【途中の周回】 選手たちは、先頭員が規定の区間で退避するまで、 先頭員にならびかけたり、もちろん追い抜いてはいけない。

先頭員が退避するのは周長333.3m および400m バンクなら残り1 周半のバックストレッチ、 周長500m なら残り1 周のホームストレッチ。ここからが勝負開始! ラスト1 周半のバックストレッチライン通過時から「ジャン」が鳴り始める。
【先頭員の退避】 先頭員が退避したのち、選手だけのスプリントが開始される

基本的にはゴールラインを先に通過した者が勝ち。着順は前輪の先端で判定される
ガールズケイリンはここが違う

誘導中の先頭員の後輪後端より前方に位置したり(内側外側とも)、 並びかけたりした場合は失格となり、そのレースの着位が剥奪される

基本的に"ヨコ"の動きは厳禁。「自ら一方的に押圧又は押し上げを行い、内外線間の幅の2 倍程度の幅に至った場合」は失格という厳しい処分となる。ちなみに男子の場合は「内外線間の幅の4 倍程度」となる
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